第46話 家宅捜索と、インタビューと、ゴーヤチャンプルー
今日は8月5日。
畑仕事して、家宅捜索を待っている。
チャイムが鳴った。
来たか。
「どちら様ですか」
「警察だ」
「どうぞ」
「ただいまより家宅捜索を行う。9時30分。はいこれ令状ね」
令状を見せられ、それに書いてある事が読み上げられた。
法律用語か捜査の用語なのか内容は分からん。
違法薬物の捜索というのは分かった。
家を滅茶苦茶にされ、色んな物が押収されていく。
エリクサーの豆を発見した時は大騒ぎになった。
放射能測定がされ安全が確認されたのを見ても、トングみたいなので掴んで慎重に運ばれる。
安全なのに。
そして、冷蔵庫の中の物は根こそぎ持って行かれた。
食材まで押収されるとは。
スマホとパソコンも、持って行かれた。
畑の作物が押収されないのは良かった。
あと農機具も押収を免れた。
タオルは根こそぎ持って行かれた。
着替えは勘弁してくれたらしい。
大事だな。
嵐の様な数時間が終わった。
タオルとか食材とか買いに行かないと。
畑でエリクサーの豆を作る。
豆をフライパンで炒ってミキサーで粉にした。
飴を買って来てまぶせばオッケーだな。
そうだ、スマホを買いに行かないと。
買い物がてら、駅前のネットカフェで掲示板に書き込む。
【朗報】マイナスイオンを浴びる会16【気軽に来てね】
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場所は○○神社の横手の森。時間は午後2時から、午後3時まで。
参加料一万円。
飴をサービス。
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まだ逮捕されてなかったか
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本家の方はスレ主が現れないな
93
まさかこっちも本物?
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そんな訳ないだろ
さて昼飯食ったら、マイナスイオンの会だ。
神社で待つと、マスコミと思わしき人にカメラとマイクを向けられた。
「違法薬物を販売していると噂がありますが、どうなんですか?」
「マイナスイオンを浴びて吸ってもらって、飴を舐めて帰って貰ってます。飴もって帰りますか?」
「ええ。ところで違法薬物は配ってないんですか?」
「配ってません」
「ですが、病気が治ったという声もあります。いかがです?」
「それは関係がありません。確かに以前は治療をうたってました。ですが、今はただのマイナスイオンの会です」
「1万円という金額についてはどのようにお考えで?」
「価値観は人それぞれです。高いと感じるのなら払うのを辞めればいいのです。強制はしてません」
客が来たので、1万円をもらい、飴を舐めてもらう。
口から金属を吐き出した。
その様子をカメラに録画している。
インタビューは客にも行われるらしい。
俺はマスコミを無視して、飴を舐めてもらうのに集中した。
帰ってテレビをつけると俺へのインタビューと客の映像が映し出された。
明日は沢山人が来そうだ。
朝になったら、エリクサーを量産しよう。
買ったばかりのスマホで掲示板をチェックする。
【朗報】マイナスイオンを浴びる会16【気軽に来てね】
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おい、テレビやってるぞ
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どこの局?
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○○チャンネル
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うおっ、ほんまや
これは逮捕秒読みか
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いよいよ
科学のメスが入るのか
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そうだな
検証が正しいか分かる
スレの書き込みは物凄い勢いで増えていく。
よし、夕飯を作ろう。
ええと、今年初めてのゴーヤだ。
ちょっと怪しい食材店で買ったランチョンミートを薄切りにして、ゴーヤと炒める。
良い匂いが立ち込めた。
ランチョンミートというのはウインナーソーセージみたいなものだ。
ちなみに皮はない。
焼くと硬くなるが、何もしてないと柔らかい。
肉なのだが、何が入っているかまでは知らん。
会社によってその辺は企業秘密だろう。
とにかくゴーヤと言えばこれだ。
茶碗を二つ出して、才華が今日からいないのに気づいた。
寂しいな。
情が移ったというか、もう家族になってた。
ストレスで体調が悪くならないだろうか。
ええい、男だろ。
別れた訳でもないのに、めそめそするなよ。
食べたランチョンミートのゴーヤチャンプルーは、涙の味がした。
「才華、帰って来てくれよ。お願いだ」
悪酔いしそうだから、ビールは開けない。
家の固定電話が鳴る。
親戚からだった。
縁切りしているのに、絶縁宣言だった。
そんな電話がひっきりなし掛かってきた。
俺は電話のコードを抜いた。
俺は余っていた飴を舐めた。
金属を吐き出して気分が落ち着く。
無敵になった気分だ。
ストレスからくる病気もエリクサーで治るらしい。
今夜は気分よく寝れそうだ。




