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猫魔王『にゃんにゃんにゃん虎』がイケメン退魔師に勝負を挑むが、返り討ちに遭ってちびっ子猫耳従魔にされる話にゃん!  作者: 大空司あゆむ


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猫魔王とコイツのジャンクな昼飯にゃん!

 

 茶の間に案内されたコイツが座布団の上に正座した。しかし礼儀さからはほど遠い男なのに、依頼者の女将が美人だからか?


「にににっ……」

「なにを見てる駄猫が……」

「いや別に、ほら依頼内容良く聞けにゃん」

「ふんっ、分かってる」


 我にソッポを向いたコイツがお茶を一口飲むと、依頼者の話しを聞いた。


「生前の夫はそれは真面目で浮気は絶対しない男でした」

「……なるほど、蘇った旦那の性格が真逆になったと言うことか……」

「ええ、その通りです。夫が蘇った初日どこかに行ってから、見知らぬ女を連れて帰宅しました」


 浮気するゾンビとは初耳だ。しかも妻に隠さず愛人と帰宅とは豪快な奴だ。

 しかし生前の性格と真逆になる特徴からある程度怪異の正体が絞れるが……果たしてコイツに分かるかな?


「ふうむなるほど……怪異の正体はゾンビですね」

「ゾ、ゾンビですか?」


 依頼人が口に手を当て驚いた様子。まぁゾンビと言われたら、『コイツはなに言ってんの?』バカかアホかと色んな意味で驚く。

 しかし偉そうに退魔師を名乗るコイツには幻滅した。我は腕組みして嘆いた。

 異世界からコチラの世界に飛ばされて来たと言うコイツにはまるで、怪異の知識がない。

 ゲームみたいにスライムやゴブリンを倒すのとはわけが違うんだぞ。


「間違っておる。話しにならん知識が浅いにゃん」

「……なんだと駄猫が……」

「まぁ落ち着け。突然起きあがった夫の死体の怪異の正体はゾンビではないにゃん」

「……だったらなんだ?」


 フンッ我の顔見て食いついてきおった。やはりなにも分かってなかったようだな。


「死体が蘇り生前と真逆の性格になる怪異は妖怪『おさがり坊主』で間違いないだろにゃん」

「なに、妖怪おさがり坊主だと? おいっ駄猫」

「なんじゃいにゃん?」

「くそ適当な名前つけてんじゃねーぞ」

「妖怪おさがり坊主は本当にいるにゃん」

「なんだと……」


 少々驚いたのかコイツが立ちあがり、帯刀している剣の鞘に触れた。間違っても我を斬るんじゃないぞ。事情も知らない女将が戸惑っているぞ。


「とりあえず落ち着けにゃん」

「……べっ、別にどっ、動揺してねぇよ……」


『いやいや』戸惑いながら座り直してんじゃねぇよ。まさかコイツ実は素人か……。

 我は横目でコイツを観察した。


「チッ、見てんじゃねーぞ」

「たまたまじゃしかし、その主人とやらはいつ帰ってくるのかにゃん?」

「えっ……大体夜の11時頃に女を連れて帰ってきますわ……」


 女将よ、急にこの猫魔王に話しを振られて動揺してんな。それより11時まで時間があるな。

 こんな田舎の屋敷でやることないからつまらんな。しかも腹が減ってきた。


「お腹が減ったにゃん」

「あら、それならご飯ご用意しましょうか?」

「ばっ、馬鹿っ! 図々しいんだよ駄猫がっ、お、女将さんっ俺らは自前で飯用意してるんでお構いなく……」

「あらそうですか」


 おのれコイツめ。せっかく飯にありつけるところを、格好つけ遠慮しおって。

 大体飯を用意してくれているなんてありがたい。それを気を使って断るなんてもったいない。



「済みませんが、ちょっと私たち車に戻ります」


 なにが私たちだ。一人の時は品のない俺口調なのにな。

 で、コイツは我の手を引っ張って屋敷から出て車に乗り込んだ。

 まさかこのまま逃げるつもりじゃ……。


「……せっかくタダで飯を食うチャンだったのに、なぜ断ったにゃん?」


 助手席に座った俺はジト目でコイツを睨んだ。すると面倒臭そうに『分かってねぇな』と言った。ムカつくんでその顔爪で引っ掻こうかと思った。


「考えてみろ。動く死体の家から出される飯なんか食えるか」

「……確かににゃん」


 女将さんも怪しいし、多分神経質なコイツは絶対他人の作った飯食わねえ。しかもゾンビ飯となるとなおさらだな。

 それならさっきからグーグーなる腹の虫を黙らせないとな。


「おいっ、飯断ったなら責任取れにゃん」

「チッ、分かってるよ。飯なら用意している」

「にゃに……」


 コイツが後部座席からコンビニ袋を取り出した。中を覗くと醤油煎餅とマヨネーズが入っていた。


「おいっ、3時のおやつにはまだ早いぞにゃん」

「あ〜ほ! コレが今日の昼飯だ」

「にゃに……」


 確かに分厚い煎餅だ。2枚食ったら多少空腹が収まるかも知れないが、しょせん菓子だから飯代わりと言うのは苦しいな。

 さて、煎餅とマヨネーズをどう組み合わせるのかお手頃拝見だな。


 するとコイツが煎餅の袋をバリッと開けて一枚取り出すと、マヨネーズを全面に渦巻き状に掛けた。

 やっぱりそうか……上に掛けるしかないよな。しかしどんな味になるのか想像出来ないな。


 早速コイツがマヨネ煎餅を齧った。我にやらず一人で食うとは相変わらず舐めた男だ。


「ウッめ」

「……」


 ジャンクな飯を嬉しそうに食うコイツ。まぁこの程度の男にお似合いなチープ飯だな。それにしても自分だけ食ってないで、我にも寄越せ。

 我が睨んでいると、コイツが振り向き食いたいのかとふざけたことぬかしやがった。当然食うと主張したら雑に煎餅とマヨネーズを放り投げてきた。


「おどれが……うぬっ……」

「どうした? 食えよ」

「……この手だと上手く持てぬにゃん」


 肉球の手だと人間のように器用に物が持てない。


「お前どこまで鈍臭いの?」

「なんだとっにゃん……」

「ホラッ貸せっ」

「……」


 我の代わりにコイツが煎餅の上にマヨネーズを掛けてくれた。やってくれたのは有り難いが、言い方が雑で気に食わん。

 いつかぶっ殺してやる。


 さて、マヨネ煎餅の実力はどんなもんかな。


「ガブッガリッ!」


 なんて硬い煎餅だ。思わず牙が欠けるかと思ったぞ。しかし味は醤油と濃厚で酸っぱいマヨネーズの味と良く合い旨い。結構ボリュームがあって二枚完食すれば、以外と満足するな。


 結局3枚食べて腹の虫が静かになった。しかしずいぶん煎餅に口の中の水分が持っていかれた。なに

 かが足りない。そう、煎餅食うならお茶位用意しておけよ。


 車内に飲み物を用意して来なかったバカタレのおかげで喉カラカラだ。

 まぁ死ぬことはないので我慢するか……。


「……さて、そろそろ戻るぞ」

「……」


 車から出た我とコイツは依頼人の屋敷に戻った。


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