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48.悪魔の呪いは指輪の裏に Ⅵ


「悪魔の容れ物として、彼奴等に自由に命の手綱を握られている。その証が、この指輪になる。その呪いから、皆を解き放つ手伝いをしてほしいんだよぉ。」

 話、長くなったね、なんて、彼が笑うものだから。

 穏やかな笑顔で、指輪を撫でるものだから。

「呪い……。」

 私の譫言のような呟きに、ノリスはコクリと頷く。

「呪いが解けていない状態だと、悪魔の気紛れでボクらは死ぬ。……だけど、呪いが解ければ、その命は自由なんだ。悪魔に干渉されなくなるんだよ。」

 自分の死に際を選べるんだ。……彼はそう笑った。

「呪いを解くには、自分の中でたった一人、絶大な信頼を寄せるべきとされる吸血鬼と心を通じ合わせること。簡単なようで、難しい。……その手伝いをしてほしい。」

 絶大な信頼を寄せる……?

「その相手は、決まっているの?」

「指輪の色が相手の所属班の色、飾りの形が相手とお揃いになってるんだよぉ。ボクの指輪は、躑躅色の炎。……ピンクが示すのは、班『無所属』。」

 無所属。A班からE班のどこでも無く、更に飾りは炎……。

「レイネル・ハルマ……?」

「御名答。」

 彼は綺麗にウィンクをすると、「まあ、ボクはもう諦めてるんだけどねぇ」と遠い目で呟いた。

「多分、レイネルはボクを仲間だと思ってない。心を許すべき相手……『バディー』の指輪は、見えなくなってるんだ。指輪は、吸血鬼たちの能力保持の印。それがないから、彼はボクを同類だと思ってないんだよ。」

 なんだか、知らない人の話をされているようだった。

 私の知るレイネル・ハルマは、物腰柔らかく腰も低くて、いつも柔らかい笑みを浮かべている。それも、ノリスの首を絞めたスイレイ・クランナよりも、幾分か温かみを抱いた表情だったと思うのに。

「呪いのことを、他の皆は……?」

「大半が知らないよ。……『スファラ』の中で、呪いが解けているのは一ペアしかいないから。」

 ……いるんかい。

「サムス・マロトとリベリテ・コルト。あの二人、偶然にも同じ班になったんだ。全く同じ指輪だったでしょぉ?」

「確かに……。じゃあ彼らは、悪魔に殺されることはないの?」

「悪魔の意思で殺すことは出来ない。……彼奴等が悪魔に頼めば別だけどねぇ。」

 指輪を嵌め直した自分の指輪を眺めながら、仕方ないと言うように、ノリスが一口笑った。

「悪魔からの縛りがなくなる。……それによって得られる効果も、またあるんだけどね。」

「そう……。」

 ノリスは、持ってきたすべてを本棚に押し込んだ。

「アナリーは、わざわざ呪いを解くために働きかけなくていいよ。話をしたら意味がないから。」

 わかった、と、返事をする代わりに頷く。ノリスも、それに返してきた。


 呪いを解くことで、悪魔から命を操られることはなくなる。

 でもそれは、自分が死を望まぬ限り、生きようと思えばいくらでも生きられるということ。

 自分で決断をしない限り、流れに身を任せて死ぬことが出来ないということ。

 ……本当に、呪いは解いたほうがいいの?

 口には、出せなかった。


 ノリス・ウォルター。彼は、吸血鬼の全ての事情を理解し、長い時を経てなお、悪魔を騙し続けている、根っからの商売人。

 そんな彼は、私に向かって、柔く微笑んでいたのだった。

本作をご覧頂きありがとうございます。水浦です。


想像以上に長くなりました、大まかな『悪魔』と『吸血鬼』の関係、そして『呪い』の正体。

吸血鬼たちの指輪に関しては、着けている描写のキャラクターにはプロフィールで書いてありますので、よければ見てみてください!ちなみに、まだ片方しか出されていないペアが殆どのハズ……。


投稿が飛び飛びになってしまっていますが、気になった時に覗いていただけると、更新していたりしていなかったりするかもです!


次からは新章突入、まだ出てきていないキャラにフォーカスを当てたり、集落『スファラ』を飛び出してみたりです〜

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