表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

洞窟へ訪問-1-


「あれは、僕が子どもの頃……。そう、まだ最高位になる前の話……」


――そんなに昔の話!?

 と、ツッコミそうになったミフルだが、口には出さず聞くことにした。


「迷子になった事があってね……」

――迷子?


 そのワードも引っ掛かったが、口には出さなかった。


――ルウの地の中で迷子になるような場所があるだろうか?



     *


 そこは暗い洞窟のようだった。

 まだ年端もいかない少年のケイは、訳も分からずそこを歩いていた。

 灯りを見つけ、そちらへと歩いている。


 灯りのそばに人影が見えた。


 作業台に座り、何かを作っているようだ。

 その人は真摯なまなざしをしていた。

 真剣に作業しているその姿を、子どものケイはかっこいいなと見とれていた。


 その時、きらりと何かが光った。

 ケイの眼前で刃先を向けた状態のナイフが止まっていた。

 一瞬のうちに前方から飛んできたのだ。


「いい度胸だな」

 その人物が、ケイの方へ歩み寄って来る。

「邪魔したら殺すって言ったよな?」


 ケイの眼前のナイフは宙に浮いたまま。

 恐怖でケイはへなへなと座り込んでしまった。


 声を発したのは栗色の髪の男。

「一切邪魔するなってあれほど言ったのに…… ――きみ、誰?」


 ケイは恐怖で喋れず、男はとりあえずナイフをしまった。


「えぇっと、きみのお名前は?」

 ケイは返事できずにいると、男はぽつりと頭をかいた。

「……怖がらせてしまったか」



     *


「やべえヤツじゃん、ソイツ」

 思わず、ミフルは口を挟んだ。

 初対面の子どもにナイフを向けるなんて、いい大人のすることではない。


「ふうん? きみがそれ言うんだ?」

 とケイが言うのも、かつてのミフルがケイにナイフを向けたからだ。


「ん、まあ……」

 ばつが悪そうにミフルは口ごもる。

 過去の記憶が曖昧なのだが、ナイフを向けたことは覚えていた。


「まあ、そういう男、嫌いじゃないよ」

――ドMかよ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ