行動
ファウは立ち上がる!
それを怪訝そうに見上げるキョウ。
「リゾに会って来る! あの水晶は作業場?」
キョウは頷く。
キョウの職業は金属加工業。家の中に、それ用の作業場がある。
ファウはキョウに伴われ作業場へ。
例の水晶を見つけると、ファウは手をかざし、その姿は消えた。
行き先はリゾの家だろう。
残されたキョウは、環境維持ロボを使って行こうかと思ったが、壊れたんだった。
――壊れたロボはどうなったんだろう?
キョウが操っていた環境維持ロボは、キョウが操っていた時に壊されてしまったわけで。
壊された瞬間は何がなんだかわかっていなかった。
痛いやら、バラバラになってるような……
その時の感覚を思い出して、キョウはぞっとした。
ファウが無事帰って来ることを願っていた。
まあ、怪我をするはずもないのだが。
*
ファウは、リゾともう一人の男が戦っているのを見ていた。
ここにいるということは、最高位の男だろう。
戦っているといっても、訓練的なものであることは見て明らかだった。
ファウはしばし観戦することにした。
リゾも、その相手の男も強いのはすぐわかった。
かつて、リゾは一番隊と二番隊の合同訓練中に襲撃し、ファウを誘拐した男だ。
強くて当たり前だ。
そんな二人の戦いに、飛び込んで行こうとした子どもがいた。
「危ない!」
さすがに止めた。
「あの二人を止めないと」
と、子どもが言う。
きっと戦い慣れしていないのだろう。
「あの二人は大丈夫。本気でやり合ってるわけじゃないから」
「でも……」
「あの二人より、子どものあなたが間に割って入る方が危ないから」
「………」
子どもはすねたような顔をした。
「心配すんなって。仲間同士で怪我をするようなヘマな真似するわけがないだろ。こいつがグジグジ悩んでそうだから、遊び来てやった…ん…だ……」
リゾではないもう一人の男がそう言った。
――やはり、キョウの事で悩んでた?
ファウがリゾを見ると、男が予想外の事を言った。
「おい、おい! なんで、ファウをつれてきた!?」
「え? オレがつれてきたわけじゃ……」
――私を知ってる?
ファウは意外に思い、男を見た。
大きな剣を盾に身構えている。これほど強い男がファウを警戒する必要もないだろうに。
――それにしても、この子は二人の仲間?
ファウは今度は子どもを見た。
――最高位ということ?でも、子どもの最高位なんて……?
「例の水晶だな」
リゾが言ったので、ファウは頷いた。
「お前に話がある」
ファウが言うと、今度はリゾが頷いた。
剣を鞘にしまったリゾは、子どもをぐいっと持ち上げると家の中に入った。
「一応な、男女が密室に……というわけはいくまい。こいつは中立な立場だから安心しろ」
ファウも続いて、家の中に入る。
そうして、家の中で落ち着いて話そうとしたのだが、どうにも緊張する。
キョウが言うには、リゾは不幸な生い立ちらしい。
だからと言って、かつての事が許せるわけでもなく、とはいえ一番の被害者のキョウがリゾを傷つけたと落ち込んでいたわけで……
そして、キョウが言うには、リゾという男はキョウのためなら自分の魂をも差し出しかねないのだという。
そんな状況にならないためにも、どうすべきか……。
うじうじ考えても拉致があかないので、行動に移したがどう行動すべきか……。




