デマ
前話を大幅に加筆しています。
話が繋がらないと思った方は、全話をもう一度確認下さい。
――オレ、なんでここいるんだ?
ミフルは、黙り込む二人を見てそう思った。
ファウが話があると言ったから、リゾはとりあえず自分の家に招いたのだが、男女が二人で家に入るのはまずいということでミフルも強引に家に入れられた。
断ろうかとも思ったが、ファウの話というのがどういうものか気になったのもある。
リゾもファウも黙りこくって、ガチガチに緊張しているのがわかる。
椅子があるのに、なぜか二人は床に正座していた。
そんな状況でミフルも椅子に座るわけにもいかず、なんとなく正座するはめになった。
そこへ環境維持ロボがお茶を三人分運んできた。
環境維持ロボは、リゾ、ファウ、ミフルの順にお茶を床に置いた。
――今、どういう状況だ?
環境維持ロボはミフルに問う。環境維持ロボはグレスだった。
人間の姿でファウと対峙するのはまずいと早々に退場したのだが、ミフル同様ファウの話というものが気になっていた。
ミフルはとりあえずお茶を飲む。
――オレもわかんない。
二人は声には出さず会話していた。
「言いたいことがあるんだろう? 話は聞く」
と、リゾが言う。
リゾには、ミフルとグレスの会話が聞こえていた。
ファウは何か言いたげなのだが、なかなか言葉が出て来ないようだった。
なのでリゾは話題をかえることにした。
「よく、ここに来れたな」
――おいおい、それだと来たことを非難してるように聞こえるぞ。
と、グレスは忠告するが、ファウにはリゾの真意が伝わっていたようだ。
「キョウの家に例の水晶置きっぱなしになってるでしょ? それを使ったの」
以前、リゾはキョウの家にそのような細工を施した。目的は達成できたので、その時に使った水晶を回収しようと思ったのだが実行できずにいた。
キョウが窮地の時に駆けつけることができるので、いつしかそのままでもいいかと思っていた。
「こっち側の水晶は場所を移動したのね?」
「いつまでもレン様の家に置いておくのもな。女神像のそばに場所をかえた」
――それを使えば、オレもキョウの家に行けるってこと?
と、ミフル。
――やめとけやめとけ、リゾが嫉妬するぞ。
と、グレス。
ミフルとグレスの会話が聞こえているはずのリゾはまるで聞こえていないかのように、振舞っている。
「で? 用件はなんだ?」
「……あの、キョウが落ち込んでて……」
ファウはぽつぽつと話し始めた。
「環境維持ロボを操るようになってから魔法もある程度使えるようになったことに気づいて、それで病気の長老を治せるんじゃないかって思ってたのに、結局、長老はキョウをかばって死んでしまって……」
――だから、それ、デマなんだってば!
と、ミフルは強く言いたかったが出来なかった。
「それに、あなたの魂を食べしまいそうになったって……」
ファウの言葉に、ミフルもグレスもぎょっとした。
「その話は内緒にしておきたい。最高位を倒せる民を他の最高位が排除しようとしないとも言い切れない」
リゾはファウに対してだけでなく、その場にいるミフルやグレスに対しても語ったのだ。
「あなたは……」
ファウはじっとリゾを見る。
「キョウのことを真剣に護ってるのね」
と何やら熱い表情でファウが言うので、ミフルは居心地が悪かった。
「やっぱり、オレ、お暇しようかな」
今度は、ファウにも聞こえるように声に出して喋った。
すると、ファウはミフルを見てこう尋ねた。
「あなた、子どもに見えるけど最高位なのね?」
ファウに言われ、ミフルは狼狽える。
ルウの民に顔を見せないようにすべきだったか。そもそもファウはミフルの子どもの頃の顔を知ってるだろうか? 写真か何かで見たことがある可能性も捨てきれない。
「あなた、本当は強くて、さっきの戦いなんて余裕で止められるだけの実力があったのね。余計なことをしたわ」
と、ファウはミフルに頭を下げた。




