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月色の砂漠 -ミフル-  作者: チク


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17/19

予期せぬ来訪者

諸事情により、文章を足しました。


「リゾっちー、あ~そぼ~!」

 能天気な馬鹿明るい声が外から聞こえた。


 どうリアクションすべきか悩んでいると、また声は聞こえてくる。

「リゾっち~!遊びに来たよ~!!」


 ドアを開けると、まぶしい日差しの中、大きな剣を肩に担いだグレスが立っていた。

「遊ぼうぜ!リゾっち!!」


「そんな呼ばれ方したことないが?」

 怪訝な顔のリゾが、グレスにそう告げた。

 グレスは歯を見せ、にかっと笑う。


「固いこと言うなよ。どうせうじうじ悩んでたんだろ? 遊ぼうぜ」

 グレスはリゾに剣を見せつけるように、ゆっくり肩から下して、握りなおす。


「わかった」

 リゾも剣を持ち、にやりとする。



     *


 対峙する二人。


 先に仕掛けたのは、グレスの方だった。

 体に不釣り合いの剣を構え、突進する。


 それをリゾは剣で受ける。


 金属がぶつかる音が響く。


 二人が互いに押し合い、互いを凝視し合う。


 そして、挑発なのか、グレスがこう言った。

「魔法使ってもいいぞ」


 リゾは答えず、後ろに下がった。

 すうっと息を吐き、剣を振るう。

 すると、剣身から攻撃魔法が銃弾のように放出される。


 グレスはそれをすべて弾き返した。

「驚いた。こんなのも出来るんだ。だが大した威力じゃないな」

 グレスとしては挑発のつもりだったが。


「弱い相手を委縮させる程度の攻撃魔法を考えていたんだ」

「……なんだ、それ?」

 リゾは、ネードの腕を切り落とした時のことを思い出していた。

 キョウに諫められ、それから――。



     *


 リゾとグレスの戦いを見ている者がいた。ミフルだった。

 家を建てるため、環境維持ロボで行動することが多かったが、人間の体も動かしておかないといろいろまずいらしい。

 軽い散歩のつもりで、リゾの家付近を歩いていた。そんな時に二人の戦いに出くわした。


 ミフルの目から見た二人の戦いはすさまじい。

 同じ仲間がどうしてそうまでして戦うのか――?


 リゾが魔法を駆使し、グレスがはじき返す。



 グレスが反撃しようとした時、ミフルは二人を止めなきゃと思った。


 ミフルは二人の間に割って入り、魔法の壁を作ろうとした。

 ミフルが駆けだそうとすると、その体は後ろに引っ張られた。


「危ない!」

 驚いて振り返ると、そこにいたのは意外な人物だった。

 どう考えても、ここにいるはずのない人物。


 いや、そんなことよりも、

「あの二人を止めないと」

 ミフルが説明するも、その人物は首を振る。


「あの二人は大丈夫。本気でやり合ってるわけじゃないから」

「でも……」

「あの二人より、子どものあなたが間に割って入る方が危ないから」

「………」

 失礼だな、と思いはしたが、外見が子どもになってしまったミフルは言い返す言葉もなかった。



 そんなやり取りにリゾとグレスが気づかない訳もなく、二人は戦うのをやめていた。


「心配すんなって。仲間同士で怪我をするようなヘマな真似するわけがないだろ。こいつがグジグジ悩んでそうだから、遊び来てやった…ん…だ……」

 と言うグレスは、ミフルの後ろにいる人物の顔を見て唖然とした。

「おい、おい! なんで、ファウをつれてきた!?」



 そうなのだ。

 ミフルを止めたのは、ファウだった。


「え? オレがつれてきたわけじゃ……」

 むしろ、ミフルにとっても、ここにファウがいるのが不思議なくらいなのだ。


「例の水晶だな」

 というリゾは剣を鞘にしまっている。

 グレスは大きな剣を顔の前に構えているフリをしながら、ファウから顔を隠している。かなり不自然な構えにも思えるのだが、ファウにさえバレなければいいのだろう。

 内緒の話だが、グレスはファウの親戚に当たるらしい。

 この場にいるファウにさえ、素性がバレなければいいのだろう。

 気配を消しつつ、そうっと立ち去っていた。


「おまえに話がある」

 そんなグレスを気にする風もなく、ファウはリゾにそう言うのだった――。



明けましておめでとうございます。

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