予期せぬ来訪者
諸事情により、文章を足しました。
「リゾっちー、あ~そぼ~!」
能天気な馬鹿明るい声が外から聞こえた。
どうリアクションすべきか悩んでいると、また声は聞こえてくる。
「リゾっち~!遊びに来たよ~!!」
ドアを開けると、まぶしい日差しの中、大きな剣を肩に担いだグレスが立っていた。
「遊ぼうぜ!リゾっち!!」
「そんな呼ばれ方したことないが?」
怪訝な顔のリゾが、グレスにそう告げた。
グレスは歯を見せ、にかっと笑う。
「固いこと言うなよ。どうせうじうじ悩んでたんだろ? 遊ぼうぜ」
グレスはリゾに剣を見せつけるように、ゆっくり肩から下して、握りなおす。
「わかった」
リゾも剣を持ち、にやりとする。
*
対峙する二人。
先に仕掛けたのは、グレスの方だった。
体に不釣り合いの剣を構え、突進する。
それをリゾは剣で受ける。
金属がぶつかる音が響く。
二人が互いに押し合い、互いを凝視し合う。
そして、挑発なのか、グレスがこう言った。
「魔法使ってもいいぞ」
リゾは答えず、後ろに下がった。
すうっと息を吐き、剣を振るう。
すると、剣身から攻撃魔法が銃弾のように放出される。
グレスはそれをすべて弾き返した。
「驚いた。こんなのも出来るんだ。だが大した威力じゃないな」
グレスとしては挑発のつもりだったが。
「弱い相手を委縮させる程度の攻撃魔法を考えていたんだ」
「……なんだ、それ?」
リゾは、ネードの腕を切り落とした時のことを思い出していた。
キョウに諫められ、それから――。
*
リゾとグレスの戦いを見ている者がいた。ミフルだった。
家を建てるため、環境維持ロボで行動することが多かったが、人間の体も動かしておかないといろいろまずいらしい。
軽い散歩のつもりで、リゾの家付近を歩いていた。そんな時に二人の戦いに出くわした。
ミフルの目から見た二人の戦いはすさまじい。
同じ仲間がどうしてそうまでして戦うのか――?
リゾが魔法を駆使し、グレスがはじき返す。
グレスが反撃しようとした時、ミフルは二人を止めなきゃと思った。
ミフルは二人の間に割って入り、魔法の壁を作ろうとした。
ミフルが駆けだそうとすると、その体は後ろに引っ張られた。
「危ない!」
驚いて振り返ると、そこにいたのは意外な人物だった。
どう考えても、ここにいるはずのない人物。
いや、そんなことよりも、
「あの二人を止めないと」
ミフルが説明するも、その人物は首を振る。
「あの二人は大丈夫。本気でやり合ってるわけじゃないから」
「でも……」
「あの二人より、子どものあなたが間に割って入る方が危ないから」
「………」
失礼だな、と思いはしたが、外見が子どもになってしまったミフルは言い返す言葉もなかった。
そんなやり取りにリゾとグレスが気づかない訳もなく、二人は戦うのをやめていた。
「心配すんなって。仲間同士で怪我をするようなヘマな真似するわけがないだろ。こいつがグジグジ悩んでそうだから、遊び来てやった…ん…だ……」
と言うグレスは、ミフルの後ろにいる人物の顔を見て唖然とした。
「おい、おい! なんで、ファウをつれてきた!?」
そうなのだ。
ミフルを止めたのは、ファウだった。
「え? オレがつれてきたわけじゃ……」
むしろ、ミフルにとっても、ここにファウがいるのが不思議なくらいなのだ。
「例の水晶だな」
というリゾは剣を鞘にしまっている。
グレスは大きな剣を顔の前に構えているフリをしながら、ファウから顔を隠している。かなり不自然な構えにも思えるのだが、ファウにさえバレなければいいのだろう。
内緒の話だが、グレスはファウの親戚に当たるらしい。
この場にいるファウにさえ、素性がバレなければいいのだろう。
気配を消しつつ、そうっと立ち去っていた。
「おまえに話がある」
そんなグレスを気にする風もなく、ファウはリゾにそう言うのだった――。
明けましておめでとうございます。




