口調
おかしな状況のような気もするが、ケイにとってはその呼び方がしっくり来ていた。
「ルウの地を離れる時はそのバイオリンケースに魔力を蓄えて出てたんでしょ?」
シムゥンにずばり弱点を言い当てられ、焦ると同時にさすがだと思った。
「それよりも聖剣の方がもっと多くの魔力を蓄えられるよ」
ケイは聖剣を受け取ると、絨毯から降りた。
「本音はリムの願いのためにケイ君に来てもらおうとも思ったけど、強引なのはダメだね」
「まあ、僕としては強引は男は嫌いじゃないよ」
「そう?」
シムゥンはにこりとする。
「嫌われてなかったらよかったよ。シームァもケイ君のことを気に入ってるみたいだし」
そういうと、シムゥンは再び絨毯を浮き上がらせる。
最後に「ルウの地のゲートを見つけてほしい」、そう言い残し、シムゥンは帰って行った。
蛇足ながら、帰る際のシムゥンは、ルウの地を脱出中のネードとエニモスにぶつかりそうになった。それをかわし、颯爽と元のネトク鉱山へと飛んで行くのだった――。
*
「そんな訳で僕が初恋の人から聖剣を受け取ったわけで、思えば、僕のこの口調はジュピターが子どもに話しかける時の話し方……。そんなことも思い出したよ」
なんて長い独り言のような言葉をケイはつぶやく。
ミフルは座った姿勢のまま、首がこっくりこっくり揺れていた。
――話が長すぎたな。
ケイは反省する。
ミフルは子どもなのだ。もっと早く寝かせてやるべきだった。
「ムニャムニャ、聞いてるよ……」
目を瞑ったまま寝言のようにミフルは返事した。
「聖剣もらえてよかったね」
「まあね」
言いながら、ケイはミフルをベッドに寝かせてやる。
そして、ケイはそのまま床の上に寝転がる。
すぐにミフルの規則正しい寝息が聞こえ始める。
天井を見上げつつ、シムゥンが言うようにこのルウの地にゲートなんてあるのだろうか? そんなことを考えながら眠りについた――。




