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月色の砂漠 -ミフル-  作者: チク


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16/19

口調

 おかしな状況のような気もするが、ケイにとってはその呼び方がしっくり来ていた。


「ルウの地を離れる時はそのバイオリンケースに魔力を蓄えて出てたんでしょ?」

 シムゥンにずばり弱点を言い当てられ、焦ると同時にさすがだと思った。

「それよりも聖剣の方がもっと多くの魔力を蓄えられるよ」


 ケイは聖剣を受け取ると、絨毯から降りた。


「本音はリムの願いのためにケイ君に来てもらおうとも思ったけど、強引なのはダメだね」

「まあ、僕としては強引は男は嫌いじゃないよ」

「そう?」

 シムゥンはにこりとする。


「嫌われてなかったらよかったよ。シームァもケイ君のことを気に入ってるみたいだし」

 そういうと、シムゥンは再び絨毯を浮き上がらせる。


 最後に「ルウの地のゲートを見つけてほしい」、そう言い残し、シムゥンは帰って行った。


 蛇足ながら、帰る際のシムゥンは、ルウの地を脱出中のネードとエニモスにぶつかりそうになった。それをかわし、颯爽と元のネトク鉱山へと飛んで行くのだった――。



     *


「そんな訳で僕が初恋の人から聖剣を受け取ったわけで、思えば、僕のこの口調はジュピターが子どもに話しかける時の話し方……。そんなことも思い出したよ」


 なんて長い独り言のような言葉をケイはつぶやく。

 ミフルは座った姿勢のまま、首がこっくりこっくり揺れていた。


――話が長すぎたな。

 ケイは反省する。

 ミフルは子どもなのだ。もっと早く寝かせてやるべきだった。


「ムニャムニャ、聞いてるよ……」

 目を瞑ったまま寝言のようにミフルは返事した。

「聖剣もらえてよかったね」


「まあね」

 言いながら、ケイはミフルをベッドに寝かせてやる。


 そして、ケイはそのまま床の上に寝転がる。

 すぐにミフルの規則正しい寝息が聞こえ始める。

 天井を見上げつつ、シムゥンが言うようにこのルウの地にゲートなんてあるのだろうか? そんなことを考えながら眠りについた――。



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