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月色の砂漠 -ミフル-  作者: チク


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12/19

いい名前


     *


「ジュピターって、いい名前だろ……」

 ケイがうっとりしたようにつぶやいている。


「そうかぁ?」

 ミフルは首を傾げる。

「そんなことより、話の続き! その女は? その後、どうなったの?」


 すると、ケイはふうとため息をついて、

「……覚えてないんだよね」


 ミフルはズッコケた。

――わざわざ一息ついて、もったいぶって言うことか!


「僕も子どもだったし、女には興味ないし……。その後、数日間、彼と一緒に過ごしたのは覚えてる。雪の降る地で二人で暖炉を眺めながら話したりもしたよ。あの時の出来事は夢か昔読んだ物語かと思ってもいたけど、それが現実だったと思ったのは彼に会ったから――」


「彼って?」


 ケイは、シームァを追いかけネトク鉱山で再会した時のことを話し始める。



     *


「じゃあね、シームァ君。元気でね」

「えぇ、あなたも」


「待って」

 シームァに別れを告げたケイに、シムゥンが呼びかける。

 ケイは振り返る。


「僕たちと一緒に行こうよ」

 シムゥンの提案に、ケイは不思議そうに首を傾げた。

 ケイにはシムゥンの真意が分かりかねるが、真摯に断る。


「僕にはルウの地でやることがあるから」

 立ち去ろうとするケイに向かって、シムゥンは持っていた聖剣を突き刺すように投げる。それはケイの眼前でピタリと止まった。



「リムが気に入ったみたいでね、嫌だというなら力づくでも……」

「激しいね」

 ケイはなんだか懐かしいような気持ちになっていた。

 一見穏やかそうだが、その実、激しい気性の持ち主。そんな人物に絶対に会ったことががある――そう思った。


 シムゥンは目を細め、ケイを凝視していた。

「ルウの地でなら強い魔力を発揮できるようだけど、本当は魔力なんてほとんどない。だったら……」

 弱点を瞬時に見抜かれ、焦るケイではあったが表情には出さない。


 ケイは魔法で聖剣を弾き落とそうと思った。

 魔法はほとんど使えない状態だが、ケイにはとっておきの裏技がある。


「機械仕掛けの魔法使い~僕と邪神様~ 」「月色の砂漠~コーヒー売りはチート嬢~」あたりを読んでいただければと思います。

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