洞窟へ訪問-2-
そんなミフルの思いを知る由もなく、ケイはミフルが持っていた剣を受け取る。
「彼は聖剣を製作中だとか言ってたっけ――。もっともこの剣が彼の作っていた剣かどうかわかりかねるけどね」
ケイは、座った姿勢のまま、剣を掲げた。
剣に映る自分の姿を眺め、何か思い出してるようだった。
「彼は邪神と呼ばれていたよ。彼はどうしても聖剣を作らなければいけなかったんだ……」
ミフルはベッドに腰かけ、ケイの話を聞いていた。
*
目の前の黒髪の男の子が恐怖で動けなくなり、栗色の髪の青年は相当困ったようだ。
「イオ! 緊急だ。すぐ来て」
男が呼びかけると、すぐにもう一人の男がやってきた。
「はい!邪神様!」
「邪神じゃない。×××だ」
「仰せのままに、邪神様!」
「…………」
栗色の髪の青年は確かに名前を言った。
だが、ケイにはどうにも聞き取れないのか、聞いた瞬間に忘れてしまうのか、とにかく覚えられない名前だった。
「×××だ! ×××だって言ってるだろ!」
青年は何回も名乗る。
その度に、イオは「はい、邪神様」と返事する。
やがて、邪神と呼ばれた男は無表情になったかと思うと、さきほどのナイフを出し、イオに向かって投げつける。
ひい!と悲鳴を上げるも、イオはそのナイフをかわしていた。
身のこなしが鋭いのか、青年がわざと外したのか――
*
ケイはそんな青年がますますかっこいいと思っていた。
「ますます怖がらせてどうするの?」
と、今度は女が二人現れた。
「まずはこの子のことでしょ?」
二人して、ケイのことを立たせる。
二人の女性が、幼いケイを囲むように見下ろす状態になっていた。
「こんな美人なお姉さんで緊張するでしょ?」
一人がウィンクする。
「きれいな顔つきねぇ?」
もう一人がケイの頬を触っていた。
「エルフかしら?」
と、笑顔で尋ねてくる。
ケイは緊張のため、ぎこちなく頷いていた。
正確にはエルフというより、エルフの血が混じってるのだが、上手く喋れる気がしない。




