過去のアサシン(掃滅戦①)
「アルパーティ、御前に参上致しました」
場所はギルドの広間。
師匠たちに倣い、最敬礼で頭を垂れる。俺たちに合わせて、この場にいるギルドの職員たちや冒険者パーティも、最敬礼で頭を垂れていく。
「面を上げよ」
(……確か……一回目は面を上げないんだよな)
事前に教わっていた事を思い出す。
侯爵様が面を上げろと言っても、一回目は上げてはいけない。
二回目で小さく上げて、でも目線は伏す。
最後に「拝謁を許す」と言われたら、侯爵様の事を見ていい。
貴族の方に対しての決まりだ。
「うっす」
「いやぁー堅っくるしかった!」
「リオン侯爵! お久しぶりす!」
「侯爵、酒奢ってくださいよ!」
「バーカ、オレらが奢るべきだろが」
(………えぇっ?)
が、そんな決まりを誰も守らない。酷く馴れ馴れしく……数年来の友人に接するかのような口ぶりで茶化していく。
師匠たちも立ち上がって、碎けた立ち方で伸びをする。
「お前たち一気に喋るな。耳は二つしかないんだから。それと、酒は奢るに決まっておろうよ! ハハハハ!」
「いよっ! 侯爵様っ!」
「さすがリオン侯爵だぁっ!」
「侯爵! 飯もよろしく!」
「リオン侯爵万歳!」
「侯爵閣下万歳っ!!」
(な、なんだ……? なんで皆こんなに馴れ馴れしいんだ……?)
侯爵が冒険者たちに近づいて、なんてことないかのよう雑談を始めた。
その後ろに、師匠とルディンが護衛に立つ。
貴族と平民がこんな風に接し合うのなんて、初めて見た。
戸惑っていると、ガルスのオジキに肩を小突かれる。
「戸惑っているなアルマ。だが、リオンと我らギルドの街の冒険者はこんなものだ」
「仲……良すぎじゃない……?」
「良すぎも何も、リオンは元々この街を拠点に冒険者をしておったのさ。エリーニュス家の家督を継ぎ、結婚するまではな。
身分を隠し、武者修行と見聞を広めるためと言って」
……貴族が?
偏見と言われたらそれまでだけど、貴族が剣やら鎧やらを纏って、
ダンジョンに潜るところが想像できない。
こう……紅茶を啜りながら優雅に菓子でも食べていそうな。
「ははっ、リオンは貴族の中では屈指の変わり者も変わり者よ。葡萄酒も静寂も優雅さも嫌い、粗野な酒と喧騒、泥臭いことを好む」
だが、とオジキが言葉を続ける。
「政の手腕は確かだ。……領内を見て回り、街々に暮らす民草の生活に直に触れて幾つもの改革を成功させてきた」
ただの冒険者気取りな、貴族のドラ息子ではない。……とオジキは言う。
確かに、ただ気前が良くて接しやすそうな人というだけなら、ここまでの歓待ムードにはならなかったろう。
「3年前。先代が亡くなり、完全な形で家督を継いだリオンは、街々の治安の回復とに尽力してきたの




