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はい、転生失敗です・・・。  作者: 桶星 榮美 OKEHOSIーEMI
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それぞれの持ち物

タスジャーク国では

王族・貴族・上流階級の子供は

3歳の誕生日に教会で

生まれ持った特性や才能を知るために

‟ケセコワ”と呼ばれる儀式を行うらしい

というわけで

いま両親とクソガキ二人も一緒に

教会へ向かう馬車の中である。

 

父親の名前は

キチェス・ゴコーゼッシュ男爵

ここカイッソウガ領の13代目当主

母親のリエッドは

元貴族出身で品格が漂うなかなかの美人である

夫婦仲は良く二人とも領民に慕われているようだ。


弟のラテルは

物静かで人当たりがよく女みたいな奴だ

末の弟ルクト

こいつは人を見透かし小馬鹿した態度でムカつく

私は長子である、ので三つ子の中で一番偉いのだ!


「どうしたんだいフォーラ、

 緊張しているのかな?何も怖くないよ」

いや怖いんじゃないですよ

あんたの膝の上にずーっと

抱っこされてるのが苦痛なんですよ!


――――――――


「お待ちしておりました、ゴコーゼッシュ閣下」

「神父殿、今日は宜しくお願いする」

「これは、まあ可愛らしいお子様方で」


こいつ怪しくないか?

手をスリスリしながら、胡麻をってるぞっ

「ラテル様ルクト様フォーラ様、

 3歳のお誕生日おめでとうございます」

「ありがとうございます、神父さま」

でたーお利口さんラテルが一人で先に言ってるよ

『ありがとうございます』


「ささっこちらへ。ではケセコワを始めましょう

 まずはご長男のラテル様

 この水晶に両手を添えてくださいませ」


おぉ、台座の上に

大人の顔よりでっかい水晶が置かれている


ラテルが水晶に手を添えると・・・

なんと水晶の色が変わった⁉

「さすがゴコーゼッシュ家の次期ご当主、

 見事な銀色です」


確かに水晶は銀色になっている

「銀色は高貴であられ、文武両道に優れている証です」

「それは頼もしい跡取りだ。父は嬉しいぞ」

平たく言えば器用貧乏ですよねぇ~


「次はルクト様、どうぞこちらへ」

おいおい、返事くらいしてやれよルクト


「お~なんと深い緑色、

 ルクト様は人並外れた学問の才能をお持ちです

 そして中心には一筋の紺色、

 これは精神の成熟さを現しています」

ようするに

とっつぁん坊やと言うことですねっエッへッへッ笑える。


「では、フォーラ様」

「はい」

皆の者、史上最強の陰陽師・安倍晴明が最後の弟子である

この兎良蝉丸つらせみまるの実力を見て驚くなよフフフッフ


さてさて手を添えてっと・・・

ふむっ?色が変わらない?何故だ、どうした水晶よ⁈

もしも~し水晶さ~ん休憩中ですかぁ?

おい!こらっ!なんで色が変わらぬ

私には何の才も無いと言うのか⁉

転生を失敗し宇宙の何処にあるかも知らぬ星に生まれ

紅い瞳に藤色の髪・・・

その上なんの才能も持ち合わせてい無いだと!

がぁーっ!情けないぞ蝉丸、なんと不甲斐ないことか

ちきしょーー!こんな水晶なぞたたき割ってや・・・  


あ れ?色が・・・

おぉ色が変わってきたぞぉ!

「ほら、みんな見て見て」

っと後ろを振り向くと

キチェスが

「黒く輝いている、黒など聞いたことが無い」

と困惑している


「貴方、フォーラの身に不吉な事が起こるのでしょうか?

 どうしましょう」

リエッドまで心配そうだ


まずいのか?これは、まずい色なのか⁈


「神父殿、いったいこれは?」

早く答えろ、キチェスの問いに答えろ神父!


「はぁ、これは・・・

 (黒⁉黒なんて知らん、教書にも載って無い。

 まずいぞ閣下の機嫌を損ねて

 謝礼金が貰えなければ愛人のニコに

 約束したドレスが買えなくなる。頑張れ私ー!)

 黒とは、全ての色を合わせ持った色なのです」

「要するに?」


「ご自身の努力しだいで

 いかようにも道を切り拓ける運の持ち主

 どちらへ嫁がれても立派な女主と成られるでしょう

 (口から出任でまかせ額に冷汗だよ)」 


「まあ、フォーラは良妻賢母に成れるのですね」

「そうですそうです、さようでございます奥方様」

「そうか、フォーラは我が妻のように

 素敵な淑女になるのだな」

「はい閣下

 (よし上手くごまかせた。神よ、ご加護に感謝します)」

 

ふむ、要するに私は全てにおいて優秀であると。

アッハッハッハ!見たか聞いたかガキ共よ

お前たちとは違いこの私は万能なのだ!

恐れ入ったかアッハッハッハ!


「フォーラ」

げっオヤジ抱き着くでない


「まだ嫁にはやらんぞ、いや父様とずっと一緒だぞ」

こら離せ、このオヤジ馬鹿が

汚いほほを私の頬に付けてスリスリするなぁ!

心配せんでも嫁になど行かんわぁ!

あーマジでウザイんですけどねぇ

誰かこいつを止めてくれー!

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