クリニックで検査しようぜ?
ご笑納くださいませ。
皆さん、おっぱいについてどれくらい興味があります?
大きいのが好き、小さいのが好き、美しいのが好き。色々ありますよね。
かく言う私、全く興味御座いません。
だって自分にあるんだもん。興味もありがたみもない。
重いわ、邪魔だわ、肩こるわ。あっていいと思った事なんか、正直一回もなかったです。
でもちょっと今はあってよかったと思ってます。ええ、ミリ程度。(笑)
それが何故かと言いますと。
遡ること5月2日。
偶々お風呂に入ろうとしていた時のこと。
そもそも前述のように胸に全く興味ない私なんですが、この時本当に偶然胸を見たんですよね。
そうしたら片乳がなんか濡れてる気がしたんですよ。
それが異様に気になりまして。
何でかっていうと、私5年前に乳腺炎というのを経験したんですよ。
乳腺炎というのはですね、胸には乳腺という超簡単に言えば母乳を作る場所があるんですが、そこに炎症が起こって、胸に圧痛とか熱感やら腫れが出るし、高熱が出る事もある病気です。
この時、滅茶苦茶胸が痛くて、ついでに乳首もとい乳頭から何か出てるような感触……つまり濡れてる感じがあったんですよ。
いやー、あの時の痛さときたら!
胸をギリギリ万力で締め上げたらこんなか!? っていうくらい痛いんですよ。
あ、万力解ります? 物を固定して締め上げるような工具ですわ。
私、痛いの大嫌い。指を針でちょっと突くような検査でさえ拒否したいくらい痛いの大嫌い。
なのでちょっと胸を触ってみたんですよ。熱感は無し、腫れてる風もない、まさぐってみましたけどシコリもない。仕方ないから乳頭に触ってみた訳ですが……濡れとる。
ぞっとしましたね。しかし、もっとぞっとする事態が。
乳頭から液体が出て来たんですよ。しかも赤い。結構赤い。なんか血っぽい。
「Oh……!」
マジで。
マジで口から「Oh……!」って出た。
いえね、前からちょっと気付いてたんですよ。
だって洗濯とかするし、それ以前に風呂で脱いだらブラのカップ部分が目に入る事もあるじゃないですか。
その時に、なんか妙な色の染みっぽいものがあったりしましたよ。
だけどそんな大量って訳でもなく、私吹き出物が出やすい体質なので、時々胸辺りに出来るんで、それが潰れたのかとか、まあ色々自分に言い訳してた訳ですよ。
だけど見ちゃった。血液っぽい何かが乳頭から出てるのを。
焦りますよねー。本当に焦った。
思わず見なかったことにしようとしたくらいには焦りましたね。
だけどここで私の悪い癖が出ちゃって。
気持ち悪いのは気持ち悪いけど、気になる物は気になるんですよ。見なかったことにしようと思う癖に。
なのできゅっと乳頭を摘んで見た訳ですよ。疚しいことは何もない。だって自分の指じゃん、何の気にもならんわ。
色気もしゃしゃりもなくきゅっとやった結果、やっぱり血液っぽいものがタラリとするじゃないですか……!?
「Oh……!」
本日2度目の「Oh……!」出ました。
これはもう確定です。なんか私の胸に起きてる。
認めたくないものだな……とか往年のロボットアニメのセリフを呟きつつ、仕方ないから観察を続けます。
それで分かった事が3つ。
1つはこの血液に見えた液体、どうも完全な血ではない様子。もう1つは単孔からの分泌だってこと。
単孔っていうのは文字通り1つの孔からの分泌だって事です。
乳頭には乳を運ぶ乳管という管があって、乳の出口になる穴がいくつか開いてるんですが、単孔ということはこの内の1つからだけ血液っぽい物の分泌があるってこと。
そして最後はその血液っぽい分泌は常時ダラダラある訳でなく、刺激があった時、服に擦れたり胸を強く圧迫したり、そういう時に分泌されているようだということです。
で、です。
この日、5月2日。翌日からゴールデンウイーク。時間は夜、寝る前。
風呂入って寝るしかないですよね、寝ました。
そして次の日。
ネットの出番です。
病気を疑う時にやっちゃいけないことを紹介します。
素人判断で病名を特定すること。
しちゃ駄目なんですよ! でもしますよね。仕方ない。だって解んないのって怖いんだもん!
そんな訳で、私もやってみました。
やほー先生の出番です。
取りあえず気になる症状っていうと、乳頭から血液っぽいものが出る。
そのまま打ち込んで検索検索!
検索結果が表示されますよね。その中の一番上からだいたい最後辺りまで似たような単語が並びます。
はい、皆さん想像できますよね。
「乳がん」
ガーン!? とはならなかったですね。
だってシコリとかなかったもん。
乳房の大きさが左右で大分違うとかも、ひきつれも、えくぼみたいな凹みもない。ちゃんと両手を頭の後ろで組んで鏡でチェックしたり、仰向けになって寝て触ってみたり、のの字を描くように触ってみましたとも!
えぇ、セルフチェックするくらいには動揺したんですよ。それが何か?
唯一引っ掛かることがあるなら、それはやっぱり血液っぽいものの分泌でした。
でもこれがねー。この血液っぽい分泌物っていうのがねぇ……。
そもそも乳頭から分泌物が出るのはあるあるなんだそうです。それでその分泌物の色が透明や黄色だと、それほど心配する必要はない。そういう説明がネット上にはよくありました。
だいたいお医者さんが書かれたブログやら、乳腺外科が担当する病状の説明やらなんやらはそのように載ってましたね。
問題は茶色・褐色・血混じりの分泌物なんですよ。つまり私の乳から出てるヤツ。
でね、出てる孔の数も問題があって、乳頭に開いてる複数の孔から分泌物が出る多孔性の場合もまた、そんなに心配するようなことでもないっていうのがほとんど。
だけど単孔性の場合は確率が上がるんだそうです。
何の確率かって? そりゃ乳がんですよ。
分泌物が血液混じり、もしくはそれに近い赤褐色、そして単孔性ときた。リーチかかってるようなもんじゃないですか。
私、生まれついての小心者なので、もうこれだけで凄く怖い。
別にね、この症状が揃ってたってすぐに乳がんだって訳じゃないんですよ。似たような症状を起こす、良性の腫瘍もある。寧ろ検査した7割はこの良性腫瘍で、悪性腫瘍、つまり乳がんは3割程度だって。
いや、3割もじゃん。10人検査したら3人はそうってことじゃん⁉
確率、ヤバない?
これはもう腹を括るしかない。でもさ、良性って人がほとんどじゃん? 別に病院いくことなくない? 大袈裟なんじゃないの? でもさぁ、解んないままだと怖いじゃん? 胃も痛くなるじゃん? なにせ小心者なんだし。
私の両肩で悪魔が2匹言い合います。片方天使じゃないのかって? 私の良心の天使は猫様にお仕えする時しか出てこないので。
大方右肩は小心の悪魔で、左肩は怠惰の悪魔ってとこでしょう。
しかし、病院に行くにしても今はゴールデンウィークの最中。後半戦真っただ中ですよ、何とも戦ってないけど。
関係ないけど働いたら負けTシャツと、明日から本気出すTシャツが欲しいです。
というわけで、仕方がないからご飯食べて小説書いたり読んだり、猫様にお仕えしたり、風呂入ったり寝たりと、ゴールデンウィークを怠惰に過ごしまして。
そして5月6日、土曜日。
5年前にお世話になった乳腺外科のある病院へと、しぶしぶ電話しました。
その病院は予約制とのことなので、とりあえず予約をとっておこうとしたわけですよ。
それで電話したところ次週の午後から~と相成りました。
もうねぇ、この間何考えて立って色々です。
タブーとされてる素人判断で病名を調べちゃったもんだから、葛藤が色々起こりまして。
もしも乳がんだったら?
いや、そんな訳ないし。
何でまだ決まってもないことでそんなウジウジと。そうだったところで、セルフチェックには異状なかったんだから、その状態なら初期だろう、初期なら5年後の生存率はかなり高いからビビるな!
でもそうだったら、手術でもなんでもするし、その後は健康に気を付けた生活するから、だから何とか……。
と、ここまで来て思い出したんですけど、私、検査にも行ってやしないんですよ。まだ何にも起こってない。
うん、まあ、はい。私は小心者。大事なことなのでもう一度言いますが、小心者なんですよ。
検査が必要かもしれない身体の異常が見つかったってだけで、コレ。これで検査いかずに放っておいたら、多分神経性胃炎です。ありがとうございます。
まあ検査の日時は決まったんだから、とりあえず餅つけ……落ち着けと自分に言い聞かせまして。
ついに5月13日、土曜!
その日は朝から雨。病院は私の家から自転車で20分。ツラい。
えっちらおっちら向かった病院で、まず問診。
胸に関わることだから、結構センシティブなことも聞かれます。まあ、しゃーない。
いうても月の物がいつ始まったとか終わったとか、直近の日にちとか期間やら周期、授乳経験があるかとかそんな程度。
恥ずかしがるような歳でもなけりゃ情報でもないのでさっくり記入。
個別に気になる症状を書き込む欄に「片乳から分泌物が~」って書く方が余程照れましたわな。片乳とは書いてないけど。
それで予約時間になって先生とご対面。
問診を見ながら受け答えしていきます。それで検査ってことになったんですが、エコーとマンモグラフィーですよ。
このマンモグラフィーってヤツが!
X線撮影の一種なんですけども、痛いの何のって!
上半身裸になって、撮影台に乳房を乗せて、透明な板で圧迫かけて撮影するんです。
けど乳房を台に乗せる時に乳腺を寄せて上げてするんですよ。
それこそ脇の方から寄せて上げて脇の無駄肉まで摘まんで寄せて! みたいな。これがもう私、技師さんの親の仇じゃないですよ? ってくらい摘まれるし、寄せられるし上げられるし!
寄せて上げてするブラジャー着ける時よりも寄せて上げてっていうか、捻りあげられてって感じ。痛い。凄く痛い。
けどそれだけじゃ終わらないんですよ。
この寄せて上げた乳房を透明な板でプレスするんですわ。
乳腺炎が万力で挟まれるようだって書きましたね。あれは嘘でもないんですけど、このマンモグラフィーのほうがそれに近いですわ。
この検査技術と道具作った人、そこに愛はあったんか……? いや、ない筈がない。だって病気を見つけるための物ですもんね。でも痛みに対する頓着はなかったかもしれねぇなってちょっとお怨みしました。メンゴ。
乳腺炎の痛みをもう一度味わいたくなかったから胸の異常を確認したのに、それ以上に痛いことになってて本末転倒じゃね? って思ったのはナイショだからね!?
これを正面からと側面からの二枚×片乳ずつの計四回撮影しました。
その次はエコー。
乳腺のエコーをするんですが、これもまた難儀な検査でした。
なにがってやった人は分かるかと思うんですが、エコーって動かすのにジェルを塗るんですよ。ヌルヌルするわけ。しかもそのヌルヌル、微妙にあったかいんですよ。気持ちが悪い。
この検査は最初に診察してくれた先生がやるんですが、その先生に「マンモグラフィーの最中、胸潰しましたけど何か出ました?」って聞かれまして。
正直胸が痛すぎてそれどころじゃなかったんで、見ていないことを伝えたらですよ。
「うーん、今出ますかね?」
「触ったら出るかと」
「じゃあ、触りますね」
そう言われたんで「はい」って返事したんですけど、思いっきり乳頭掴まれるとは(笑)
そして絞られました。私、虚無。
「あー……出てますね」
「……はい(死んだ魚の目)」
同性だし、検査中ですからね。こういうこともあるでしょう。
粛々と検査は進みます。
「はい、終わりましたよ~」っていう声とともに温かいタオルを渡されたんですけど、ジェルを拭けって事です。
でもねー、ヌルヌル量が多いんですよ。タオル1枚では何ともならんな。(笑)
なのでティッシュもお借りして拭いて拭いて拭きまくって、着替えてから待合に行きました。
で、結果。
ご近所の大きな病院へご案内されました。
所見としてはマンモグラフィーに異常は認めず。ただ乳腺エコーにて乳管拡張が見られるとのこと。
簡単にいうと乳管に何かあって管が拡がっている様子。でもその何かが良性か悪性かは判別がつかないってことで、大きな病院で確定させていらっしゃい(意訳)って。
結果はその大きな病院に持ち越すことに。
だからさぁ、私は小心だって言ってんじゃん!? なんでこんな解んない状態が続くかな!? 私、何かしたっけ!?(ガチギレ)
……してないとは言わないな。結構不摂生な生活してるし。
そして伝説へ、じゃなく、大病院へ……。
この大病院がねー。大病院だから紹介状ないと診てもらえないんですわ。
手配してもらってまた1週間ほど、待ちまして。