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04.奴隷少女は決意する。

小説家になろうを初めてちょうど一週間が経過し、総合評価も100ptを突破しました!

読んで頂けるだけで凄い嬉しいのに、それだけじゃなくさらに評価までして頂けるなんて……書き手としてこんなに嬉しい事はないです!!

読者の皆様、本当に本当にありがとうございます!

転生前の記憶を取り戻してから数日が経った。


相変わらず毎日奴隷作業をしているのだが、私の心は終始穏やかだった。


理由は「私はいつでもここから抜け出せるんだぞ!」というのがわかったから。


ただそれは、いつでも檻から抜け出せるというだけで、その先の事はまだ何も考えられてないのだが。


でもそれだけでもわかっているだけで、私の心持ちは全然変わる。


(必ずこの地獄から脱出してみせる……!)


私は心の中で改めてそう決心するのであった。


----


転生してからこの数日間、色々と調べてみたけど、新しい発見がいくつかあった。


まず1つ目は、ステータス以外にも開けるものを私は見つけた。


ソードファンタジアはゲーム画面で開く事が出来るものは、ステータス、アイテム、装備、アビリティの4項目だった。


(それならステータス以外も開けないのかな?)


私はそう思って、試しに1つ心の中で呟いてみた。


(アイテム、オン)


そう心の中で呟いてみたら、目の前に四角い箱のような物が表れた。


大きさはトランクケースくらいだ。


(これって……収納ボックス?)


中を覗いてみたが、特に何も入って無かった。


(この中に薬草とか食料を入れて持ち運ぶって事かな?)


私は試しにその日の食事だったカチコチのパンをそのアイテムボックスに入れて、そのままアイテムボックスを閉じた。


(アイテム、オフ)


これで一日放置したらどうなるか試してみる事にした。


この地下室の檻はジメジメとしていて湿気があるので、パンを一日も放置していたら確実に腐る。


だからアイテムボックスに入れたパンも、普通に考えたら痛んでしまったり、腐ってしまうはずだが……


(でも、もしもこのパンが食べられる状態のままを保ってくれるのであれば……)


奴隷の私にとっては貴重な食料だけど、このアイテムボックスの仕様がわかれば、強力な武器になり得る。


そう思って、私はこの日は何も食べずにそのまま眠りについた。


次の日の夜、奴隷作業を終えて檻に戻ってきた私はもう一度アイテムボックスを開いた。


(アイテム、オン)


そう呟いて、昨日アイテムボックスに入れたパンを覗いてみた。


パンの見た目は……昨日入れた時と変わっていないように見えた。


実際に取り出してみたが、湿気にやられてしまっているわけでもなく、カチコチのままだった。


(触った感じも昨日と同じだ)


手に取ったパンの匂いも嗅いでみたけど、危なそうな匂いはしなかったので、私はそのまま恐る恐る口に入れてみた。


(……うん、大丈夫。これは食べれる)


特に痛んだりはしていなかった。


どうやらこのアイテムボックスに入れた物は、再び取り出すまでは、入れた時の状態を保ってくれるようだ。


(これは……絶対に必要になる!)


ということで私はここから脱出するために必要になるであろう、アイテムボックスを手に入れる事が出来たのであった。


----


2つ目の発見は、私は常に人間離れの身体能力になっている!……というわけではないという事だ。


私のステータスはだいぶおかしい事になっているのだけど、でも普段の私の身体能力は普通だった。


私の身体能力が異常になる場面は、何かしら集中をしている時にそうなるような気がした。


それに気がついたのは、数日前の奴隷作業で不可解な事があったことを思い出したからだ。


私が転生前の記憶を取り戻したあの日……水瓶の運搬を行っていた時の出来事。


私は水瓶を持って井戸に向かう時は、水瓶が重い……と思ったのだけど、水瓶に水を汲んだ後は、水瓶の重さは一切感じずにそのまま運べていた。


この日の私は井戸に向かうまでは、フラフラで集中なんて一切してなかった。


でも水を汲んで戻る時には、早く作業を終わらせようと必死に集中をしていた。


その時に、あれ……なんで重くないの? と、私は疑問には思ったけど、私はそこまで深くは考えなかった。


そしてその日の夜に私は鉄格子を折りかけたのだが……あれも集中する前は、引っ張っても鉄格子が折れる気配は全くしなかった。


でも深呼吸をしてから集中して引っ張ってみたら、一瞬でバキッ! とやってしまったわけで。


ここから推測するに、私は集中している時にのみ、このステータス値が適用されているようで、普段の私は普通の少女としての身体能力しか無いようだ。


でもこれは逆に言うと、自分の意思でこの化物級の身体能力を制御出来るということだ。


もし制御出来なかったとしたら、動くだけで色々な物を破壊してしまう事になっていたわけなので……


(ちゃんと制御出来る身体で本当に良かった……)


もし制御出来ない身体だったら、流石に魔族に危険人物と認定されてそのまま囲まれていたかもしれない。


そしてそこで運悪く魔王に目を付けられたりでもしたら……私はそこでゲームオーバーになっていただろう……


だからこの身体能力の謎について、早めに気が付けて良かったと、私はそう思った。


また、この身体能力……というか高ステータスについてもわかった事があるのだが、別に私は無敵なわけではないようだ。


単純な話、ステータスが如何に高くても、空腹には勝てないし、睡眠不足にだって勝てない。


実際に、私はアイテムボックスにパンを入れたその日は何も食べれなかったので、次の日には空腹で倒れそうになっていた。


つまり、モンスターとの戦闘に負ける事は無いのかもしれないけど、餓死や睡眠不足による衰弱死とかは余裕であり得るわけだ。


ということで私は、ここから脱走する前に食料の確保をすることを決めた。


幸いにも奴隷達の仕事には、食糧庫への材料運搬・清掃などがある。


なので食糧庫の仕事を与えられた時に、私はバレない程度に少しずつ食料をアイテムボックスに入れていった。


これで脱走後の食料問題はある程度クリアすることが出来た。


----


そしてこれが最後の発見なのだが……


いや、発見というよりも今更になって気が付いた……と言った方が合っているかもしれない。


私は心の中でこう呟いた。


(アビリティ、オン)


私の目の前にポップアップが表示された。


ここには私が現時点で使用出来るアビリティが一覧で表示される。


今の私はサイレンス状態だから、アビリティを使いたいと思っても使用は出来ないのだが。


いやそもそもだけど……


(私、アビリティ何も持ってないんだよなぁ……)


私のアビリティ画面は空白だった。


ということで最後の発見だが、今の私はアビリティを1つも覚えていないのだ。


(レベル1な時点で気が付かなきゃ駄目だろ!)


レベリングしなくても私強いじゃん! って思ったんだけど、これだと話は変わってくる、レベリングしないと駄目だ。


これは多分だけど、脱出した後に問題になってきそうだと、私は思った。


エステルはダークナイトというジョブだ。


このジョブは攻防DOWNや、毒や麻痺などの各種状態異常技を覚えてくれる、戦闘補助役としてとても頼もしいジョブなのだ。


そしてその各種状態異常アビリティに対応した状態異常回復アビリティも全て覚えてくれるので、敵のデバフにもかなり強く出れる。


ちなみにボス戦である毒の剣姫―エステル戦も、状態異常のデバフ技を多用しまくる鬼畜ボスだった。


“毒の剣姫”という呼称通り、毒技で起点を作り、そこから麻痺や混乱、睡眠などの状態異常でこちらの行動を阻害しながら徐々に体力を削ってくる……


そしてこちらが甘えた動きをしたら即座にバフ技を積んできて、そのまま高火力の攻撃で一気に畳みかけてくるという非常に恐ろしいボス戦だった。


「お前絶対にCPUじゃないだろ!人の心持ってるだろ!!」って叫びながらプレイしたのはいい思い出だ。そして5回もゲームオーバーを食らったのもいい思い出だ。


まぁそんなわけで、エステルが覚えるアビリティは戦闘で役立つデバフ技が多くを占めているのだが、今の私は1つも覚えていない状態だ。


ここから脱出したとしても、そこから人間が住まう都市に向かうまでの道のりでモンスターと遭遇する事になるかもしれない。


いや、道中に出現する通常モンスターだけなら、私のステータス値ならアビリティを使用せずとも殴るだけで勝てるだろう。


でもそうじゃなくて、私のステータスと同程度の敵と戦わないといけない場面が来たら……アビリティが無いままだとキツイと思う。


そんな敵とはもちろん、ソードファンタジアに登場するボスキャラ達の事だ。


特に終盤辺りのボスキャラ達は、私とステータスはほぼ同じなはずだ。


しかも今私がいるのは魔王城……ここはゲーム上、ラストダンジョンなわけで……


はたして主人公のアーク達が今から8年後に戦う事になるボス達と、今私が戦う事になる可能性があるのかはわからない。


でも……それでも、もしもの時に備えて私はなるべく早くにレベリングをしていかないといけないと思った。


(そんな日なんて……絶対に来てほしくないけど……)


ゲームと全く同じなら、“エステル”がレベルアップで取得するアビリティを“私”はちゃんと覚えている。


必要最低限の初期アビリティは10レベルまでに覚えてくれるから、ここから脱出が出来たら、まず最初にやるべき事はレベリングだ。


こうして私はここからの脱出の準備と、脱出後の目標を着々と決めていくのであった。

着々と脱出の計画&準備をしているエステル少女です。

もうそろそろ脱出させてあげたい……


戦闘シーンとか新しい仲間キャラの登場とか色々と考えているんですけど、全部脱出後の話なので、早くエステルを脱出させてあげたいんだ……私の書くスピードが2倍になればすぐにでも脱出できるのに……!

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― 新着の感想 ―
[良い点] エステルさんの能力の限界はどこにあるのだろうと思っていたので、完全に集中する必要がありました。 それはまた、なぜ彼女が偶然にすべてを完全に破壊しないのか、そしてなぜ彼女がそのようにとどまり…
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