腹黒女は泣いて笑った多重人格編2-2
私は、一人の人間だけど人格がたまに変わ
る。
名前は、しずか。漢字だと静。
大人しい私と凶暴な私。そして、少し変わ
ったひょうきんな私の三人が身体に入り混
じっている。
そんな私も恋をした。
好きな人の前では、大人しい私で占領され
ている。
気もきく素敵な女性。
とにかく人見知りなので慣れるまで大人し
い私。
でも、親しくなるにつれて様々な私が出て
くる。
特にひょうきんな私が彼の前ででしゃばり
だした。
友達と同じ感覚だ。
慣れてくるとたいがいひょうきんな奴が占
領しだすのだ。
大勢じゃない時、大概はひょうきんな私が
多い。
でも、彼と喧嘩をすれば凶暴な私。
暴れたりはしないけどとにかく口が悪い。
「はぁ?お前ふざけんなよ」
なんて言い出す。
そこは、大人しい私が頑張れよと思うけど、
上手くコントロールができない。
数分が経ち、ようやく大人しい私になる。
そして、何であんな暴言をはいたのかと反
省する。
もっと早く出てこいよ。
大人しい奴
バカだなぁと自分をせめる。
イラつくととにかく凶暴なやつがしゃしゃ
りでて来る。
事を荒げるから黙っとけと思う。
でてくるなと。
でも、優しい彼はそんな私を受け入れてく
れている。
ずいぶん振り回されているだろうに、そこ
も含めていいとこだなんて言ってくれる。
長い事お付き合いさせていただいている。
この人と過ごしていたら、いつのまにか上
手く笑えるようになっていた。
昔みたいにくくくくと笑わなくても大丈夫
になった。
思いっきり笑えるのは、最高だ!
スカッとする。
久しぶりに友達に会った時、普通に爆笑で
きた。
友達は、びっくりしていた。
口には出さなかったけど表情でわかった。
ちょくちょく出てくる凶暴な奴。
凶暴な私がでて来るとめんどくさいから、
そいつを大人しくする為に全力で流しの掃
除をする。
そうすると、大人しい私が戻ってくる。
もう一つの方法は、イヤホンをつけて大音
量で好きな歌をきく。
すると次第に身体が乗ってきて熱唱しだし
たり、歌いながらスクワットなどをはじめ
だす。
ひょうきんな私だ。
そうやって三人の私と共存しながら生きて
いる。
しばらくして、長年お付き合いしていた彼
と結婚することになった。
とにかく旦那さんの家族の前では、大人し
い私で占領される。
ひたすらしずかに。
おしとやかに。
旦那さん家族と離れるとすぐにひょうきん
な私が待ってましたと言わんばかりに顔を
だす。
私は、
基本旦那さんの家族の悪口は、言わない。
たとえ旦那さんから、この時こうだったよ
ねと、言ってきてもその話には乗らない。
旦那さんが自分の家族を悪く言うのはいい
と思う。
心の中では、そうだそうだ!もっと言え‼︎
と思っている。
でも、それを言っていいのは旦那さんだけ
だ。
私は、基本旦那さんの家族をよく言う。
旦那さんの家族も愛する事が幸せにつなが
ると信じている。
それに、味方は多い方がいい。
だから、私は言わない。
この間、旦那さんが自分の食べた茶碗を水
に浸しておいてくれなかった。
ついつい凶暴な私が顔を出す。
この前言ったのになんでやらねーんだよ。
茶碗洗おうと思ったのに、かぴかぴで洗え
ねぇ。くそっ。
ここは、大人しい私が旦那さんにものもう
せばいいかと思う所だけどそうではない。
本当は、ひょうきんな私が最適だと思って
いる。
ひょうきんな私は、旦那さんに向かって、
そういえばさぁ、今旦那さんいないから言
うんだけど、あの人何回言っても茶碗に水
に浸さないのよ。酷いわよね、奥さん。
と、あたかも近所のおばさんにでも話して
いるかのように旦那さんに話す。
旦那さんは、一瞬戸惑ったけど
あ〜、そうなんだ。
と言う風に話を合わせくれる。
そして、次からやってくれたりもする。
そうすると、お互い嫌な気持ちにならない。
凶暴な私がでて来ると、旦那さんも次から
やってあげようという気持ちにならない可
能性が出てきてしまう。
それに、喧嘩になってしまう可能性もある。
だから、それがいい方法だと思っている。
まあ、いつも都合よくひょうきんな私がい
るとも限らないのだが…
また、ある日はゴミの日だったのだが私は、
玄関にとりあえず忘れないようにゴミを置
いておく。
捨ててもらえるかもしれないし。
旦那さんは、仕事前に捨てて行ってみたい
な雰囲気だから、あえてそこに置いておか
ないでと言った。
確かに、捨ててくださいアピールだ。
でも、捨ててと言ってお断りされたら大変
だ。
なので、わざとそこに置いているのだ。
もう、置かないでと言われた私は
手をビシッと挙げて選手宣誓かのように、
私は、これからもゴミをそこに置きます‼︎
置き続けます!
と宣言した。
すると旦那さんは、宣言した…
といい呆れてそれから何も言わなかった。
たまには、ゴミくらいだしてよ。
嫌だ。
では、話が終わってしまう。
こちらの言い方次第で相手も反応が違って
くる。
誰だって強い口調で上から物申されるより、
違う言い方で注意された方が後味が違う気
がする。
まあ、たまには私もゴミ出ししますけど。
心の中で色々わめき散らかすのは自由だ。
このクソやろう!
黙れ!
いい加減にしやがれ!
というふうに、何を心で叫んでも相手には、
聞こえない。
顔に出さないようにしておけば。
そのまま、ダイレクトにいうと大変だ。
でも、心でさけんでスカッとするのは、問
題ないはずだ。
だから、腹ん中で憂さ晴らししようと思う。
これからも。
基本的に、昔は凶暴な私が占領していたの
だが、思春期頃は大人しい私。そして、今
は、ひょうきんな私がほぼ占領していると
思う。
仕事中は、もっぱら大人しい私だけど。
とにかく大人しく、いつもニコニコしてい
る。
でも、うっかり仕事中話が弾むとひょうき
んな私が顔を出してくる。
基本職場では、誰に対しても敬語だがひょ
うきんな私が出てくるとまれにタメ口が出
てしまう。
それだけならまだいい。
慌てて敬語に戻せばいいのだから。
だが、うっかり凶暴な私が出てきた時は、
とっても焦る。
どんなかと言うと、
楽しくおしゃべりした後にまた仕事を再開
したとしよう。
そしたら、不意に仕事仲間に話しかけられ
た時、
あぁ?
とドスの効いた返事をしてしまう時がある
のだ。
しかも、疲れ目のせいか常に眉間にシワが
よっている。
そんな時は、やってしまったと思う。
乱暴な奴。
急にきたー。
本当に油断ならない。
できれば、凶暴な私はずっと眠っていても
らいたいものだ。
凶暴な私がたまに顔を出してきたりするが、
以前こんな話を聞いたことがある。
大概の人は、自分で怒りを決められるのだ
と。
たしかにそう思う。
それを聞いてから少し考えが変わった。
もし、怒りに狂いそうになったら一呼吸し
て、どうしたらいいものかと冷静に考えて
立ち止まってもいいかもしれない。
ifを使って、こうしたらどうなる?
こうだったらまた違うかもと言うように、
自分で自分に相談もありじゃないだろうか。
不意に出てしまう凶暴は、なかなかどうし
たものか…
でも、怒りをコントロールするのが自分だ
としたら、もしかしていい方向に操作でき
るかもしれない。
脳みその中に誰か入ってて、いい方に進む
ようにコントロールしてくれたらありがた
いのだが。
でも、なかなかそうもいかない。
なので、自分が相手の立場だったらと考え
るのが一番手っ取り早いかもしれない。
大概人がイラつくのは、相手がいる事が多
いから。
相手を思いやる。
相手の感情も考える。
それもありかと。
だから私は、腹黒い事をたくさん思ってい
ても、いつも笑っていられるのかもしれな
い。