腹黒女は泣いて笑った2〜多重人格編〜その1
私の名前は、しずか。漢字で書くと静。
外では、名前通りしずかな女の子だ。
だけど、家ではとてもうるさい。
わがままだし、お行儀も悪い。
おばあちゃんによく、脚は閉じて座りなさ
いと怒られていた。
でも、毎回聞いていない。
すぐ脚がだらける。
でも、学校ではきちんと座っている。
だから疲れてるし家では、好きにさせろ‼︎
と思う。
自分でも三人の人間が身体に入り込んでい
るんじゃないかと思うくらい家と外では、
別人だ。
学校では、とにかく目立たなくて大人しい。
運動もそこまで得意でもない。
勉強もあまり出来ない。
小学校の頃は、髪が肩まであり前髪も長か
った。
実に暑苦しい髪型だ。
しかも、髪を耳にかけたりもしない。
ポニーテールに憧れて伸ばした時期もあっ
た。
でも、髪を縛ると頭が痒くなる。
だから、あまりしばらない。
見た目からして暗い。
だから、友達がいないかと言うとそうでも
ない。
人見知りがひどいから仲良くなって打ち解
けるまで時間がかかる。でも仲良くなった
友達とだけ、とにかくふざけあう。
仲良くなりさえすればとにかくよく友達と
笑いあっていた。
その時ばっかりは、よく喋る。
本当は、とにかくおしゃべりが好きだ。
でも、恥ずかしいから皆の前では、あまり
喋らない。
小学校の頃、週に一度程学級会議が行なわ
れた。
議題は、さまざまな。
言いたい事がたくさんあっても発言は、し
ない。
恥ずかしいし、反対とかされたら泣いてし
まいそうだったから。
でも、時に爆発したくなる時がある。
みんなが意見を言い出してわーわーなった
時。
「うるせーんだよ‼︎黙れよ‼︎」
と心の中で怒鳴った。
多分無言なのに、顔を真っ赤にして凄い顔
をしていたと思う。
誰かに見られてたかもしれない。
だとしたら、あいつ何?って思われたはず
だろう。
とにかく、言いたいけど言えるのは、腹の
中だけだ。
学校では、とにかく大人しい私がでしゃば
る。
無駄に緊張もする。
給食の時、しりとりタイムがあったけど、
とにかく嫌だった。
順番が近くなるとご飯どころではない。
ご飯くらい黙って食わせろ‼︎と、もう一人
の私が腹ん中で騒ぎ立てる。
大人しい私と、凶暴な私。もう一人の私は、
ひょうきん?というか、少し変わっている。
友達といる時は、だいたい変わったひょう
きんな私になる。
冬、下校中凄く寒かった。
だから、私はランドセルに下がっていた給
食の白衣をランドセルを下ろし羽織りはじ
めた。
一緒に帰っていた友達は、びっくりしてい
た。
さすがに、そうだろう。
そりゃあ、びっくりするでしょう。
何してるの⁉︎と言われた。
寒いから着るんだよ。
あまりにもあっさり私が答えたから、友達
は、
あ、そうなんだ。あったかそうだね。と返
事をした。
私も寒いときそうすると。
でも、白衣の帽子までは私は被らないかも
と言われた。
帽子も一枚被るだけであったかいのに。
その上にまた黄色の通学帽子を被った。
家でよく姉がテレビの歌をみて一緒に口ず
さんでいた。
そんな姉に私は、
うるさい。歌が聞こえないからだまれ!
なんて言っていた。
なのに、自分は好きな歌が流れると歌う。
私は、最悪な女だ。
そのおかげで、姉はカラオケが苦手だ。
学校で大人しい分とにかくストレスが溜ま
る。
母親が電話で長話をすると邪魔したくなる。
電話の隣の柱をよじ登り電話台の所に座る。
母親は、電話しながら、降りなさいと手で
合図する。
でも、無視して電話が終わるまで座ってい
たりする。
電話が終わると、何事もなかったかのよう
にしれっと降りてテレビをみる。
実に面倒な子供だ。
学校では、お友達にあったら元気に挨拶を
しましょうという教えがあった。
だから、毎朝隣の席の男の子が来ると
おはよーと必ず挨拶していた。
席替えをしても、必ず隣になった人に挨拶
を欠かさなかった。
人見知りだけど、隣の席の人はなぜか勝手
に仲間だと思い込んでしまっていた。
毎日隣にいるから親近感が湧いていたのか
もしれない。
その挨拶は、中学になっても続けていた。
ある時気づいた。
毎朝隣の席の男の子に挨拶をしていたんだ
けど、なんかたいがい隣になる男の子が私
を意識しだす。
なんなら、高校の時隣になった人に告白さ
れてしまった事もある。
そういうつもりで挨拶していたわけじゃな
い。
男ってそれだけで落とせるの?
少し優しくすると好きになるんじゃないの
なんて思うようになった。
もう、それ以来挨拶運動を辞めた。
少し反省した。
そして、極力好きな人以外には優しくしな
いと決めた。
身を守る為に。
自分をたくさんの人が好きになっても何の
メリットもないと思う。
逆に危険だ。
中学になり、あまり乱暴な私がでてこなく
なっていた。
やっぱり大人しい私がでしゃばる。
小学校の頃は、何でこの子だけ口が悪いの
かしら?と母親が悩んでいた。
でも、中学に入り家でも大人しい私がでし
ゃばるようになってきた。
でも、たまに友達が誰かの悪口を言い出
す。
私はうーん。どうなんだろう。
とか、まぁねぇ。
なんて言って話を終わらせてしまう。
人の悪口は、基本言わない。
なぜなら、それを誰かに変な風に言われて、
本人に伝わったら、めんどくさい事になり
かねないからだ。
だから、始めから言わない。
よっぽど気に入らない相手には、直接言う。
そこで急に凶暴な私がたまにしゃしゃりで
る。
でも、基本大人しい私。
そのせいなのか、上手く笑えない。
友達が爆笑してギャハハって笑っていても
私は、声を出さずにくくくくくくと笑う。
思いっきり笑えないからだろうか。
いつまでも笑いが止まらない。
くくくくくく。
だから、次の話題に友達がうつっていても
まだツボにハマっていて抜け出せない。
静かに笑うから友達が気が付かないときも
ある。
で、こちらをみて、
え⁉︎まだ笑ってんの⁉︎とびっくりされる。
みんなどうやってあんな風に思いっきり笑
えるんだろ…
うやらましい。
思いきり笑いたい。
そしたら、一気に笑えるからいつまでも笑
いが止まらないなんて事も無くなるのかも
しれない。
そんな何人も抱えながら私は成長して大人
になった。
そして、恋をした。
次号に続く。