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天才になりたかった変人  作者: 立花悠真
普通じゃない何か
8/15

彼のペース

門の近くに腰掛ける。

なぜ私は律儀に彼を待っているのだろう

勝手に帰っても何の問題もないはず。


しかし、断りきれていないもの事実。


そんな考えが頭をグルグル回って

最終考えるのをやめた。


10分ぐらい待っただろうか

彼はカバンを持って下駄箱から慌てて姿を見せる。


「お待たせ。」


靴を履きながら歩いているせいで

動きがぎこちない。

そんな慌てなくても今更逃げたりしない。


「別に待ってませんよ、ただ断れなかったので

勝手に帰るのもあれかと思いまして。」


「え!断られるの?俺」


「はい」


「でも、駅まで結局一緒じゃない?」


「そうですね」


「じゃあ、ついでに一緒に帰ろうよ」


「少し離れて歩いてください」


「なにそれ(笑)」


「特に意味はありませんが、近くで歩いていたら

それは一緒に帰るになってしまいますので、少し離れて…」


「要人さん面白いね」


彼は話してる間、笑ったり、驚いたり

表情が豊だ。


私は結構酷いことを言っているつもりだが

全く響いていない。


「私面白いですか?」


「うん、面白いよ」


「どういった所が…」


「うーん、説明するの難しいけど、みんなと違う所かな」


「はぁ…」


私は面白いから程遠いと思っていた。

でも今彼は私が面白いと言った。

単純にどの辺か気になって聞いてみたが、聞いてもあまりよく分からなかった。


「とりあえず、帰ろっか」


そう言って、私の背中を押しながら

歩き出す彼は何故か嬉しそうだった。


今の所全て彼のペース。

それが嫌な気がしないのは、彼の魅力なのだろう。


「はぁ…駅までですよ」


「やったっ」


顔をクシャッとさせて笑う彼の顔は

嫌いじゃないなと思わせられた。


私が心から笑ったのはいつだろう。

いつから色んなものに興味がなくなったのだろう。

めんどうが口癖になったのはいつだろう。

口数が減ったのは何故だろう。

夜、眠れなくなったのは何のせいだろう。


帰り道、4キロの距離を自転車を押して帰った。

歩いている間話した内容はどれもくだらない話だかりだった。

それでも、私は少し笑っていたきがする。


何を話していたか詳しく覚えていないが

一つだけ鮮明に覚えている彼のセリフ



「俺、多分好きだと思う」


そういった彼は珍しく下を向いていて

顔が見えなかった。


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