表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天才になりたかった変人  作者: 立花悠真
普通じゃない何か
4/15

名前

「誰か寝てるんじゃね?」


「カーテン閉まってるからそうかも」


あっさり、私がいる事がバレて焦るが

どうしようも無い。

頼むからカーテンを空けないで、覗かないでと祈ってみる。


「お前覗いてみろよ」


「は?お前が見たいんなら自分で覗けよ」


男子高校生の変なノリに、うんざりしながら

念の為寝たフリのスタンバイをする。


「知らない人だったらどうすんだよ」


「寝てるからわかんねーって」


「早く湿布貰って帰ろうぜ」


「おもんねー、ちょっとぐらいいいだろ」


「何か御用ですか?」


「「うわっ!」」


私は狸寝入りをチラ見されるぐらいならと

自分から姿を表した。


いつ来るのか、来ないのかと

出席をとられる時に似たあの緊張感が

我慢できなかったのも事実あるが


1番は早く帰って欲しかった。


漫画での寝不足を挽回する為

睡眠を最優先に考えた合理的な考えだ。


「先生なら2年のクラスか、職員室だと思います。」


「あ、ありがとう」


覗きに反対だった方の男子が、不動のまま

口だけ動かす。


「湿布欲しいのでしたら、そこの引き出しに入ってるので貰って行ったらどうですか?」


「あ、え、えっとー」


何をそんなにおどおどしてるんだ

さっきの会話を聞かれていたかもと

動揺しているのだろうか。


覗きたがりの、男子の方は何故かスマホを取り出し

いじりだした。

無駄にTwitterなんかを見て、誤魔化しているのだろう。

この、凍りついた空気を。


「サイズどれ?おっきめで後で切りますか?」


「あ、うん、そうしようかな」


固まって動かない男子に大きめの湿布を1つ渡す。


「ありがとう」


「どこ怪我したんですか?ネットとかテープいります?」


湿布だけ渡しても、足首とかならネットが居るし

背中とかなら自分では難しいかなとか

ついついお節介が出てしまう。


「俺、先戻ってるわ。」


と覗きたがりが空気に耐えられなかったのか

そそくさと友達を置いて退散する。


「多分突き指」


それを気にも止めないこの人も、まあまあな人だが

私は男子のこういう面倒でない付き合い方が

とても楽で好きだ。


女子はどうしても群れになり

傷の舐め合いをし、はみ出しものを嫌う習性がある。


別に悪いとは言わないが、私には合わない。


「じゃあ、テープいりますね。しましょうか?」


「お願いします。」


こういうお節介は、癖だ。

面倒臭いと分かっていても、長女だからか

ついつい手を出してしまう。


「結構痛い?」


「まあまあ痛い」


そう言って出された指は、まあまあ痛いには

分類されないであろう姿だった。


「は?これ湿布じゃ意味無いでしょ!とりあえず冷やさなきゃ、すっごい腫れてるし色もやばいよ?」


赤紫に変色し、パンパンに腫れた右手の中指。


「やっぱり?突き指初めてしたから。」


そう言って、のらーりとしているから

てっきり、少し当たったぐらいだとばかり思っていた

私は驚きのあまり、大きな声を出していた。


「やっぱり?じゃない!まあまあ痛いどころじゃないでしょ!」


そう言って氷水を入れた袋を持っていくと


その男子は笑った。


「え!何も面白くないよ?」


笑みの意図が分からず、混乱する。

痛すぎておかしくなった?と

ありえない推測をしながらハテナを浮かべていると

男子の口が動き出す。


「いや、最初めっちゃドライな人かと思ってたから

なんかイメージが違いすぎて」


とクスクス笑う男子。


そう言われて、やば!と

我に帰る。


「君って、2年の要人さんでしょ?」


「え、え?なんで知ってるんですか?」


もう、私は大混乱。

見覚えのない男子から、私の名前が発せられる。

それも、かなめ。


「要人さんってバドミントン部だったでしょ?1年の時」


「はい、そーです」


「俺、野球部」


「そうなんですね、で?何処で接点が…」


「え?気づかない?ちょっとショック」


「はい???」


頭で必死に過去を振り返り

目の前の男子を、探すが心当たりがない。


「ほら、羽くれるでしょ?バド部が野球部に」


「はい」


バドミントンのシャトルは結構が消耗激しく

すぐダメになるので、使わなくなったシャトルを

野球部にあげている。


シャトルをバットで打つ練習があるそうだ。


「要人さんが、野球部に羽を持ってきてくれた時に

倉庫に入れといてって言われた事無い?」


「ありました。場所分からなくて、あ!」


「そう!要人さん場所分からなくてグラウンドの脇に勝手に置いていったでしょ?」


「はい、あの時はすみません。聞くのが面倒で」


「あの後、羽がどこに行ったか分からなくて

バド部に聞きに行ったんよ、

でその辺の人に聞いたら、試合してた要人さんを大声で呼んでたから、そこで名前知った。」


「あの時の」


「その時も要人さん、先輩にもドライな感じだったし、試合も男子として無かった?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ