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天才になりたかった変人  作者: 立花悠真
普通じゃない何か
2/15

2回目の秋



電車に揺られ、耳にイヤホンを付けて、音楽を聴きながらケータイでTwitterを意味もなく見る。

いつも通りの通学。


家から1時間以上かけて、高校に通う意味は何だろうかと思い始めた。

電車に45分揺られ、そこから4kmの距離を自転車で走る通学。


慣れとは怖いもので、通い始めて半年は、遠いと思っていた距離も、1年通うと当たり前になり、なんとも思わなくなる。


1年半通うと次は、何故こんな遠いところに通っているのかという疑問に辿り着くことを知った高校2年の秋。


少し自転車で風を切ることに寒さを覚え始める秋。

私の通学は、忙しい。

今日も時間ギリギリ、少し立ち漕ぎをしたせいか息があがったまま、教室に入る。


「おはよー」

「はよー」


友達の挨拶も2年目にもなれば、適当になる。


「おはよー要人」


「あーおはよー」


この、見た目フリフリ可愛い女子なのに股をパカっと開けて後ろ向きに座る少し残念な彼女は私の入学当初から仲のいい友人、華咲ハナサキトモエ


名前まで可愛いのはさておき。

下着が見えてしまわないか心配になり目線だけで確認。

幸いスカートを腰パンしているおかげで見える事は無さそうだ。


「今日もギリギリじゃん」


「うん、自転車全力でこぎすぎて疲れた。既に家に帰りたい」


実際全力ではなく、少し立ち漕ぎをした程度だが

細かな説明をするのが面倒で嘘をつく。

実際、家に帰りたいのは本当なのだから100%嘘を言っている訳では無い。


「分かるわー、私も帰りたい」


常に無気力系の2人だから、成り立っている友人関係なのだろう。

服の好みも真逆、タイプも違う、共通の趣味も無い。

お互い何故、仲がいいのか分かっていない。

そんな所も逆に楽でいいのかもしれない。


(キーンコーンカーンコーン)


「あ、チャイムなった。じゃねー」


「うん」


「はい!朝礼やるぞー、号令かけてー」


チャイムとほぼ同時に教室に入ってきた、担任の先生。

いつも、チャイムが鳴る2分前ぐらいに教室の前の廊下で待機している。

ほかの先生は、先に教室に入っているのにその先生だけは頑なに廊下で待ち、チャイムがなると同時に入室する。

先生の拘りなのだろう。

生徒からするとありがたい、ギリギリまで友達と話せるのだから。


「きりーつ」


ガシャガシャガチャ


クラス委員長の号令に、皆気だるそうに席から立つ


「気をつけー、れー、はーざいまーす」


「「おはよーございまーす」」


委員長の独特な、声掛けにも慣れたものだ

野球部に所属してる為、部の声掛けの癖が抜けないのであろう。


「はい、おはよう」


「ちゃくせーき」


ガチャガチャガチャ


「出席取るぞ、阿部」


「はーい」


「伊藤」


「はいよー」


順番に名前を呼ぶこのやり方に疑問を持つ者など

ほとんどいないだろう。


私だって疑問を持つ事は無かったが、

自分の名前が呼ばれるのをソワソワ待って

数人前になると声がちゃんと出るか心配になって

咳払いをしたくなる。


そんな緊張に似た感覚を毎日してたら

寿命が縮みそうだ。


塵も積もれば何とやら

学生生活ざっと15年前後で

少なくとも2年程度は削られていそうである。


「はい、立花」


「はーい」


良かった。

声はしっかり出ていたらしい。


「渡辺」


「んー」


「休み無しな」


私のクラスは真面目が多いらしい

高校2年生なんて、サボりたいシーズン真っ只中。


そのシーズンに全員出席なんて

なんて真っ当な高校生をしているのだろう。

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