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死のブルーハワイ  作者: 虹峰 滲
2/2

死のブルーハワイ <解答編>

髭宮(ひげみや) 正午(しょうご)ーー刑事

小早川(こばやかわ) (さとる)ーー刑事

件田(くだんだ) 止水(しすい)ーー髭宮の同僚

冴樹(さえき)ーー鑑識課の美人


茶雷(ちゃらい) 痺人(しびと)ーー被害者


氷山(ひやま) いちごーー容疑者1

氷山(ひやま) 甜瓜(てんか)ーー容疑者2

氷山(ひやま) (あおい)ーー容疑者3

 死のブルーハワイ


 ――解答編――


 俺は容疑者をすべてある場所に集めたーーかった。

 本当は集めたかった。しかし、関係者のスケジュールをすべて合わせようとすると、一か月先になってしまい、なんか、いろいろと面倒だったので、犯人だけを目の前に推理を披露することにした。

 ついでに、俺の同僚である件田(くだんだ)をつれてきて、俺のほとばしる推理力でぎゃふんと言わせてやろうと思ってたのだが、忙しいの一言でキャンセルされた。


 今、真犯人の家で、真犯人を目の前にして、まるで探偵小説のクライマックスのように雰囲気を個人的に盛り上げて、立つ。賑やかしとして小早川も立っていてもらう。


「さて、今日はお集まりいただきありがとうございました」

「はあ。集まっていただいたのは、刑事さんたちのほうですよね?」

 真犯人はつかさずツッコミをいれる。ここは真犯人の家なので、至極真っ当なツッコミだ。

「ごっほん。えふんえふん。さて、忌まわしき、『死のブルーハワイ殺人事件』の謎を解いたので、今日はあなたに会いに来たんです。心菜(こころな)加加阿(かかお)さん!!」

「え。先輩! まずいっスよ!。心菜さんは……<問題編>の登場人物に書いていない人っスよ!」

 登場人物欄は作者の厚意で載せているだけにすぎない。登場人物以外からも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 被害者が容疑者三人とかき氷デートに行った。その後、行くことになっていた歯科医院。それが、心菜歯科(こころなしか)である。

「問題ない。我らが読者にはその程度の読解力がないと、面白くないだろう?」

「えーと、さっきからどなたとお話しているんでしょうか?」

 物語上は初登場である、美人歯科医、心菜加加阿さんは、栗色の長い髪を後ろで結び、妖艶な笑みを浮かべる。三股をしていた被害者のクズには大変もったいない、美女だ。

 だからこそ、残念でならない。彼女が犯人だからだ。

「あなたが犯人です。被害者の……茶雷クズ男を殺したのは!!」

「もう……すべて、お見通し、なのですね」

 思いつめた表情で、これから逮捕されることを悟った心菜さんは、特に何も言い訳せずに、その後お縄となった。

 しかし、それでは俺の推理披露タイムが無いので、俺は早口で推理を披露することにした。



 かき氷専門店「トド氷」で、小早川がレインボートド氷を食べていた。その小早川の舌を見たとき、閃いたのだった。



挿絵(By みてみん) 



「こ、……これは!!」

 事件当日の被害者は1時間おきに、違う味のかき氷を食べた。その場合、舌の色は三色混ざり合い、なんとも言い難い色をしているはずなのである。

 それなのに、殺された被害者の舌は、最後に食べたとされる、()()()()()()()()()()()! それはおかしい。

 被害者が、三者三様のかき氷を食べたのは間違いない。つまり、被害者のカラフルな舌を、誰かがきれいに掃除した、ということだ。

 それはおそらく、三姉妹の容疑者と会った後、被害者が行くはずだった歯科医院!

 俺の推測通り、そう、それは論理の(ロジック)爆裂疾風弾(バーストストリーム)……。

 犯人は、俺の推理と同じようなことを後の取り調べで吐いたようだった。



 ………………。

「もう……すべて、お見通し、なのですね」

 思いつめた表情で、これから逮捕されることを悟った心菜さんは、特に何も言い訳せずに、立ち尽くしていた。

「えぇ、まず被害者の舌を青く染めた理由ですがそr」

「心菜加加阿! 茶雷痺人殺害の容疑で逮捕状が出た! 逮捕する!!」

 突然心菜さんの家に乗り込んできた捜査一課の荒々しいメンズたちが、あれよあれよと犯人の心菜さんをわっしょいわっしょい担ぎ上げて出て行ってしまった。

「逮捕状……」

 三人との三股デートの後、被害者が訪れた歯科医院。そこで何らかの事件が起き、被害者は心菜さんに殺されてしまった。おそらく被害者は容疑者の体のどこかを噛みついたのだろう。血が出るほど噛まれたので、被害者の口内には、心菜さんの血液が付着してしまった。それを綺麗に掃除した結果、ベロのカラフルな色もきれいにしてしまった。被害者に最後に会った心菜さんは、最後に食べたかき氷の話だけを聞いて、咄嗟に被害者の舌を『ブルーハワイ』で染めた。

 そのことを裏付ける、心菜さんの血液が、被害者の口内から検出されたとのことだった。

「しっかり綺麗にしたと思ったのに。私、歯科医、失格ですね……」

 とのちに語ったとか語ってないとか。


 容疑者の家に二人残された俺たちは、とりあえずかかっていた冷房をきちんと切って、部屋を出た。


「小早川、かき氷でも食べに行くか?」

「うーん。先輩。セブンのまるで果実のようなアイスおすすめっスよ。俺が奢るんで、あれ、食べましょう!」


 外はうだるほど暑かったが、俺たちの友情は、アイスでほどよく冷えて、そこそこぬるかった。

 ブルーハワイを食べるたびに、今回の事件を思い出すだろう。

 あの、綺麗に青く染まった、小早川の舌を。



『死のブルーハワイ』    完。




心菜(こころな) 加加阿(かかお)--歯科医

好きなかき氷の味はレモン。

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