異世界転移の話①
「ふんふんふーん♪」
ボンビちゃんが青白く光る石?みたいなものを眺めながら足をパタパタさせていた。
「何持ってんの?」
「ん?これのことか?」
「それ以外なにがあんだよ。」
「あぁこれはな妖精の鉱石という装飾品等によく使われる石じゃ。」
「嘘つけよ。そんなの聞いたことないぞ。」
「当たり前じゃろ。この世界の物ではないからな。」
「どういうことだ?この世界の物じゃないって?」
「別世界から持ってきたんじゃ。」
「別世界?異世界みたいなの?」
「そうじゃよ。」
ボンビちゃんは何が可笑しいの?ってこちらを見つめていた。
「いや、ボンビちゃん異世界転移できたのか?」
「当たり前じゃろ。神様は全世界線共通なんじゃぞ。出来ても何ら不思議じゃなかろう。」
「初耳なんだが...」
「言う理由もなかろうと思ってな。」
「いやいや普通は言うだろ!!」
ついつい勢い余ってボンビちゃんに詰め寄ってしまう。
「異世界転移とかってオタッキー男子の夢なんだぞ!それをなんかこう...さ?さぞ当たり前の様に、生活サイクルの一部みたいに言われるとちょっと複雑な気分になっちまうんだよ。」
「なんか...ごめん。こんなに言い寄られることとは思わなんだ。」
「こっちこそ興奮し過ぎたな。ごめん。」
少し熱くなりすぎている。ついつい異世界という中二ちっくな言葉に過剰反応してしまった。まさかボンビちゃんにこんな追加オプションがあったなんて羨ましい。
「お礼として幸多も別世界に連れて行ってやってもいいぞ?」
「本当!?」
願っても無い誘いだった。つか連れていけるもんなんだな。よかった。
「うん。今すぐにでも行けるぞ。」
「なら、今すぐに行こう!」
「よし!」と言うとボンビちゃんは僕の手を掴んで何やらブツブツと呟きだした。
「門よいでよーー!」
ボンビちゃんがそう叫んだ瞬間、目の前に古びた巨大な扉が現れた。それには何やら不思議な文字のようなものが円形上に書かれており、中央にはまた違う種類の印のようなものがあった。なんとも幻想的で異世界転移のイメージを守り抜いてくれていてなんとなく嬉し。
「この扉を開くと異世界じゃぞ。準備はよいか?」
僕が大きく頷くとボンビちゃんは手を前に突きだした。そうすると目の前の巨大なギィーと大きな音を立てて開いた。次の瞬間中から無数の光の帯が僕らを包み込んだ。