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目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
序章〜異世界転移編〜
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ダイガスさんの裏の顔

ダイガスさん。一体何者なんでしょうかね?

ガタガタッ!


「……うん?」


ベッドが不自然に揺れたせいで、頭を軽く打ち目が覚めた。……いや、ベットではないな。

そう考えて、上半身を起こし周りを見る。……馬車の中だった。

だから不自然に揺れたのだと理解する。すると別の疑問が生まれる。


「……馬車? ……あれ、この馬車確かダイガスさんのだよな? ……なんで俺、馬車に乗ってるんだ? ……って、これ手錠じゃん!」


俺の両手には手錠がされていた。材質が鉄だったので、力づくで外す事はできない。

となると、鍵穴が見えるので、この手錠の鍵が必要だという事。


……とりあえず状況を確認しないと! 俺がそう考えて窓から外を見る。

今馬車が走っている場所は、今日の夕方も走っていた場所だった。……ダイガスさんはどうなっているんだろう。


ダイガスさんの馬車は金持ちだからだと思うが、今俺がいる広い部屋みたいな物が1つある。

野宿する時の荷物置き用と、商品が大量に乗せれるように作ってあるそうだ。

俺も初めて見た時は驚いた。


「とりあえず、前で運転してると思うダイガスさんに理由を聞くか」


普通に考えて、馬車の持ち主が運転していると考えるのは普通のことだ。

ならば疑問は一つ。なぜ馬車に俺が乗って、王都を出ているのかだ。

部屋の扉を開けようとする。手には手錠がされてるため、扉を開けるのは大変だった。


「……開いた」


少し手間取ったが扉を開けた。そこにはダイガスさんと、他に男が二人いた。

一人は運転をしている。ダイガスさんが運転しているのではなかった。

もう1人がこちらを見てきてニヤニヤしている。


「あっ……ダ、ダイガスさんこれはどういうことですか?」


と聞くと、二人のうちの右側の男が。


「バカなやつだな。まだ気づかねーのかよ。お前は騙されたんだよ」


「……えっ?……」


どういうことだ。……だまされた? ……俺が? 突然のことに動揺していると、運転してない方の男が


「かわいそうだから教えてやるよ。俺たちゃ奴隷商だよ。バロン王国のこの辺りは最近、『獣魔皇(じゅうまこう)』の一角の『白い悪魔』、白殺虎(ホワイトデスタイガー)が、暴れて廃村ばかりだからな。運良く残ったやつを、俺たちが奴隷として攫うわけよ。お前は何故か知らねーが記憶がないらしいが、大方そんときのショックだろ?」


と教えてくれたが、正直中盤は何を言っているのかよく理解できなかった。

分かったのは、ダイガスさんたちが奴隷商人で、俺は攫われたと言う事だ。


「おい、あんまりペラペラ喋るな!」


と、ダイガスが言った。じゅうまこう……なんだそれ? 知らない単語だった。


「坊主悪いな。俺はルーラシア帝国の奴隷商なんだよ。本来あそこは亜人至上主義だが、人間を運ぶ奴隷商人は違う。亜人にゃ俺たちは貴重な労働源を運んでくるからな」


ダイガスさん……いや、ダイガスはそうペラペラと喋ってくれた。運転している男が不機嫌そうな顔で、ダイガスさんを睨み付けていた。

そりゃそうだな。


「じゃ、じゃあ今までの情報も嘘だったんですか?」


「いや、あれは嘘じゃない。他の奴に聞かれて差異があれば疑われる。お前に語ったことすべてが事実だ」


俺の質問にダイガスはそう答える。もう俺はあることが確定している事が窺える。


「俺は……奴隷として売られるんですか?」


だが、それでも確認だけはしておきたかった。


「当たり前だ。俺にとってそれしか価値がねぇからな。スキルもあるが奴隷に飯を作らせるわけねーから、意味なしで銀貨五十枚ぐらいだな」


……浮かれていた。自分でも気づかず、異世界召喚されたと言うことに。

記憶喪失したやつなんて簡単に騙せる。初めてあった人にそんなことべき言うんじゃなかった。

いや、俺は人を見る目がなかった。ここの治安が日本ほど良くないのは、奴隷がいる時点で気づくべきだった。

俺はこれから奴隷として売られ、死ぬまでこき使われるだろう。


…………嫌だ! ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁぁぁっっっ!!!


俺は帰るんだ。何が何でも向こうに帰るんだ! ……落ち着け! 焦っても何も出ない。ダイガスの腰には鍵と剣がある。

他の男二人も、ナイフ見たいな短剣を持っている。両手を手錠で封じられている今、なにかしら動くのは愚策だ。

落ち着け、必ずチャンスはある。


黙ったままでいると、運転してない方の男が。


「とりあえず、まだお前の出番じゃねー!」


ゴンッ! ドサッ!


運転していない方の男に蹴られた。頭を軽く打ち、俺の意識はだんだんと薄れ、そのまま気を失ってしまった。


「おい。もうちょっと丁寧に扱えよ。傷物になったら価値が下がるだろ」


とダイガスが俺を蹴った男に注意するように言った。


「わりーわりー」


と、男がヘラヘラと笑いながらそう返す。絶対にちゃんと聞いていないのが分かった。


俺が起きたのは、それから一時間後。


ガシャーーーンッ!!!!!


と言う巨大な何かが落ちたような音が聞こえたからだった。

ダイガスさんは奴隷商人でしたね。どうなるんでしょう。

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