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目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
第二章〜No.8編〜
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夜の裏路地からの襲撃

今日はクリスマスイブです。皆さんは何をして過ごしますか?僕は塾です。彼女?何それ?美味しいの?(意味深)

それと前回の話で総合PV数が3000PVを超えました。ありがとうございます。


大毒蜘蛛を倒した俺たちはその後、大毒蜘蛛の素材をとる。そして俺の回復系の魔法《水癒ウォーターヒール)》を倒した猪に使った。効果は初級の魔法通りで初級ポーションよりも少しだけ効果は強いぐらいだった。効果も魔力で多少上下するだろうな。

他にも色々出来るようになったがそれは省略する。


その頃にはもう日は落ち始めていたのでここまでにしようとなったので、今は魔道具屋にルナを送り届ける所だった。


「ルナ今日はありがとうな。また、いつか縁があったら」


そういえば忘れていたが今日はちょっと助けたお礼で居てくれただけで明日からはまた居ない。今日はルナのおかげですごく楽になっていた。


「……縁って……またうちの店来なさいよ。いっぱいサービスするから」


さっきまで違い口調が大人しくなっている。


「嬉しいけどそれはお爺さんと相談しろよ」


「それはわかってるわよ!」ルナが怒ってきた。


「悪い悪い」そう言い頭を撫でて落ち着かせようとする。


「…だから頭を……」ブツブツ言いながらどんどん声が小さくなっていく。


「それじゃあ」撫でるのをやめて別れの挨拶をする。


「あっ……うん。絶対また来なさいよ。あとチワさ、チワも。……やっぱりチワさんで良いかしら?」


「……ルナさんが言いにくいなら……しょうがないですね。チワさんと呼んでください」


「分かってるよルナ。ばいばい」


手を振りそう言う。ルナが手を振り返して来る。こっちの世界にもこの風習はあるらしい。やった後で気がついた。これで?なんて顔をされたら恥ずかしいしな。


こうして俺たちは別れた。だけどこの後すぐに再会するとは思わなかった。



***


「……ルナの魔法凄かったな」


無言で帰るのも気まずいのでチワに俺が話を振る。現在、俺たちは現代でいう裏路地ぐらいの治安が悪い場所にいる。


なんでこんな場所にいるのかはチワが亜人であることから察してほしい。ちなみに泊まっている宿はチワのみ宿泊代が高い。ただし、宿があることからもスラムほどの酷さではない。


始めてここに来た時にはヤクザみたいなのが戯れていたが俺たちに絡み始めてチワと金を置いていけと言われたので締めた。すると次の日からは声をかけられなくなった。そして今は誰もいない。


「そうですね。私やトキヤ様もいずれはあんな風に成りたいです」


「……そうだな」あの魔法は凄かった。ルナが言っていた中級魔法もあれのことだろう。あの歳であれだけできるんだ。いずれは恐らくあるだろう上級魔法も使えるように……。なんて考えていた。その時急にチワが


「……トキヤ様。何か聞こえませんか。こう……鳥の飛ぶような音ですか……バサバサって感じです」


「え?いや……何も聞こえないけど」俺には聞こえないのにチワには聞こえる。……チワの『超聴覚』か!


「チワ!何処から聞こえるか分かるか?」


俺はチワにはそう訊く。チワの言う通りなら空を飛んでいる鳥の音だが……本当にそうなのか?


「難しいです。音があるのは聞こえますが……すいませんトキヤ様」


「いや構わない。チワが居なければ気づかなかったはずだ。ありがとうな」


普通の鳥なら俺にも聞こえてもいいはずだ。だが『超聴覚』持ちのチワでも難しい程の音量。この世界にもチワワに似たチワがいる。なら、他の動物、もしかしたらあの鳥もいるかもしれない!そう考えたその時だった。


「トキヤ様!上です!」


チワにそう言われて上を向く。すると、建物の上に半分鳥の姿をした白色の髪や服、背中から羽を生やした俺と同い年ぐらいの女の子が立っていた。亜人だろうか?あと何と言っても……胸がでかい。チワ以上だ。姿は今は辛うじて月の明かりで見えているが辺りは暗いためはっきりとは見れない。位置的に今俺たちは壁に張り付いた状態になっている。


「やっぱりか」俺がそう呟いた。


「トキヤ様どう言うことですか?」チワが俺のつぶやきの意味をたずねてくる。だが答えるよりも早くに女の子が口を開いた。


「すいませんが時間がありません。早速仕事を開始します。……恨まないでくださいね。これも仕事なんです」


なんて言葉を言い放ち、空を飛ぶある鳥の女の子。そして反対裏の建物の方へと行っていった。それから30秒ほどが過ぎる。


「……なんだったんだ、今のは?」


そんな呑気なことを考えている余裕などなかった。


「トキヤ様危ない!」


チワがそう叫び俺を突き飛ばして、チワ自身も倒れこんだ。


「いって!どうしたチワ?」


そう言いつつ俺がいた壁を見ると夜で見にくいが引っかき傷が残っていた。


「はあ⁉︎」嘘だろ!この壁一応石でできてるんだぞ!それを切ることができるほどの威力!!!!!


「なるほどあれを躱しましたか。やはり亜人の方が厄介ですね」


そんなことを言い、空を飛ぶ鳥女。


「チワ!あの子を絶対に見失うな!一度視界から外れたら音を聞き取れるチワすらも殺される可能性が高い!」


「はい!」


森からの帰りでよかった。武器もある。そう考えて飛ぶ鳥女を追いかける。だが角を曲がった途端に見失ってしまった。


「くそ!チワ!音は聞こえるか?」


「いえ聞こえません」


チワでも音は聞き取れる。それが聞こえないなら今は飛んでいないと考えるのが妥当だ。


フワッ。チワの耳はそんな音をとらえた。


「トキヤ様聞こえ…キャッ!」


チワの叫び声を聞き、横を見た。そこにはチワの背後から両足の爪で背中を切り裂いていた。防具は身軽にするためと、金銭の問題で最低限の胸当てぐらいしかつけていない。


「テメェェェーーーーーー!!!!!」


俺はそう叫び剣を俺に背中を向けているのでそこを斬ろうとした。


だがその瞬間首がこちらを向いたのだ。俺は驚き剣の勢いが緩む。当然避けられた。そうしてまた空へと飛んでいく。


人間である俺が飛ぶ音を聞き取れず、『超聴覚』持ちのチワでも居場所がつかめない程の静かさと、おそらくだが足の爪であの威力。そしてさっきの首の動き。俺の世界の知っている鳥類でこんなことができる種類を俺は一種類しか知らない。


そう……フクロウだ。

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