表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めて始まる異世界生活〜チートが無くても頑張って生きてみる件〜  作者: どこでもいる小市民
序章〜異世界転移編〜
3/158

異世界人との遭遇

一体どんな人なんですかね。

30分ぐらい歩いたと思う。その間、景色は変わらず辺り一面が草原。

歩いている道の途中から、日本ではテレビとかでしか見ない、透き通るような綺麗な水が流れていたので、両手ですくって口へと流し込み、喉を潤していた。


「……暑いな。この世界の今の季節は夏か? はぁ、ついてない。あっちじゃ冬だからな。気温差で身体がついていかない。今着ているパジャマも長袖だし……」


と、愚痴っていた。それに夏と考えたのは暑いだけではなく、太陽の南中高度も確認したからだ。

その結果、この辺りは大体日本と同じくらいの場所だということも分かった。


「……そう言えばお腹も減ったな。果物とか木に成ってないかな?」


そう言って俺は街の近くに生えている木の下に行き、木を見上げて探してみる。

まぁ、もし果物が成っていても、毒とかあるかもしれない。食べるのは限界が来た時だ。

太陽がまだ上まで上がり行ってないところを見ると、今はまだ朝らしい。


「それにしても、1つも村がねぇなんて……過疎化かな?」


30分歩いただけでそんな言葉が出た理由は、廃村を2つ見つけたからだ。一応家の中を探索し、ボロボロになった靴だけ頂いておいた。ぐっ、心が痛む。

30分で二つの村を見つけるってことは、村同士の感覚が近いのかもしれない。それなら、残っている村もあるかも、と歩きながら探してみたはいいものの、人が住む村は未だ見つかっていない。


俺は腰を浮かして再び歩き出した。その5分後、さきほど俺の目の前を通ったのと同じ種類の動物? と、三十代後半ぐらいの歳をとった、坊主頭のおっちゃんを見つけた。

その人は、俺を怪しむような目つきでこちらを見てきたかと思った途端……。


「¥$→〒×<→」


と言った。……なんて? いや分からないよ。


ズキッ!


俺がそんなことを考えた次の瞬間、初めて経験する頭痛を発症した。

……風邪をひいたときのような感じか? と俺が考えていると……。


「おい坊主、お前さんどっから来たんだ? そんな変な格好して」


とおっちゃんが俺に向けてそう言っているのが聞こえた。「いやあんただろ坊主は!」と、心の中でノリツッコミをした。


それよりも……よしっ! とりあえず言葉はわかる 。

さきほどの頭痛……。あれはこの世界に慣れていなかった俺の頭に、この世界の言葉を無理やり詰め込んだからとかかな?

それよりも、質問されたのに黙っているのもあれなので、俺は日本語で話しかけてみる。


「……すみません。俺、実は記憶喪失なんです。とりあえず……ここってどこかわかります?」


と、内心めちゃくちゃ緊張しながらだが、俺はおっちゃんにそう尋ねて見た。


「記憶喪失? ……そうか。ならその格好も頷ける。見た所何も持ってねーし。……とりあえず、すること無いならこっちを手伝ってくれ。後で金はやるし、色々説明もしてやる」


おっちゃんには少しの間があったが、そう答えられた。ここで日本語が通じることも確認できた。

それにお金もらえるのか。ありがたい。今の俺は右も左も分からない無一文。

おっちゃんのご好意に、ありがたくお手伝いさせて頂こう。


「わかりました。俺は何をすればいいですか? 言っておきますけど、力の無さに関しては自信がありますよ?」


正確には、約半年前まで部活で剣道をしていたので多少は自信があるが、ここの基準がわからないため、一応保険でそう言っておこう。


「俺の仕事はここらになっている果実 『パパパの実』の収穫だ。こいつは食べてもいいし、ちょっとした治癒効果もある。あれがそうさ」


と指をさして、木になっている『パパパの実』を見た。それは、さっき食べるかどうか検討していた実だった。


「ヘェ〜、あれって、『パパパの実』と言うんですか。……すごく言いにくいですね」


俺がそんな反応を示すと、おっちゃんはしゅんと反省したような顔つきになった。


「……悪りぃ、本当に記憶喪失なのかどうかを試したんだ。あれは本当は『パラパの実』って言うんだ。すまねぇな」


おっちゃんはそう言って頭を下げて謝ってきた。さっきの顔つきはそれが理由か。


「えっ! 別にいいですよ。記憶喪失なんて急に信じれるわけないですから」


そうか……俺は試されていたのか。まぁ、しょうがないか。

知らない奴にいきなり「自分、記憶喪失なんです」なんて言われても、それを素直に信じるなんて馬鹿みたいだしな。


「わかりました。パラパの実を収穫すればいいんですね。わかりました」


俺はそう答えて、おっちゃんと共に一時間ほど時間を掛けて、この辺りの木に成るパラパの実を収穫した。


「あんがとよ坊主。ほら、これが報酬の金だ」


と、布袋に入った銅貨を三枚枚渡されたのだった。これが初めて働いて手に入れたお金だった。

そう考えると心が熱くなっていた。

普通のおっちゃんでしたね。

ちなみに銅貨は百枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ