カンラン村到着そしてクエスト開始
翌朝早くに目覚めた俺たちはカンラン村へと向かっていた。
途中、猪を二頭見つけたので狩っておいた。
確かカンラン村は肉を欲していたのでついでに渡せばいいだろう。
太陽が真上に来る昼前に俺たちはカンラン村へと着いた。
ギルドで聞いた話だと50人ぐらいの小さい村らしいが。
「ひどいな」
「そうですね」
漏れた正直な心の声だ。
その村は畑と思わしき耕された地面があったが周りの柵は所々破壊されボロボロだった。
所々には血痕みたいなのも見える。どっちのだろうか?(村人か猪か)
とりあえずハクちゃんから降りて、村の中へと入っていく。
チワは村の入り口で待ってもらっている。
亜人だと、嫌な目を向けられるのが俺が許せない。
「誰だ!」
くわを片手に持っている13歳程度の男に声をかけられた。
見るからに痩せている。猪のせいでろくに食べ物がないのだろう。
「あなたはカンラン村の住人ですか?」
「そうだ!一体何しにきたんだ貴族め!払える税なんてとっくにないぞ!」
貴族?確かに男の服に比べたらいいものだとは思うがそこまで言うほどか?
……あぁ、ハクちゃんを見て貴族だと勘違いしたんだろう。
チワも連れているし、向こうから見たらハクニーと奴隷をお供させてるどっかの貴族の坊ちゃんみたいなもんか?
そしてチワが若干怒っていらっしゃる。
早急に誤解を解かねば。
「まず勘違いを解いて行こうか。俺たちはギルドから来た冒険者だ。貴族じゃない」
若干威圧的に話す。
勘違いされて怒っているとかではない。
ただ舐められないためには最初が肝心だ。
元の世界でもそうだった。
「えっ!ギルド!す、すいませんでした!。てっきりまた重税を納めろと言う貴族かと。この度はこんな村にまで来ていただきありがとうございます」
ころっと態度が変わり、あたまを下げて来た。
よほど困っていたのだろう。猪か貴族、どっちにかは知らんが。
「ところで他の人たちはどうしたんだ?」
周りには木造の家があるが人の気配があまりしない。
「現在、男は猪退治に。女、子供、老人は家の中で隠れています。もしも村の男どもから抜け出してこっちに来たらやばいですから、私はもしもの時の護衛みたいなものです」
だそうだ。
今、村を出ている男の人数は六名。彼を含めて七名だ。
他の女、子供、老人が三十七名。
残りは国からの傭兵に徴兵中らしい。
村長もあるが老人のためこの中に含まれる。
「現在確認されているだけでも30体近くの猪が確認されています。いくらなんでも数の多さに勝てず昨日
一人が足を粉砕骨折しました」
30体か。
日が暮れるまでには終わりそうだな。
「猪を狩るからハクニーを預けたい。場所はあるのか?」
「あ、はい。馬小屋なら」
ちなみに馬とハクニーの違いは大きさがハクニーの方が若干でかくて足が速く、危機察知能力があるらしい。
だから約金貨百枚の価値があるらしい。
ハクちゃんを預け、俺たち二人はヤンという名前の男に、他の男たちの場所を聞きその場所に向かった。
そこに行くまでの道中で猪を三匹狩った。
「トキヤ様。少し……血の匂いが」
「あぁ。俺もだ」
これが村の男たちが猪を狩り尽くしてできた血の匂いなら良いのだが嫌な予感しかしない。
何もなければいいが。
そんな期待を早々に打ち砕かれた。
目的の場所に着くとそこには、血が辺りに飛び散り3人の男が倒れていた。




