カンラン村への道中
ハクちゃんに俺が乗りその後ろにチワがいる。
まだ小さいが柔らかい感触が背中を包む。
このままこんなことを続けていたらいつか理性が蒸発しそうだ。
しかもチワにその意図が無いのがまた厄介だ。
今度からベッドは別にしよう。
部屋も別にしようかと迷ったが金銭的に無理なので断念した。
チワはハクちゃんに乗るのが初めてなので最初は怖がっていたが今はもう慣れたらしい。
俺の場合ははそれどころじゃなかったからな。
時々ウサギなどが見えるたびチワがはしゃいでいた。
今日の夕飯にしようと一匹狩っておく。
血抜はその場でした。
「チワ。俺お前がいて本当に良かったよ。ありがとう」
と言いあたまを撫でた。
チワは顔を赤くしつつ逃げはしない。
チワの弓で仕留めたのだが想像以上に使い方が上手い。
チワの住んでいたルコラ村(今は廃村)は大抵の人が狩りをしていてそれを見ていたそうだ。
その時コツなどを教わったらしい。
ならなんで職種の時言わなかったのかと聞いたら『トキヤ様の一番役に立つ職種になりたかったからです』と言われた。
やばい嬉しい。
この国の人は基本的に信用はしないがチワとハクちゃんはもうすぐ完璧に信用できそうだ。
そんなこんなしているうちに日が暮れてきたので今日はここらで野宿をする。
今は夏なので風邪をひく心配もあまり無い。
「なぁチワ」
「はい。なんですか?トキヤ様?」
「えっとさー、火の起こし方って知ってる?」
「はい。一応、村では主に狩りをして生活をしていたので、野宿も何回もしましたよ。」
えっ!俺より役に立ってね?
異世界知識でチートもできなさそうだな。
俺の知識じゃ木を擦れば摩擦で煙が出てくるので、それを吹けば火が付くという実戦経験ゼロの知識だけだ。
結果、火はチワにつけてもらった。
やり方を教わったのでこれからは練習がてら俺の担当となった。
あらかじめ血抜きをしておいたウサギを解体し、肉団子状にして洗っておいた竹串みたいなのに刺して食べる。
他には情報屋でこの辺りで取れる山菜を聞いておいたので、それらも採集して食べた。
***
その夜。
風呂は無いがチワが汗をかいたとかで水浴びしたいと言ってきた。
女の子だし匂いは気になるか、と思い許可を出す。
ついでに俺も浴びようとしてチワに止められた。
そういえば昨日は普通に一緒だったので忘れていたが、見た目も実年齢も14歳。俺も15歳。
俺にもチワにも悪影響なので先にチワが浴び、次に俺が浴びた。
互いに背中を向けて盗賊などの襲撃も警戒していたが今晩は大丈夫そうだな。
寝る場所は草原だが寝袋を2つ買っておいたのでこれで寝る。
チワはくっつけて寝ようと提案してきたが却下した。俺の方が無理だ。
その夜、俺の夢にはダイガスたちは出てこない普通の夢を見ることができた。




