初めての仲間 チワ
サブタイトルは仲間ですが正確には主人公の奴隷です。(扱いは仲間ですが)
「まず右から猫耳族の亜人です。次に鬼族の亜人です。最後が犬耳族の亜人です」
二十代前半、十代後半、年齢10歳ぐらいに見える。全員ボロボロの布切れを着ている。
「値段は?」
「右から銀貨三十五、銀貨四十二、銀貨二十八枚です」
「レベルは幾つなんだ?」
「21、35、3です」
ちなみに俺は25レベになっている。
「どこが壊れているんだ?」
「右からまず見ての通りですが右腕がないのと目が悪い。次が気性が荒く、言うことを聞かず、暴れられるため不意打ちで殺される可能性があるためです。最後が風邪持ちです」
「ふむ」
猫耳族は論外だ。
戦えない。
鬼族は戦闘面じゃ役に立ちそうだが俺の言うことを聞かず寝首をかかれそうだ。
犬耳族が一番マシかな。
値段も安いし小さくガキなら抵抗されにくいしな。
病気が風邪ならこいつが有望株だ。
見た目は俺の世界の『チワワ』だ。
少し茶色が混じった黒い毛にとんがった耳、クルンと丸まった尻尾が特徴だ。
犬耳族のメスを見ていると雪を思い出してしまった。そうなると嫌な感じがして来る。
「その犬耳族の風邪は直せるのか?」
「はい」
「ならそいつを買おう」
「ありがとうございます。では主人門を契約し奴隷には奴隷紋をつけます」
奴隷商人はそう言い檻から出す。
犬耳族は暴れない。いや……暴れられないのか。
小瓶に入った筆で犬耳族のメスに何かを書いていく。
「ではこれに血を少し垂らしてください」
俺は指先をを短剣で少し切り血を犬耳族のメスに垂らす。
「称号 『奴隷使い』を手に入れました」
またいらん称号が増えた。
奴隷のステータス画面が増えた。
『犬耳族
レベル3
固有スキル 超嗅覚 』
「これで完了です。奴隷代銀貨二十八枚と初めてでしたので主人門で銀貨二枚。合計銀貨三十枚をいただきます」
「はいよ」
俺は銀貨三十枚を払った。
「おい。名前はなんだ?」
犬耳族に聞く。
だが答えない。
奴隷紋を発動させる。
「キャーーーー!」
犬耳族のメスが叫ぶ。
なるほどこんな風になるのか。勝手に喋らせるだけかと思っていたがこれならもう使うのはよそう。
なんか……かわいそうだ。
「……チワ……です」
犬耳族のメスの名前はチワというらしい。
あれ?いつのまにかステータス欄にチワという名前が記入されている。
……もしや俺が認識しないと現れない隠しステータスなどがあるんだろうか?
例えば魔法技能とか。
森の戦いでも魔法を使っていた奴がいたしもしかしたら、この世界の人は認識していたのだろうか?
ならどこで?
とりあえずこの考えは後でにして、まずはチワの服を買わないと。
そして体を水洗いをして匂いや汚れを落とし、飯を食わせだ後は風邪薬を与えるべきだな。
そして装備を整えて……結構あるな。
「ではチワ行くぞ」
チワは俺が何をするのかわからず怯えている。
主人門を見せると奴隷門が発動するのが嫌なのか渋々俺の後ろを付いてくる。
俺は奴隷市場を出た。
まずは風邪だから薬を買いに行く。奮発した。銀貨三枚
次に川に水浴びに行く。
風邪だが匂いを落とさないとどこも歩けない。
匂いを落として(完全には落ちていないが)服を買いに行く。
尻尾穴がないがしょうがない。
買ったのは動きやすい半袖に短パンだ。銀貨二枚
ここまでチワは俺の行動に困惑している。
きっとムチで叩かれるなどと思っていたのだろう。
もともと目つきは悪かったからな。
「あ……あの!」
チワがきいてくる。
「なんだ?」
「これから……何をするんですか?」
「そういや言ってなかったな。俺はお前を育てて俺の手なり足なりなってもらう。今から装備を買いに行く。お前の得意な武器とかはあるのか?」
「え?ム、ムチでたたいたりしないんですか?」
「はぁ?するわけないだろう。お前は俺の大事な奴隷なんだから。これからビシバシ働いてもらわなきゃならんのに」
「じゃあ行くぞ」
俺たちは武器屋に行く。
チワは俺の後ろをさっきみたいに付いてくる。
だけどさっきよりも距離が縮まっている気がするのは俺の気のせいなのだろうか?
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銀貨五十三枚銅貨三枚から
チワ代 銀貨二十八枚 主人門 銀貨二枚
風邪薬代 銀貨三枚 服代 銀貨二枚で
銀貨十八枚銅貨三枚




