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#5 クワダテ (3)


 何となく不可解なしこりを心に残しながらも、待ちに待った捕獲作戦実行の日がやってきた。


 真咲にあれ以来変化はない。いつもどおりの様子で朝も家を出てったし…何かおかしな様子があったら同じクラスの志信ちゃんたちが気付いて教えてくれるだろうし…。気のせい、と思うしかないのか。


 それより今は“おとり”の女の子がどんな子なのかと、作戦が成功することに集中しようと思う。


 放課後、オレたちは栄子ちゃん指定のカフェで待ち合わせ。栄子ちゃん指定なだけあって、駅近だけど隠れスポットっぽい、かなりオシャレなお店。今度ここぞ、というデェトで使わせてもらおう。…ま、今日ちゃんと犯人捕まえて、噂がなくなってからになるけど…。


 とりあえず今集まっているのはオレと智史。オシャレなソファタイプの椅子に腰掛けて、これまたオシャレでシックなカフェエプロンのお姉さんに出された水を飲んでいる。


「昨日Diana To Moon出てたね。見た? あれって、新曲?」


「や、この前出たアルバム収録曲。…って昨日その番組でYUTAさんがそう言ったけど? 逸、見てたんだろ?」


 そうだったっけ…? 真咲の表情が気になってて、あんまりトークちゃんと聞いてなかった。ちなみにYUTAってのはDiana To Moonのギタリストだ。


「見てたよ。言ってたっけ? …でも曲は覚えてるよ。なんだっけ、♪Powerじゃない Moneyじゃない そんなんじゃ 手に入らない 君の愛♪ …題名…“光の…”なんだっけ?」


「“光の束”。」


「そうそう! アップテンポでノリのいい、いい曲だよねぇ。」


 なんて話しながら律と栄子ちゃんが来るのを待っている…んだけど。


「…律と栄子ちゃん、遅いね。」


 智史が呟く。…確かに…待ち合わせの時間から、既に十五分経過。


「…おとり役の女の子の説得に時間がかかってるのかも…。」


 大いに有り得る、と、二人してうなずき合ってしまった。


 ちょうどその時。


「ゴメンゴメン遅くなっちゃって。お待たせしましたぁ。」


 入口のドアを開けて、すぐさまオレたちに気付いた栄子ちゃんが手を振って駆け寄ってくる。…栄子ちゃんの後ろには、恐らくおとり役の女の子。思わずそっちに目が行ってしまう。


 …すらりと長い手足。女の子のわりにスレンダー…ってか、モデル体型っていうのかな? 白いレースをあしらった甘すぎないナチュラル風のキャミワンピが、その肢体をさらに綺麗に見せている。まだ顔はよく見えないけど、それだけでもオレにはかなり高得点。


 栄子ちゃんが極上の笑顔でオレと智史の座っている席まで来て、ようやく彼女の顔も見えた。…少しうつむいているので全体は見えてないけど、さらさらの長い髪から見え隠れする切れ長の目。可愛い、というより美人、て感じの、整った顔…。かなり、じゃない。ストレート直球に好みのタイプにストライク、かも…。


 ほぅ…。思わず見とれてため息が出てしまった。栄子ちゃん、なんでもっと早く彼女を紹介してくれないかなぁ…。こんな綺麗な子、今まで見たことない…。


「…あれ、栄子ちゃん、律は? 一緒じゃないの?」


 オレが惚けているのを横に、智史が尋ねる。あれ、そーいえば律がいない。てっきり栄子ちゃんと一緒に来ると思ってたのに…。


「…ここにいるんですけど。」


 律の声がした。かなり不機嫌そうな声。オレと智史はきょろきょろ、周囲を見回す。…でもここには栄子ちゃんと彼女、それ以外に店の中には誰もいない。あ、店員のお姉さんはいるけど。


 智史と二人、首をかしげる。と。


「だぁかぁらぁ、ここにいるってば!」


 バンっっっ!!! …キャミワンピのスレンダー美人が、テーブルを両手で叩く。


 …え?


 …まさか??


 …嘘だろ???


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