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#4 マチブセ (2)


 いよいよ夏休みまであと一週間を切った。待ちに待った夏休み…生徒全員、先生ら曰く、浮き足立ってる。当たり前だ。オレもわくわくしてる。


 そう、わくわくしてる。…はずなのだが。


 この夏は、なんかちょっとおかしい。例年なら、オレの夏休みの予定を女の子たちが躍起になって聞きに来るのに、今年はなんか活気がない。放課後誘われることも、何となく減ってきているような気がする。


 おかしいなぁ…まさか、まさか律の言ったとおり、人気が落ちてきた? まさかそんな、ねぇ。長年稜星でスーパーアイドルやってるけど、そんなことはありえない。


「…自信満々に言い切るなよ…。」


 そう律は呆れ返って言ったけど、だってありえないって思うんだもん。仕方ねぇよ。


 今朝もいつもどおり予鈴ギリギリの時間に靴箱で靴を履き替えていると、女の子たちに声を掛けられる。ほら、やっぱり人気落ちてなんかないじゃん。気のせいだったんだよ。さぁて、今日の放課後のお誘いか、夏休みの予定か、なんでしょう。


「逸さまおはようございます。あの、ちょっとお話が…」


 ちょっと前に今日の放課後一緒にカラオケ行こうって約束してた真理ちゃんと奈々ちゃんと芹香ちゃんだ。今日の約束の時間変更かなんか? なんかいつものきゃぴきゃぴ感が見受けられないのがちょっと気にはなるけど…。


「おはよう。なに、どうしたの?」


 気にせずいつもどおりのキラキラ輝くイケメンスマイルで答えると、代表して真理ちゃんがちょっと言いにくそうに話し始める。


「あのぉ…今日の約束なんですけど…」


「うん? 時間変更?」


「いえ…ちょっと、予定が入っちゃって…」


 真理ちゃんが奈々ちゃん、芹香ちゃんに目配せをする。しばらく三人、もじもじと言葉を濁しながら、次の台詞を出し渋っている。


 オレが三人をかわるがわる不思議そうに見ていると、奈々ちゃんが溜息まじりにとうとう口を開いた。


「…今日のカラオケの約束、キャンセルしたいんですけど…。」


 きゃんせる、…キャンギャル…は雑誌のモデルさんだよな。…ランドセル…とはだいぶ遠いし…。…きゃんせる…きゃんせる…キャンセルぅっ???


「すみません!」


 オレがボーっとしてると彼女たちは揃ってそう言って、逃げるように去って行った。


 …まさか、ホントに人気、落ちてる…?


 固まってしまったオレの耳に、ぼんやりと本鈴のチャイムが届いた…。





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