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腐ったみかんなんていません(断言)



私立エリート学園に無事合格した。補欠合格だったけどな!

そして順当に、その学校の落ちこぼれ教室だと噂されるE組に在籍する事となった俺。

大丈夫、それも全て計画通りだ。ただ少し計算外にレベルが高く、危うく受験失敗の憂き目を見る羽目になる所だったが、勝てば官軍。結果オーライという事で。


それから、なんやかんやあって事件に巻き込まれ入学式に遅れそうになるも時間までに到着。無事に遅刻を免れた。危なかったぜ。

式が終わると、次は各々充てがわれた教室にて時間まで待機だ。


しかし、腐ってもエリート学園という事でしょうな。E組という落ちこぼれクラスであるにも関わらずここに通ってる生徒らしく全員驚くほど隙がない。まさか入学初日から実用書片手に勉強ですとな? 真面目も大変結構ですが、これからこの学び舎で短くない期間を共に過ごす者同士、まずは互いに自己紹介から始めた方が後々の為にもよろしいのではなくて?


俺は、自分の席に鞄を置いた後、横の席に腰掛ける人物へチラリと目線を向けた。おっと、なにやら頭固そうな感じのテキスト眺めながら余裕そうな表情を浮かべているではないですか。ははーん?さてはアレだろ、実は表紙でカモフラージュした中身はグラビアアイドルの写真集とかで、どうせその分厚い瓶底眼鏡の下ではいやらしい笑みでも浮かべながらヘラヘラと夕飯のオカズの内容でも考えているんだろう?このスケベ人間め。

まったく、しょうがない奴だな。根暗そうだしどうせこの先女の子とも話す機会が滅多になさそうな奴と見た。ここは一つ、彼のためにも可憐なる美少女であるこの俺から声をかけてやろうではないか。可愛いだけでもなく気配りもできるなんてまるで俺は天使だな、だが惚れるなよ。




「ん?何か用かな」


「い、いえ。な、なんでもない、です……」


後ろから近づいて何読んでるのと声を掛けようとしたら、その前に振り向いた彼の瞳に睨み返された俺。眼鏡の奥からチラつく人を殺せそうな眼光に殺されるかと思った。つか本の中身は普通に活字の塊だった。挿してあるイラストは二次元の美少女とかでもなくて何やら危なげな実験の手順的なのが書かれてて……ごきゅり。


うん、入学初日だし、今日は友達作り頑張ろー。

だがしかし、この落ちこぼれE組のみんなは既に自分の世界で暮らし始めてて……。



「よーし、お前ら。席につ…いてるな。よし、ならホームルームを始めるぞ」



友達……出来るといいね、うん……。

賑やかしさに欠ける教室の中で、俺は一人悲しみにくれた。






さて、気を取り直してホームルームが始まった訳だが、先程の静寂は一体なんだったのかと問いたくなるくらい全員が社交的で、割と普通な感じで自己紹介タイムが進んでいった。

いや、普通じゃない。ここはエリート学園基準ではあるが、出来の悪い生徒を一箇所に固めて出来た問題児の巣窟である筈なのだ。日々やりたいことを我慢しながら好きでもない勉強に取り組めと周囲から発破をかけられてそれでも伸び悩む成績を前に人格を歪ませてしまった可哀想なお友達が大勢いてしかるべき場所なんだ。一人くらい、私語をわめき散らしながら授業の進行を妨げる生徒がいたり居眠りをしてしまう生徒が現れても不思議じゃないでしょうに。



だからって訳じゃないが、俺が寝たわ。つか知らぬ間に眠ってた。だって徹夜で自己紹介文考えてたんだもん。俺の憧れる在り方を体現する為にね。


「三島中から来ました、星宮夕日(ほしみやゆうひ)です。えっと……よろしくお願いします」


それだけ言って終わった。ネタに走ろうかと思ったがみんながマトモ過ぎてアホなこと出来る雰囲気じゃなかったのもあってか、いざ本番になると緊張して俺には言えなかったよ。まあ無難に終わったと思えば良いんじゃないかな。

ん?俺が目指す所?? そんなの、落ちこぼれなのに実は凄い実力を隠してる系主人公に決まってるじゃないか。影のヒーローとか、そんな感じで。俺は今日からこのクラスEで成り上がるんだ!

そんな決意を固めた所までは多分起きてたんだけどなぁ。


目が覚めた時はホームルームが終わり、今日の日程はこれで終了といった状況だった。クラスのみんなは寮に帰る準備を進めており、後ろの席の人に突かれて俺は顔を上げた。


「もう終わったよ?起きなくて良いの?」

「ふぁ?……ぁ、ありがとう、えっと」


与那原(よなはら) 花咲里(かざり)です。あの、よかったら一緒に帰りません?」


後ろの席のおとなしそうな女の子に親切にもご挨拶までされちゃって。まあ一応、名前は憶えてたよ。ね、眠ってても聞こえてるし!

そう、この俺はちょっとした特技を持ってる。それも眠っている時の出来事をハッキリと覚えてる系の人なのだな。と言っても、身体が揺すられたとか周りの音が聞こえたりとか、振動を感じたりとか、それぐらいしか覚えてないが。少なくとも周りで話してる事一字一句覚えてるぐらいには記憶力が働いてる。そのせいか普段から寝不足気味で、四六時中眠気に襲われているが。

その俺がすぐ近くの席で座る数すくない女子生徒の名前を忘れるわけがないだろう。クラスEは40人いるがそのうちの女子生徒はなんと5人しかいなかったからな。これは例年よりも低い水準で教室に来たときは大変がっかりさせられたね。選ぶクラス間違えたかなと。


だが俺の判断に間違えは無かった。一見かなり地味そうに見えるが、この子はかなりの美人さんだ。たぶんわざとだな、実は世間じゃアイドルともてはやされてますと言われても納得しちゃうね。あー、だからかー、なんて。そっちの方がよほど納得できる。


それから一緒に寮の自室に戻るまで時間を共にして、それぞれの部屋の前で分かれた。


「バイバイ、また明日も一緒に行こうね」

「こっちこそありがとう。またね」


ふう、心配だったが何とか友達ゲットだぜ。高校上がってからもボッチとか少し寂しすぎるからな。

しかしあの頃を思い返せば、いや止そう。それよりもなかなか変わったクラスだったな。なんだよアレ。全然優等生じゃないか。だれだよ、みんなを落ちこぼれだとか言った奴。初日だからまだわからないが、今のところ問題は無いし。かと言って特別カリスマ的な存在が出没するわけでもなかったな。普通も普通、圧倒的に普通過ぎて思わずここはどこかの研究開発チームとかのメンバーが集うラボラトリー的な場所かと思うぐらい円滑に学級委員とかの持ち回りが決まってたね。大変心強い限りだよ。だがひとつ言わせてもらっていいかな?俺が学級委員とか一体何がどうしてそうなったんだよ!俺の体で一体何をしてくれるんだ君たちは? 操り人形にされた挙句ご丁寧に腹話術まで使って元気いっぱいに立候補させられるとは思わなかったぜ。さてはみんなグルだったな?実は俺以外みんな知り合いだったんだろ、騙された気分だぜ。


だって、自己紹介なんか聞くまでもなく知ってますーって雰囲気で、どことなく漂う異様さを寝てても感じられた。いや、まさかなって思ってたんだけどなー。



そのまさかだった。

確信に至ったのは入学して2週間目の月曜だった。

入学から数日もすれば、クラス全員とある程度会話する機会もあり、友達も増えたのだが、今日、ついにハブられた。


「ごめん、ちょっと職員室行かなきゃだから、先に図書室へ行っててくれない?」

「うん、わかった」


そんな感じで一人、図書室へ。入った瞬間、他クラスの人たちから向けられる好奇の眼差し。たぶんE組の落ちこぼれがやってきたとか、そんな所だろう。全く、腐ったミカンだなんて、失礼しちゃうよね。

なるだけ意識しないようにしていたが、やっぱり気になるので冷やかしもほどほどに図書館を早々と退室。こんなところにいられるか、俺はこの部屋を出る!なんて意気込んでみたはよろしいが、さてどうしたものかと入り口で逡巡していると、目の前には数少ないお友達である芝崎怜奈(しばさきれいな)ちゃんが足早に何処かへ向かっていたのでいたずら心が働いてコッソリと追いかけてみることに。

なんかずいぶんと慌てた様子だなぁ。長い髪を振り払って一心不乱に、ぺ、ペースが速くてついていけないのですが……。


てか追いつけなかった。そしてここは校舎のどの辺でしょうかね?あーあ、失敗したぜ。こんなことならかーちゃんと一緒に職員室いけばよかった。


かーちゃんとは俺の母親、ではなく、最初に出来た友達である花咲里ちゃんの事である。しょうがないから一回下りて先生に聞くかーと思い、建物を出ると、向かいの部活塔の方でレイナちゃんを見た、気がした。


???


正直、あんまり自身がなかったが、なんとなく向かってみた。

そこで、見てしまったのだ……



「さて、全員そろったようだな」


「ふっ、またお前と顔を合わせる日が来るとはな」


「あらあら。お2人は相変わらず仲がよろしいのですね、久しぶりの再会とはとても思えませんわ」



……俺を除く、クラスの全員が、一堂に会して親しげに話しているところを。



「全く、あなたの目はずいぶんと曇ってしまったみたいだね。僕がこの男と?いったいどこを見ればそんな判断ができるものなのか、非常に興味がありますが」


「そういうお前らとだってあれから決着がついてないんだぜ。いいのかよ、そんな悠長に構えててよぉ」


「隙があると判断されるのでしたら、どうぞ。いつでもかかって着てください」



クラスの委員長、神野剣(かみのつるぎ)くんと、同じくクラス委員で俺の最初の友達である花咲里ちゃん。それから便底メガネを外して何人かやってそうなギラギラした瞳の浦霧馴道(うらぎりじゅんどう)くんが何やら争っている。


「あのさ、旧交を温めるならさっさと消えてくれない?」


日本刀ぶら下げた二条菫(にじょうすみれ)ちゃんがいつの間にか右手で抜刀してて気が付いたら3メートルは離れていた剣くんに肉薄してて首筋に煌めく刃を突きつけていた。


「別に私はアンタたちと手を組んだわけじゃ無いの、その所分かってる?

下りてくれるならこっちも動きやすくなる。その程度の間柄でしょ、私たちって。

「おっと、いきなり物騒だな。いや俺が悪いな。すまない、本題に入ろう」


そうして、俺を抜きにクラス会議が幕を開けた。

お、俺の知ってるクラスのみんなじゃない。

だって何かとてつもなく剣呑な雰囲気で、互いに互いをけん制しあってる。全員何かしらの武装をしてるし、一番頼りなさそうだと思っていた相良君ですら鈍色したライフル銃を下げて危険な感じを纏っている。

あの人型ロボは一体どこから入ったんだ?え、この場に居る顔触れからして、残るの二人だから、うち一人は、私の友達で、え?


「さて、本日の議題についてだが、例の情報についてはこの場に居る人たちには既に周知のことだと思う。それを踏まえてみんなの意見と立ち位置を再確認しておきたい。」



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