賭け
ストーリーの流れは前話"相談"と同じです。
陽菜穂side
昔から、男の人全般が苦手だった。
だから共学だけど、女子率の多いこの学校を受験した。
入学式の日。運命だと思った。
桜の木の下で佇む彼女。白い肌と風に揺れるショートカットと、少しだけ憂いを帯びたその表情を私は忘れることができない。
風山楓。学年受け持ちの先生だと知ったときは、本当に空に舞い上がりそうだった。
そして私は今、ひとつの賭けに出ようとしている。
先生、相談があるんだけど?
覗き込むと先生は、少しだけ姿勢を正す素振りを見せた。
何かしら考え事をしているときの、彼女の癖。
何?
ちょっとね~
渋ると先生は、大丈夫だよというかのように微笑み返してくれた。その笑顔に安心して、私はひとつ息を吐いた。
私の恋愛相談なんだけどね、私、女の人が、好きなの
先生、凄く驚いた顔をしている。当たり前か。
ここからが、賭けの本番。
引いた?
ここで引いたって言う顔とか声をされたら、諦めよう。
まさか。でも、ちょっと驚いたかな
先生は本当に、驚いただけのようだった。
そっか~
あっけらかんと笑う私。先生も、少しだけ笑った。
私は独身だから、あまり大きなことは言えないのだけれど。後悔しないで。ね?
はい。頑張るよ!出来る限りね
先生からのアドバイス。
まさか、自分がその人だなんて思ってないよね?
いつか伝えるわ、後悔したとしても。
だって、今この時が幸せなんだから。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。