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プロローグ

誤字脱字あるかと思いますが、

最後まで読んで頂けると幸いです?



ヒーローになりたかった。

悪党を倒す正義のヒーローに。



「佐々木先輩、この上の階に居ますよ」

「ああ…わかっている」


薄暗く、月光だけが辺りを青白く照らしている。

俺、佐々(ささき) 人助(しんすけ)と部下の松村まつむらは郊外にある錆びれた廃墟に侵入していた。

理由はこの廃墟に俺が前から追っている男、1年間で23名もの命を奪った凶悪連続殺人犯である桐崎きりざきが人質を連れて立て篭もったと言う情報が入ったからだ。


「まったく、なんで自分らなんすかね。殺人犯相手に銃1丁だけ持たされてどうしろと」

「松村静かにしろ。桐崎が人質引渡しは2人で来いと言う条件なんだから仕方が無いだろ?」

「そーっすけど……バカ真面目に受けなくても良いと思うんすけど、」

「バカはおまえだ。来る途中監視カメラが何台もあった。2人以上で来たら人質がどうなるか分からないだろ」

「うっ…そーっすね、」

「ああ、まぁ…おまえの気持ちもわからんでもない。……無駄話はやめだ。突入するぞ、気を引き締めろ」

「…了解っす」


俺達は合図と共に最上階へと繋がる階段を一気に駆け上がった。


「桐崎!!人質を解放しろ!!」

「あぁ〜来るの遅かったねぇ?もう少し遅かったらこの娘……殺してたよぉ〜?」

「…こいつ相変わらず頭イカレてるっすね」

「ああ」


最上階は所々壊れていて今にも崩れそうだった。

桐崎の近くには小さな女の子が目隠しと手を拘束された状態で横たわっている。


「酷いなぁそんな事言わないでさぁ僕とゲームをしようよぉ」

「ゲーム…だと?」

「そうだよぉ?殺し合いって言うゲームさぁさぁぁぁ」


そう言うと同時に桐崎は斬りかかってきた。


「くっ……」

「先輩っ!!」

「松村!!俺に構わずそこの子と逃げろ!」

「あれれぇ〜??浮気かなぁ??僕だけ見てよぉ!ねぇ!!ほらさぁ!」

「ぐっ…早く!!」

「……くっ、了解っす」


桐崎の獲物はナイフだ。刃渡りはそこそこ長く、コンバットナイフと呼ばれる種類のものだろう。まだ新人の松村と人質の子供をこの戦闘に巻き込むわけには行かない。


桐崎がナイフ縦に振り抜く。続いて横薙ぎ、突きと止まない攻撃は一貫性が無いように見えて、全て俺の急所を狙う一撃必殺のものだった。


(こいつ、強い。)

「あれあれぇ?こんなものなのぉ?」


斜め一線に振り上げられた斬撃は、ついに俺の左脇腹から右肩までを切り裂き、俺はバランスを崩した。


「ぐっ!?……」

「大したことないなぁ」


しかしそこで桐崎は油断したのか動きに隙が出来た。俺は素早く体制を立て直し。低い姿勢からタックルを仕掛けて肩固めまで持っていった。


「あぁぁ苦しぃじゃないかぁ」

「そろそろそのうるさい口を閉じて貰おうか、」

「そぉれは無理だねぇ、、喋るのは僕の性分だからぁ」

「なら力尽くだ」


俺は頸動脈を閉める力を更に込めた。


「あ、がぁ……」


そして桐崎は意識を失った。


「…こちら佐々木、桐崎を無力化した。応援を要請する」

「良くやった!!こちらは松村、人質の少女共に無事だ!」

「そうか、良かった、」


松村、人質の子供が無事で桐崎を捕まえる。

それでこの事件は解決するはずだった。

それが起こるまでは。

俺は桐崎の腕に手錠をかけた直後の事だった。完全に意識を失ったはずの桐崎が目を見開き、俺は蹴り飛ばされ壁に激突した。


「ぐはっ……」

「ああああ殺してやるぁぁあ」

「……な、何故だ、さっきのは完璧に入っていたはず」

「しらねぇなぁ、、俺が殺すって言ったら殺すんだよぉぉぉお」

「さっきのお前とはまるで別人だな、、桐崎」


まるで何かに取り憑かれているみたいだ。

俺はそう言う印象を覚えた。


「だが、これで終わりだ」


俺はそう言って胸元から銃を取り出した。

狙いは心臓。これ以上暴れさせる訳にはいかない。

そして…引き金を引いた。

腹に響くような音と共に、弾丸は桐崎の心臓を貫いた。


「っな、!?」

「痛てぇじゃぁねぇかぁ、なぁ?」


心臓を打ち抜いたはずなのに桐崎は生きていた。


「あぁ、人間の身体ってのはほんとに不便だぁなぁ?こんな鉛玉打ち込まれただけで死にかけるんだもんなぁ…この身体ぁもう長くねぇなぁ、」

「おまえ、何を言っている…?」

「気にすんなよぉぉ、まぁどうせ死ぬならぁ?」


桐崎はポケットから黒いものを取り出した。そして薄気味悪い笑顔を浮かべて言った。


「道ずれなぁぁ?」


ピッ

と言う何かの音がした。


「おまえなにをした!!」

「なぁに爆弾?とか言うやつを起動しただけだぜぇぇ、確か30秒で爆発だっけなぁぁ、ああああ愉快愉快」

「なに!?」


俺はさっき応援を呼んだ。

今このビルの近くに来るのはまずい!


「応答してくれ!」

「どうした、!何かあったか?」

「今すぐ応援を帰らせてくれ、爆弾が仕掛けられていて、爆発まで時間がない」

「なに!?…わかった、がおまえはどうするんだ!」

「なんとかします」

「なんとかするってどうー」


通信を強引に切って俺は再び目の前の敵と向かい合う。不敵に笑う目の前の男はナイフをこちらに向けていた。


「さぁぁ!殺し合いを続けよぉぉぜぇぇ!」

「俺はおまえを許さないぞ、桐崎」

「しらねぇなぁ?じゃあ行くぜぇぇ」


直後、俺と桐崎を大爆音を爆風が襲った。

ビルが爆発したのだろう。錆びれていた廃墟は、まるで土に還るように崩れていった。

俺は急な浮遊感に襲われ暗闇に落ちていった。

そこで俺は桐崎から黒い影が出ていったのを見た。

黒い角と翼を持った何か。アレが桐崎を操っていたのだろうか?

そんな考えは意識と共に消えていった。



ヒーローになりたかった。

悪党を倒す正義のヒーローに。

圧倒的な力と勇気で悪に立ち向かって行く、そんなヒーローに小さい頃から憧れていた。だから人を助ける職業に就いた。

だが、現実はそんな甘くなかった。桐崎がいい例だ。ヒーローなら倒していた。

だが俺は………止めておこう。

結局はその程度だったということなのだから。



「木先…佐…木…先輩………佐々木先輩!!」

「う、ぁ、」

「佐々木先輩!!大丈夫ですかっ!」

「この…状態で……大丈夫だと思う…か?」

「す、すみません……でももう少しの辛抱っすよ!医療部隊を呼んでるんで!」

「松…村……すまんな…」

「謝らないでください!先輩のおかげで自分も女の子も助かったんすよ!」

「あぁ…無事だっ…たかぁ…よかった…」


あぁよかった。無事で。


「ほんと…に……よかった、」


守れてよかった。


「先輩!」

「わ…るい…松村……もう目が…見えないん…だ」

「くっ…先輩……」

「なぁ………松村…?」

「っ、…はい、」

「俺…………ヒーローに…なれた…か…な?」

「何言ってんすか、先輩はすごいヒーローっすよ!」

「……そう…か」


よかった。最後に誰かのヒーローになれて。


「先輩!……先……!」


声が遠のく。意識が暗闇に引っ張られる。

身体の自由が奪われていくのがわかる。

終わる。


さよなら俺の人生。

ありがとう俺の人生。

最後にヒーローにしてくれてありがとう。



ありがとうございました。

作品は不定期で投稿させていただきます。

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