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序章
グラディスフィール
星辰より至った父母神の創りし世界。
そこに夜の帳を引き裂く光の柱が現れたのは、月の照らさぬ冬のある夜だった。
大地から生じて闇色の雲を貫き、まるで太陽と見紛うほどの輝きを放つ光は、世界のどんな辺境の地からも望むことができた。
神の戯れか、人外の何事か。
いずれ想像を絶するその光景を、じっと見つめる目がある。
ディスリト――太古、聖女の傍らにあったという龍の名を関する大陸の、最も強大な国。その北を流れる大河の中州に造られた城の一角に彼は居た。
やがて金糸の如く細まり散った奇跡の残光を、戸惑いを含んだ鳶色の瞳に映して。