Level.3「ろぐいんぼーなす」
「とりあえず、バッグの中に何があるか確認するか」
「ちゃんと全部揃っているといいんだけど…」
ユメは少し心配そうな顔をしていた。
俺は自分のバッグの、ユメは彼女のバッグの中身を確認した。
俺のバッグの中にはスマホ、タブレット、財布、モバイルバッテリー2個、遊園地と水族館のパンフレット、2日分の着替え、旅行用の使い捨て歯磨きセット、飲みかけの水、炭酸の抜けたコーラ、チッ〇スターが入っていた。
大丈夫。全部揃っている。
それはユメも同じようで安心したような顔をしている。
「モバイルバッテリーがあったのはよかった。ここがどこかわからないうちはGPSが機能し続けるよう、極力スマホは使わない方がいいな」
生憎と言うべきかやはりというべきか携帯は圏外だった。
「ログインボーナスが…」
ユメが世界の終焉を目の当たりにしたような表情で小さく呟いた。
こいつどんだけソシャゲ好きなんだよ。
俺が少し呆れていると、ポケットの中で小さく、だが確実に存在を伝えるような振動が起きた。
そこには表示されるはずのない「メール受信中」の文字があった。
差出人『神』、件名『この世界について』と不可解な単語、文章が並んでいた。