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恐怖の女体化劇場

恐怖の女体化劇場 その3 気を遣い過ぎ

作者: 真城 悠

 気の遣い過ぎには注意しましょう。

注:結末はアホです。

挿絵(By みてみん)





















「手ぶらで来ていいから」


 確かにそう言われた。


 同じ高校に通う悪友との待ち合わせだ。特にこれといった用事がある訳でもないが、単に都会の真ん中で待ち合わせして遊ぼうってだけ。

 必要なモノは何もいらない…という意味だろうと解釈した。


 実は俺は友人連中の間では「便利屋」で通っていた。


 といっても…自分で言うのもなんだが…少しだけ目端が利くからレンタルなどの存在を嗅ぎ分けたりするのが上手いってくらい。なので「何かを用意していく」のは得意分野だった。


 待ち合わせの場所にもうついてしまった。


 周囲を見渡すが、友人はまだ来ていないらしい。


 忙しく行きかう人の群…群…群…。


 駅前の繁華街らしくビルの壁面に巨大ディスプレイがどっちがアーティスト名でどっちが曲名なんだかも分からないCDランキングをやかましくがなり立て、合間に消費者金融のCMを垂れ流している。


 信号が変わる度に大量の人々が移動を繰り返す。今時七三分けのサラリーマン風スーツの男。季節感が全く無いリクルートスーツの凛々しいお姉ちゃん。スマホをいじりながら歩いている制服姿の女子高生たち…。


 何も準備する必要が無いと言われたのは久しぶりなので逆に困った。


 そうだなあ…それこそ「手ぶら」を準備するとか…まるでとんちだな。


 そう思った瞬間だった。


 全身に違和感がある。


「…?」


 髪の毛がわさわさっ!と伸びた。


「ん!?」


 乳首に違和感を感じるや否や、その周辺が風船を膨らますかの様に皮膚を引っ張り、盛り上がった。


「わああああっ!」


 周囲の視線が集まり始めている。


 その間も変化は止まらず、豊満なヒップが形成され、そこにつらなる脚線美が盛り上がり、指が細くなり、顔の造形がすっきりしていく。

 

「あ…あ…」


 脂ぎっていて、どれだけ電気カミソリで押し付けてもゴリゴリとした硬さの残る顔の下半分はしっとりと柔らかい、無駄毛ひとつない剥きたての卵みたいな表面の肌になっていく。


「そんな…これは…」


 瞳はぱっちりし、長いまつげをぱちくりさせるその可愛らしさは人形の様な美しさだ。


 肉体の変化が終わると、上半身のシャツが消滅し始めた。


「ちょ、ちょっとおおおぉっ!」


 あっという間に上半身が裸になってしまう。

 思わぬストリップまがいに周囲の人が立ち止って取り囲んでいる。

 慌てて両手でそれぞれの乳房を覆う様に隠す。


 自らの手の中と、そして同時に乳首に接触感覚がある。


「あ…」


「お…お前…どうしたんだよ!?」


 目の前に待ち合わせをした友人がいた。


「いや…これはその…」


 男の友人だったはずが、目の前でみるみる女になった上に上半身裸で両手で胸を隠しているんだからそりゃ驚く。


「も、もしかして…」


 彼は思い至った。
























「こ…これは…『手ブラ』だああっ!」






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