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劣等剣士の物語(仮)  作者: 清乃 誠
第一巻 一話 魔狩りと騎士
8/37

8ページ

「うおぉぉぉおー‼‼」


 怒号にも似たフェイトの雄叫びが坑内に響き渡る。


「 __なっ‼」


「フェイト⁈」


 戦っているイレーナや他の騎士達がフェイトに視線を向けた。複数のオークもフェイトに注視する。


 フェイトは一体のオークの腹めがけて、グローブからワイヤーを放ち、素早く巻き取ってオークの真下まで接近した。


同時にバスタードソードでオークの腹を斬り裂き、真下から顎に剣を突き刺す。突き刺された刃は、頭を貫いた。


そして、フェイトは剣を顎から引き抜いて、その剣を別のオークの頭めがけて投げる。フェイトから放たれた剣はオークの頭に突き刺さり、絶命させた。


「お前……」


 倒れたオークの近くには見覚えのある騎士が一人居た。


「オーガスタ‼ お前も救護に専念しろ‼」


 フェイトがその騎士に言い放つ。


「黙れ‼ お前の指図など受けない‼」


「フェイト‼」


 イレーナが走り寄ってきた。


「隊長‼ 奴に近づくのは危険です‼ きっとこのオークだって奴が__‼」


「何を馬鹿な事を言っているの⁈ 早く負傷者の回収をしなさい‼ オークは私達が引き寄せるから‼」


「ぐぅ__‼」


「早く‼」


「了解‼」


 オーガスタは怒りを抑えながらといった感じで返事をすると、フェイトを睨んで走り去る。


 会話をやり取りしている間に、フェイトとイレーナはオークに囲まれてしまった。


 複数のオークの攻撃が同時に襲いかかる。


「くっ‼」


 フェイトは、その攻撃を交わしながら腰に手をやると、すかさずナイフを両手で放った。


二体のオークの目に突き刺さり、視界を奪う。


同時に背中に吊るした二本の短剣を引き抜くと、オークの足元を縫うようにかけ走り、次々とオーク達の足を斬り裂く。


 イレーナは、エストックの切っ先を真上に向け、その刃を指でなぞる。


 首に下げたネックレスの飾りである魔導石が輝く。すると、エストックの刃に風がまとった。


「くらえ‼ エアースラッシュ‼」


 イレーナの素早い三連撃は、刃がオークにとどいていないはずなのに、複数のオークを斬り裂いた。


あの技はイレーナが得意とする風魔法で、刃に風をまとわせる事によって、遠くにいる敵を斬り裂く事ができる風の刃を生み出す魔法だ。


 フェイトも負けじと攻撃を続ける。


 グローブからワイヤーを放つことによって可能としたワイヤーアクションを屈して次々とオークを殺す。


 壁から壁へと飛び移る際、すれ違いざまに四肢を切断し、頭を斬り落とし、のどを斬り裂く。しだいにオークの数は減り、そして複数いたオークを全て殺した。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 呼吸が乱れ、身体が重たい。


「やっと、終わったわね。はぁ、はぁ……」


 そう言って笑みを浮かべるイレーナの顔を見て、安堵するフェイト。辺りを見渡すと、地面は血の海と化していた。


 無数のオークの死体が無造作に倒れ、異臭が辺りを包む。何体居たのか、そして自分は何体殺したのだろうか。


まったくわからない。ただ分かっている事は生き残れた事。そしてイレーナを護れた事だった。


 フェイトは二本の短剣を鞘に収めると、オークの頭に刺さったバスタードソードを引き抜いて、それも鞘に収める。


「あらかた片付いたな」


「そうね」


 イレーナもエストックを鞘に収めた。


「でも……」


「どうしたのフェイト?」


「どれも三メートルぐらいのオークばかりで、それ以上のオークは居なかったな」


「まだどこかに居るってこと?」


 イレーナの顔が少し引きつっている。


「その可能性は高い。でも、ここっておそらく最深部だよな?」


「うーん……。これ以上先に行けそうな坑道はなさそうだけど……」


「とりあえず一度外に出るか」


 フェイトがイレーナに提案する。


「そうね。みんなの事も心配だし」


 フェイト達は坑道から出る事にした。

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