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劣等剣士の物語(仮)  作者: 清乃 誠
第一巻 二話 エミリア小隊
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17ページ

 入団試験では主に二つの試験を受けなければならない。一つは筆記試験である。魔法に関しての知識は勿論の事だが、その他あらゆる知識の問題も解かなければならない。


試験会場となる大広間には二百人ほどの志望者が集められ、並べられた机の上に置かれた問題用紙を解くために各々奮闘した。


午前中に行われた筆記試験の結果だが、筆記試験時にいた人数の約半分が試験に落ちてしまい、次の試験を受けれなかったようだ。


王国全域から優れた者が集まってこの結果。いかに試験内容が難関なのか身にしみてわかった気がする。


 午後からの最終試験は実技、すなわち戦闘試験だ。ランダムに組み合わせられた者同士で戦い、実力を示す至ってシンプルでわかりやすい試験である。


 実力試験は本人の希望で魔法のみの戦闘試験と魔法と剣術両方ありの戦闘試験の二つから選ぶ事が出来るようになっていた。


なぜ魔法のみの戦闘試験があるのかというと、王国が魔術師の育成に力を入れているからだそうだ。


剣術が敵を一人殺める間に魔法は多くの敵を殺める事ができる。ゆえに魔法に秀でた者の存在はとても重宝するのだ。騎士団の中には魔術師のみで構成された隊もあると聞く。


 フェイトは魔法が使えないので魔法と剣術両方ありの戦闘試験に受けるのだが、魔法が使えない以上、比較的不利な事は明確だ。


しかし、王国騎士団になる為には超えなければならない壁であるし、フェイトもその短所を打ち消す為に鍛錬してきた。後はその成果を出すだけだと自分に言い聞かせた。


「次、フェイト・オズワルド」


「はい」


 衛兵の呼びかけに応えて立ち上がるフェイト。ここは戦闘試験の会場になった王族地区内の闘技場。その中にある待合室のような部屋だ。試験を待つ者はこの部屋で待機し、呼ばれた者から試験場に向かう。


フェイトは衛兵の後ろについて歩き。試験場へとたどり着いた。


 円形状に築かれた闘技場は広く、周囲は観客席に囲まれていて青い騎士装束を着た人間が多く座っている。


試験の担当は少数でほとんどの人間は確認の為の観戦だろう。各騎士団は試験段階から志望者を見て、誰が入団するのか、誰を自分の騎士団に入れたいか見極めているのだ。


 観客席を見渡すとグラーマンの姿があった。複数の護衛に囲まれるようにして席に座り、フェイトを見ている。


「両者前へ」


 試験場の真ん中には監督役である男の騎士が一人。その騎士の言葉を聞いたフェイトは前に歩いた。


正面には戦闘試験の対戦相手の男がいる。年齢はフェイトよりも上に見え、腰に吊るした剣に手を当てて鋭い目つきでフェイトを一直線に睨む。


「これより、戦闘試験の説明をする!」


 監督役の騎士からの説明では、時間制限があり与えられた時間は十分間。どちらかが戦闘不能、あるいは降参するまで行われるとの事。また殺傷性の極めて高い魔法及び規模の大きな魔法は使用禁止との事だ。違反した場合、騎士団に取り押さえられ試験資格も剥奪される。


「以上を持って説明とする! では、始め!」


 開始の合図と同時にフェイトと対戦相手は剣を抜刀した。


「先手必勝‼︎」


対戦相手の男が声を上げ、剣の切っ先をフェイトに向けた。すると男の持つ剣の装飾に施された魔導石が光り輝く。


「アイシクル・バレット‼︎」


男の周囲に無数の大きな氷柱が生成され、その氷柱がとてつもない速度でフェイトに襲いかかる。


(__まずい‼︎)


フェイトは真横に向かって走りだした。そして男の放つ氷柱をかわしていく。


「遅い‼︎」


 対戦相手の男は間髪いれずに次の氷柱を生成する。だが先程よりは数が少ない。そのかわりに氷柱一つ一つの大きさが膨れ上がっているように見えた。


(威力重視にしたか……)


最初に放った氷柱は単体での威力は低い分、数を大量に作った。だが今回は数を減らして単体の魔力質量を上げる事によって威力をあげる作戦なのだ。


(目で追えない速度じゃない。これなら____‼︎」


 男から放たれた氷柱が勢いよくフェイトを襲う。


(____速い‼︎)


最初の魔法よりも速さが増していたのだ。その無数の大きな氷柱がフェイトを襲いかかる。


(________ぬはっ‼︎)


無数の氷柱が地面に衝突する音が闘技場に響き渡り、砂埃が舞った。やがて音は鳴り止み、砂埃が消える。


フェイトは剣の切っ先を地面に突き刺し、今にも膝から崩れ落ちそうな姿勢だ。だが倒れてはいない。


「往生際の悪い奴だ……。これで楽になれ‼︎」


(ここで……負けるわけには……)


 対戦相手の男は巨大な氷柱を一つだけ生成した。それをフェイトめがけて放つ。


(________いかない‼︎)


フェイトは勢いよく地面に刺さった剣を引き抜くと、対戦相手の男に向かって走りだした。


「これで________‼︎」


自身に襲いかかる巨大な氷柱をフェイトは剣で一瞬受け止めた。そして氷柱の横に身体を逸らして真横から氷柱を斬り裂く。


闘技場内からは響めきが上がった。


「____何⁉︎」


 対戦相手の男は驚きのあまり後ずさりをする。フェイトはその男の正面まで迫ると、男の腹めがけて剣を振るった。


剣が男の腹に当たる。しかし斬れる事は無く、振った勢いそのままに男を後方へと吹き飛ばした。


フェイトが剣を見ると刃に光りが纏っている。後ろを見ると監督役が魔法を使っていた。おそらく、攻撃の瞬間に剣が斬れないように魔法をかけたのだろう。


再度、吹き飛ばした対戦相手の方を見ると完全に気絶していた。


「そこまで! 勝者フェイト・オズワルド!」


 監督役の終了の合図と共に観客席からは拍手が鳴りだした。よく聞こえないが声を上げている人もいる。


こうしてフェイトの王国騎士団入団試験は幕を閉じたのだった。

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