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劣等剣士の物語(仮)  作者: 清乃 誠
第一巻 二話 エミリア小隊
15/37

15ページ

 背後には黒いコートで身を隠し、フードを被った黒ずくめの人間が五人。皆一様に奇抜な仮面を被っている為素顔が確認できない。腰には剣を吊るしており、異様な雰囲気を漂わせていた。


「何者だ……」


 フェイトは自身の腰に吊るした剣に手を伸ばし、端的に質問する。


「貴様の問いに答える必要は無い……。ただ……お前をここで殺すだけだ……」


集団の真ん中にいる男がそう言うと、黒コートの集団は一斉に剣を抜きフェイトに襲いかかった。


「________‼︎」


 フェイトは素早く抜刀し、正面から来た一人の黒コートの斬撃を剣で弾いた。それと同時に横から迫ってきた黒コートを回し蹴りで蹴り飛ばす。


しかし蹴り飛ばした黒コートと入れ替わるようにして、別の黒コートが素速く斬り込んできた。


 連携のとれた攻撃で人数差がある為少しのミスも許されない。間合いや黒コートの攻撃を一つでも読み間違えたら一気に斬り刻まれるだろう。


 フェイトはいつのまにか黒コートの集団に取り囲まれ行く手を防がれた。攻撃の手数が減り、防戦一方に追い込まれていく。


それでも尚、わずかにでも隙があれば攻撃を仕掛け一方的にならないように立ち回った。


襲いかかる斬撃をなんとか全て防いでいたが、唐突に正面から放たれた素速い突き攻撃が頰をかすった。フェイトはすかさず後ろに飛んで攻撃をかわす。


「さすが……現騎士団将軍に……鍛え上げられただけはある……」


 突き攻撃をしてきた男が言い放った。声からして戦闘前に喋っていた黒コートと同一人物。


「なぜ俺を狙う?」


「何度も……言わせるな」


 再び襲いかかる黒コートの五人。対するフェイトは一人なので、攻撃を弾きかわすだけで精一杯。特に言葉を発している男。その男は相当な手練れだ。一撃一撃が速く、他の黒コートの攻撃の合間に急所めがけて的確に斬り込んでくる。


しかし、一人の黒コートが大きな隙を見せた。フェイトはそこを決して見逃さない。すかさず間合いを詰めて、その男の剣を持つ腕を斬り落とした。


「ぬぁぁあああー‼︎」


腕を斬り落とされた黒コートは悲鳴をあげる。


「貴様‼︎____よくも‼︎」


手練れの黒コートとその仲間二人が後ろに引いたのに対し、一人だけフェイトめがけて斬りかかってきた黒コートがいた。


フェイトはその黒コートの斬撃を弾き、その腹を横に薙ぎ払って斬り裂く。


斬り裂かれた男は血飛沫をあげて地面に倒れた。


「答える気になったか?」


「お前達はそこの死体と斬られた奴を回収しろ……。俺が……時間を稼ぐ」


 手練れの黒コートは仲間にそう話すと、単身でフェイトに斬りかかってきた。


「________‼︎」


フェイトは手練れの黒コートの斬撃を弾く。しかしすぐさま突き攻撃をされてたまらずかわした。


(さっきよりも速い‼︎)


「どうした……。その……程度か……」


次から次へと繰り出される黒コートの鋭い斬撃と突き攻撃。斬るだけでなく、レイピアやエストックを使う剣士特有の突くことに特化した剣術も組み合わせている。速さも相まって剣筋が読みにくい。


「この___野郎‼︎」


 受け身だったフェイトが攻めに転じた。突き攻撃はなるべく無駄がないようにかわし、相手が次の攻撃を仕掛ける前に斬撃をいれる。黒コートは少しずつ後退しながらフェイトの斬撃を剣で防いでいく。


フェイトは自分から後退する事はしない。あえて間合いを詰めて突き攻撃をやりづらいように仕掛けるのだ。


効果はあったみたいで、先程よりも素速い突き攻撃を入れてくる回数が減った。黒コートの一方的な攻撃ではなくなり、フェイトの攻撃する手数が多くなる。


フェイトの斬撃を防いだ黒コートは勢いよく後ろに飛んで後退した。


「…………」


フェイトと黒コートは距離を開けて睨み合う。


周りを見渡すと、すでに他の黒コートの姿は無い。


「時間……切れだ……」


黒コートの男はそう言うと剣を鞘に収める。そして首に下げたネックレスの飾りである石を握りしめた。


「待て‼︎」


フェイトは一気に間合いを詰めて斬りかかる。しかし、手応えが全く無い。黒コートは黒い霧に覆われて一瞬にして消えたのだ。


「転移魔法か……」


 このような事を可能にするやり方は一つしかない。転移魔法と呼ばれる魔法だ。転移魔法とは術者が任意で決め術式を施した場所であればどこからでもその場所に一瞬で移動できる魔法だ。


どこにでも転移できる訳ではなく、場所の指定や術式に細かな制限はあるがそれ以外には欠点らしい欠点が無い高位魔術である。


「取り逃がしたか……」


「おい‼︎ そこのお前‼︎」


 背後から聞こえてきた怒鳴り声。フェイトが振り向くとそこには青い騎士装束を着た三人の男がいた。三人共剣を抜いている。


「お前は……」


三人の中に見覚えのある顔があった。細い目つきに長い金髪をポニーテールにした男。イレーナの小隊で副隊長をしているオーガスタだ。


「なんだ、その血に濡れた剣は‼︎ 辺りも血だらけではないか‼︎」


「これは__」


「取り押さえろ‼︎」


「________ちょ‼︎」


 オーガスタの合図で仲間である二人の騎士がフェイトを取り押さえにきた。


「待ってくれ____これは____‼︎」


「黙れ屑がぁ‼︎」


オーガスタがフェイトの顔を一発殴る。そして腹にヒザ蹴りを食らわした。体制が崩れたフェイトを二人の仲間が取り押さえる。


「近隣の住民から通報があったんだよ‼︎ 黒ずくめの男達が墓地で斬り合ってるってなぁ‼︎」


「待て____俺は____‼︎」


「うるさいんだよ‼︎ 反逆者の息子が‼︎ 汚れた血め‼︎」


 オーガスタはそう怒鳴り声をあげて何度もフェイトの頭を蹴り上げ、踏みつける。


鼻からは血が流れ、頰は赤く腫れ上がった。


それでもフェイトは抵抗できない。相手が王国騎士団だからだ。下手に抵抗すれば状況が悪化する。ここは堪えなければならない。


「お前を城まで連行する。覚悟するんだな」


 フェイトはオーガスタの仲間である二人の騎士から無理矢理立たされて、拘束具を手にはめられた。


その姿を舐め回すように眺めるオーガスタはニタニタと嫌らしく笑い、再度フェイトの顔を殴ったのだった。

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