第7話 刮目せよ、真の力とは何か? これがその答えだ
ロイマンは俺を睨みつけて口を開く。
「急に何を言うかと思えば、
ふざけたことを吐かすな」
「大体貴様、先程までとは言動が
違うが、死への恐怖で気でも狂ったのか?」
「そこの人間どものように
泣き喚いた方が、まだいい余興に……」
「シ――――」
俺は指を1本立ててシ――、と
ジェスチャーをする。それを見たロイマンが
更に腹を立てた様子で口を開く。が……
「…………」
口をパクパク動かすだけで
何も喋らない、否。何も喋れない。
一連の光景を見ていた信徒たちが驚愕する。
「一体どういうこと……」
目を腫らしたアシェルが声を漏らす。
――パン!
「――ッはぁ、はぁはぁ」
俺が手を叩くと、ロイマンの声が戻る。
「呼吸を禁止した覚えはないが……」
俺がそう呟くと、
ロイマンが冷や汗をかきながら俺に問う。
「き、貴様何をした……?」
「さあな、自分で考えたらどうだ?」
「ッ! 貴様ァァ……、どんな手品か知らんが
まずは貴様から殺してやろう!」
俺の返答を聞いたロイマンは声を荒げる。
「ふッ、来るがいい。身の程を教えてやる」
俺はロイマンにそう告げた。
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――ッボフ。――パチ、パチパチ。
ロイマンの体が燃え上がる。
「私の聖なる炎でその身を焼いてやろう!」
そう言ってロイマンは、
手のひらをこちらに向けて炎を放つ。
「――――は?」
直後ロイマンは声を漏らす。
たった1度のまばたきの間に
玉座に座っていた自分と、そこから見下ろせる
位置に居た俺が入れ替わっていたのだ。
「どうした? 聖なる炎とやらは
こちらに届いていないぞ?」
俺は玉座からロイマンを見下ろして挑発する。
「ッ……、貴様ァ」
――ッダ! ――ブン!
するとロイマンは力強く踏み込んで、
魔術で成形した炎の剣を俺の首めがけて振るう。
「どうした!? 反応できていないぞ!?
私を魔術師だと侮ったな!
残念だったな! 剣も使う……、ぞ……」
ロイマンの喋るペースが落ちる。
――ギィ゙、ギィ゙ン゙!
ロイマンが目にしたのは、
俺の首に刃が通らず剣先と生身の首の間で
火花が散る様子。
「――ッな!」
驚愕を隠せないロイマン。
高密度の魔力で肉体を強化しているのだ。
それよりも弱い魔力による攻撃は効かない。
「正しくは、反応する必要も無い。だ」
俺がそう告げるとロイマンは屈辱に
顔を歪ませるが、対照的に信徒たちの目には
希望が宿る。
「凄い……」
アシェルがそう呟く。
「さて、次はこちらの番だ」
「――フゥ」
ジュゥ。
俺はフッと息を吹き、
ロイマンの炎をロウソクのように消す。
「バカな!?」
そしてすかさず攻撃を仕掛ける。
――ガシ。――ドゴォ゙!
「ぐぁ!」
ロイマンの手首を掴んで、顔面を殴りつける。
「う……、うぅ」
「どうした? もう寝る時間か?」
地に伏すロイマンの元まで移動して言い放った。
「……まだまだぁぁ!!」
――ッキィン!
そう叫んで再び魔術で剣を成形し、
俺の腹に剣先を突き立てるロイマン。
「……どういうことだ。
どうやって、いつの間にそんなものを!!」
ロイマンの目に映ったのは、
漆黒の甲冑を身に纏った俺。
――ハタッ。
「――ッな!?」
それを認識した直接、マントがはためき
ロイマンの視界から漆黒の甲冑が消える。
周囲を見渡し、そして見つける。
そこには、いつの間にか再び
玉座に君臨する漆黒の甲冑が在った。
「――ッ! 何が起きていると言うのだ……」
ロイマンはもはや戦う気力など無い様子で呟いた。
ロイマンは既に理解の限界を迎えていた。
俺は玉座からロイマンを見下ろす。
そしてゆっくりと口を開く。
「頭が高い。平伏せ」
――ズゥン。
王の魔術により平伏を強制される。
「ッんぐぅ……」
ロイマンが抗おうとするが、
逆に力が強まり押し潰される。
3年間の鍛錬は伊達じゃない。
そして見せてやろうじゃないか王の御業を。
「これから貴様に見せてやる。
先程貴様が侮辱した、魔術の深淵を」
王がロイマンに宣言すると、
その場の全ての人間の視線が自然と王に向けられる。
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俺はいつか見たパパのように、
俺に火をつけたあの瞬間のように手のひらを
上に向ける。
――ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
周辺の大気が震える。
そして魔力が手のひらの上に収束する。
――ッシュュゥゥゥ!! ――ド。
辺りに凄まじい熱量が広がり、
鋭い音が鳴り響く。その直後そこには、
神が在った。
ロイマンを含めた、その場に居る全ての者が
王の御業、魔術の深淵に魅せられる。
そして遂に王が口を開く。
「刮目せよ、
真の力とは何か? これがその答えだ」
「…………そ、それは、火球?
いや違う。もっと熱い、それは神に等しい……」
完全に我を忘れたロイマンはブツブツ呟き続ける。
――ギュッ。――ジュゥゥ。
俺は太陽を握り潰す。
――チャキン。
そして腰に下げた漆黒の剣を鞘から抜き、
その刃を天に掲げる。
――ッキゥィィィン!
刃が熱を帯びて神々しく光り輝く。
その熱量と覇気が辺りに広がる。
その刃には今、
太陽と同等の「圧倒的な力」がある。
そして王が再び口を開く。
「神の怒をその身をもって知れ」
ロイマンはもはや抵抗などしなかった。
なぜか? 圧倒的な力の前ではそんなもの
無意味だからだろう。
王は宣告をした後、
ゆっくりと剣を振り下ろした。
――ブン。
ロス・ヘリオス【太陽は去る】
――ボㇷㇷ。
その瞬間、刃に収束されていた
圧倒的な熱量が解き放たれる。
辺りが神々しい光で白く染まる。
それが止むと、神の怒りを買った男は
姿を消していた。
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――ジュゥゥゥゥゥ……。
うん、初めての必殺技にしては上出来じゃない?
1番こだわったのは技名だよね。
俺が目指したのは真似したくなる必殺技だから、
ゆくゆくは世界中の子どもたちに
この必殺技を使ってほしいな。
「――ッ! ……ん? あれ?」
ようやく目を開いたアシェルは
状況を理解できていない様子。
「安心しろ、罰を受けるのは
神の怒り買った者だけだ」
王は彼女に短く説明した。
技の対象を、
ロイマンとその契約のみに絞ったのだ。
「貴方は……、貴方様は一体……」
「俺? 俺は……」
アシェルの質問に答えようとするけど、
回答に迷う。だって名乗りまでは
考えてなかったもん。
「お、俺はアル・ガラクシア……、だ」
「「「…………」」」
その場の全員が黙り込む。
テンパって本名を答えてしまった。
「……アル・ガラクシア様、貴方様は、
私たちをお救いくださった貴方様こそが、
本物の深淵王様だったのですね……」
「……え! ッんん!? まぁ、当たらずとも
遠からずと言ったところ……、か?」
さっき深淵王というのは自分が2秒で
考えたってロイマン告白してたじゃん!
それを君は2秒で忘れたのか!?
でも実力と釣り合う、
納得されるような立場じゃないし
ここは肯定も否定もせず進めていこう。
「――ッは! なるほど理解しました!
正体を隠されていらっしゃるのですね!」
「うーん、まあそんなところだ」
そして、アシェルが後ろの信徒たちに
目配せをすると、その場の全員が跪く。
――ザ。
「……深淵王様、ロイマンに騙されていた
私たちをお救いして頂いたこと、
改めて感謝します」
「礼などよい、気にするな」
「私たち信徒一同は
深淵王様に生涯忠誠を誓います」
……え?
「深淵王様、どうか……、
愚かな私たちに知恵と力を。
そして本当の深淵へとお導き下さい」
つまり、胸糞悪いカルト宗教を潰したら、
次は俺がその宗教のボスになる……、と?
あ、でも玉座に座れるし
絶対王者っぽくてかっこいいな。
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