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太陽すら手のひらに! ―車に轢かれて死ぬのは嫌なので、太陽作って対抗します―  作者: 遠藤 肇
第1章 結成、カテドラル・オブ・アビス

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6/6

第6話 だいたい深淵王などくだらない名前は私が2秒で考えたものだ

 部屋に男が1人、と見せかけて実は2人。


 「アシェルの奴、また見込みのない人間を

勧誘して来たな」


「誰彼構わず勧誘して、まったく使えない奴だ。

せめてもっと優秀な、魔力の高い人間でも

連れてくればいいものを……」


 マジかよロイマン最低だな。

裏では信徒に対してボロクソ言うじゃん。


 誰も居ない内にこっそり玉座に

座っちゃおうと思って、日が沈んでから

急いで戻ってきて窓から建物に入り、

玉座の間に向おうとしたんだが……、

ここロイマンの部屋かよ。


 「……だが、あと少し、

あと少しで計画が上手くいく……」


 ――ガチャン。


 ロイマンがフフフと笑いながら部屋を後にする。


 うわー、悪い顔しちゃって……。


 にしても計画とか何とか言ってたけど、

何のことだかさっぱりだな。


 ……さてと、ロイマンも居なくなったし、

ちょっとだけ玉座に座ってから帰ろう。


 最悪見つかっても適当に、

「忘れ物した!」とか「深淵王万歳!」とか

言っとけば何とかなりそうだし。


 ――ガチャ。


 部屋のドアノブに手を掛け、扉を開ける。 


 「「――ん?」」


 目の前の女性とハモる。


 「あ、ども」


 俺は軽く会釈してその場を後に――。


 「侵入者だー!!」


 できなかった。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 ダッダッダッダ!


 女がそう叫ぶと大勢の足音が聞こえてくる。


 俺は全力ダッシュで逃走する。


 「待てぇぇ! 貴様ぁぁ!」


 ドタドタドタドタ!!


 だが当然、

凄い人数の信徒たちが追いかけてくる。


 「うぉぉぉ!! 深淵王万歳! 深淵王万歳!」


 「え、深淵王万歳って言ってるよ!?

私たちの仲間じゃないの!?」


 「騙されるな! あんな奴は知らない!

奴は立ち入り禁止の司教様の部屋から

出てきたのだ!」


 クソ! なんか上手くいきそうだったのに

余計なこと言うんじゃねぇ!


 ……まあ、悪いの俺だけど。


 「……あれ? 貴方はさっき帰られたのでは?」


 「おお、アシェル! さっきぶりだね!

でもごめん、今ちょっと忙しくて!」


 偶然会ったアシェルにそう言ってから

再度走り出す俺。


 「追えぇー! 逃がすなぁぁ!」


 「え!? ちょ、ちょっと! 

待ってくださーい!」


 そう言ってアシェルも追いかけっこに加わった。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 ドタドタドタドタ!!


 「――ん? 何事だ?」


 全力で逃げ回った結果、玉座の間に辿り着いた。


 あと、玉座にロイマンが座ってる。

お前は便座にでも座っとけ。


 「「「はぁ……、はぁはぁ」」」


 追いかけて来ていた信徒たちは

全員息を切らしている。


 「……はぁ、ち、ちょっと、……待って、

ください。どういう状況……、ですか?」


 息を切らしたアシェルが俺に問う。


 「うーん、それがね、ちょっと忘れ物

しちゃって取りに戻って来たんだけど、

侵入者と勘違いされちゃって」


 「き、貴様……! 嘘を、つくなぁ!

司教様の部屋から出て来たのを……、

私は見ているんだぞ!」


 クッソこいつ! また要らんこと喋りやがって!


 「なに? 私の部屋からだと?」


 「はい! この者は立ち入り禁止の

司教様の部屋から出て来たのです! 

その瞬間をこの目で見ました!」


 それを聞いたロイマンの顔つきが変わる。


 「…………貴様、いつから居た」


 「……たぶんさっきから、とか?」


 そう答えるとロイマンが黙る。


 「……ふ、ふふふははははははは!!」


 え、なに? めっちゃ笑うじゃん。


 「そうか、最初からか……」


 さっきからね!


 「なら計画の話は聞かれていた訳か」


 「バレてしまった以上仕方が無い」


 バレてなかったけど、今自分が

余計なこと言ったせいでバレたよ。


 「司教……、様? 一体どういう……」


 「貴様らも、なぜ侵入者1人

まともに捕らえられぬのだ。役立たずの能無しめ」


 様子が豹変したロイマンが、

信徒の問いには答えず、代わりに罵倒する。


 「アシェル、貴様もだ。

貴様が誰彼構わず勧誘などするから

このような事態になるのだ」


 おいおい、流石に言い過ぎだろ。


 「……も、申し訳ございません!」


 アシェルが頭を下げる。


 「だがもうよい。バレてしまった以上、

もう隠す必要はないだろう」


 「そうだ、深淵王など最初から存在しない」


 話が飛躍し過ぎでは?


 「だいたい深淵王などくだらない名前は

私が2秒で考えたものだ」


 2秒……、だと?


 「この組織、アビスの福音はあくまでも

計画の一部に過ぎない。そして貴様ら

馬鹿な信徒もただの駒でしかないのだ。」


 誰も聞いてないし、何にも気づいて無かった

のに、勝手にペラペラと語るロイマン。


 「そ、そんな嘘です! なら司教様が

与えてくださったお力、深淵王様のお力は!?」


 「ああ、それのことか。そんなもの

深淵王でも何でも無い、私の力を与えたまでだ」


 涙を浮かべ必死に問うアシェルに対し、

残酷な真実を告げるロイマン。


 「……ここまで知られてしまった以上、

貴様らを生かしておく訳にはいかない」


 マジかよ……。


 全部自分で喋ったのに?


 「いや……」


 アシェルがそう呟くと、

周りの信徒たちも騒ぎ始める。


 「そんな! 嘘だと言ってください!」

 

 「私たちは一体何の為に……」


 「これから何を信じて

生きていけばいいの!」


 その直後、1人の信徒がその場から逃げ出す。


 ――ダッダッダッダ!


 「嫌! 死にたくない!」


 「――逃がさん」


 ……バチバチ、バチッ! ――ッバチン!


 バタン……。


 ロイマンがそう言うと、

逃げ出した信徒の女性に赤い電流のような

ものが走り、次の瞬間ピカッと光って倒れた。


 その光景を信徒たちが見て、場が騒然とする。


 逃げる信徒を殺しやがった。

さすがに気分が悪いな。


 「――静まれ!!」


 ロイマンが大きな声を上げる。


 「逃げても無駄だ。

貴様らが死ぬことは決まっていたのだ。

……私の力を授かった時からな」


 そう告げた瞬間ロイマンがニヤッと笑う。


 「貴様らに与えたのは力ではない、契約だ。

一時的に魔力が高まるが、貴様らは永遠に

私に魔力を支払う。そして私の意に反した際は

処刑されるのだ」


 「そんな……」

 

 アシェルを含めた信徒たちが

絶望の表情を浮かべて膝から崩れ、

場が静寂する。


 「ある程度魔力は貯まった。

貴様ら魔力タンクは用済みだ」


 「……魔力タンク」


 そう呟くアシェルの頬を涙が伝う。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 見るに堪えないな、やっぱりロイマンに

玉座は相応しくない。便座がお似合いなのだ。


 「……ふ、ふふふ」


 静寂した空間に俺の笑い声が響く。


 「――ん? 何がおかしい?」


 「いや、滑稽だと思ってな」


 俺は勝ち誇った様子のロイマンを

嘲笑いながらそう告げる。


 「他人事ではないぞ? 

貴様もこれから死ぬのだからな」


 ロイマンがニヤニヤしなが言う。


 「勘違いするな。滑稽なのはお前だ」


 「――なに?」


 俺の一言で露骨に機嫌が悪くなるロイマン。

 

 「無知なお前に教えてやろう。

真の力とは何かをな」


 俺はロイマンに一言そう告げた。


 とりあえずコイツを王の座から

引きずり下ろして、玉座には俺が座るつもりだ。

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