第31話 美女と美少女、お姉さん系と妹系どちらが好みか……、そういうことか。
今日はメルティアに呼ばれて、
カテドラルの会議室でお話。
――ガチャ。
扉を開けると部屋にはメルティア1人だけ。
「あれ? 他の人は?」
俺は気になってメルティア聞く。
「今回は私たちだけです」
こちらに背を向けたメルティアゆっくりと言う。
「……そう、なんだ」
2人きりで話か、何だろう。
――ガチャン。
扉を閉め、メルティアと席に着く。
「それで話って?」
俺が聞くとメルティアが口を開く。
「昨日の城での事です」
あー、なるほど。勇者の話か。
「あー、そのことね」
俺が答えるとメルティアが続ける。
「私、見ていたんです。パーティーで女性に
プレゼントを渡し、愛の言葉を
囁いていたところを」
…………まじか。
「どういうことですか?
なぜあのような行動をとられたのですか?」
俺はメルティアに説明をしようとする。
「あれは……、その、違くて……」
が、上手く説明できない。
だって何も違わないのだから。
事実、勇者に恥をかかせようとして
あの女性にあんな行動をとったのだ。
「何が違うんですか?」
メルティアがジッと俺を見つめながら
淡々と聞く。
ちょっと怖い。
「……、な――」
――バン!
何も違わない、と言おうとしたところ
扉が勢いよく開かれる。
「一体どういうことですか!?」
声を上げたのはアシェルだった。
扉の向こうにはアシェルを含めた
残りのプラネタリーエイトのみんな。
ぞろぞろとみんなが部屋に入ってくる。
「アヴァロン様、
プレゼントとか愛の言葉って……」
ジュピカが聞いてくる。
「そ、それもそうだが、
アヴァロン様はここでメルティアと2人で何を?」
マーシアも聞いてくる。
「…………とりあえず、
みんな座ったら……?」
俺は全員に告げた。
――バタン!
扉が勢いよく閉じられた。
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俺は、城に忍び込んだ理由と
城での出来事を全員に説明した。
「……わかりました。
そういうことなら、この件はこれ以上
追求しません」
メルティアが渋々納得する。
「よかった……」
安心した俺はそう呟いた。
「そういえばさ、なんでメルは
アヴァロン様のこと旦那様って呼んでるの?」
ジュピカがメルティアに問う。
嫌な予感がする。
「それは、私と旦那様は
将来を誓い合った仲だからです」
メルティアが当然の事のように答える。
「「「は?」」」
全員が同時に声を漏らす。
場の空気が凍った。
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「えぇ!? メルとアヴァロン様って
そういう仲だったの!?」
ジュピカが大きな声で言う。
「……将来を、誓い合った……、仲。
でも私にかわいいって……、好きって……」
マーシアが絶望の表情で呟いている。
「あああアヴァロン様!!
いつの間にそんな関係に!?」
アシェルが身を乗り出して俺に問う。
やばいな収集がつかなくなってきた。
それだと言うのにメルティアは
勝ち誇った表情をしている。
「……なんかおかしくない?」
そう言った彼女に視線が集まる。
長いブロンドの髪、オレンジレッドの瞳。
胸と尻が大きくウエストが細い、
モデルのような体格の彼女。ヴィナーリアだ。
ヴィナーリアが続ける。
「もしメルティアの言う通りなら、
アヴァロン様から私たちに話されると思うんだど」
それを聞いたみんなは少し落ち着きを取り戻す。
ナイスだヴィナーリア!
でもメルティアはムッとした様子。
「大体、アヴァロン様はメルティアみたいな
おこちゃまは相手しないと思うの」
あれ、ヴィナーリア?
「それってどういうことですか?」
メルティアが睨みながらヴィナーリアに問う。
「だってほら、ねぇ?」
ヴィナーリアがメルティアを上から下まで見て
ほら、わかるでしょ? と言いたげな様子。
するとヴィナーリアは今度、
俺に視線を向けて口を開く。
「アヴァロン様は〜、
私とメルティアどっちが好みですか〜?」
美女と美少女、お姉さん系と妹系
どちらが好みか……、そういうことか。
「いや……、俺は……」
「おい、アヴァロン様が困ってるだろ」
回答に困っていると、
マーシアがフォローしてくれる。
さすがマーシアだ!
「あら〜? マーシア貴方、
自分がアヴァロン様に女として見られて無い
からって、突っかかってこないでくれる〜?」
「――なっ!」
ヴィナーリアの言葉に
マーシアが悔しそうにする。
そしてうるうるした目で俺を見つめるマーシア。
耳と尻尾が垂れちゃってるよ……。
「もー、よしなよヴィナーリア。
なんでいつも嫌な言い方するのさー」
ジュピカがヴィナーリアに注意をしている!
成長したジュピカを見て涙が……。
「それにアヴァロン様は、
あたしのことが好きなんだよ?」
何を言っているんだジュピカ。
「ジュピカ、
妄想は頭の中だけにしなさい……」
ヴィナーリアが可哀想な子を見る目で
ジュピカにそう告げる。
「ちょっと! それってどういう意味!」
ジュピカが声を荒げる。
「いい加減にしろお前たち」
――シン。
さすがにヒートアップしすぎなので、
俺が制止する。
「も、申し訳ありません!」
ヴィナーリアが頭を下げる。
「ごめんなさい……」
ジュピカがショボくれる。
そして俺は続けて告げる。
「もうこの話は終わりだ。はい解散!」
元気の無くなったみんなが
トボトボと部屋を出ていく。
……ふぅ、あぶねー。
なんとか話を逸らせてよかった。
メルティアも、毎回ややこしい言い方を
しないでくれると助かるんだけどな。
将来を誓い合った仲なんて、
今回みたいな誤解をまた招きかねない。
ふつうに主人と従者の関係って
答えればいいのに。
俺は未だにメルティアのことを
理解しきれていない。




