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太陽すら手のひらに! ―車に轢かれて死ぬのは嫌なので、太陽作って対抗します―  作者: 遠藤 肇
第4章 覚醒、異種混合武闘大会

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第26話 もとより人を辞めることは覚悟しているのだ。

 学園が再開し、平穏な日常が戻る。

……ことはなかった。


 「おいアルぅ……、どうするよ?」


 懐かしのユージーンが問う。


 「どうするもこうするも、できる限りの事を

やって、あとはなるようになれ。だな」


 3日後、この学園で学園祭が開かれる。

俺とユージーンは、その学園祭のイベント、

異種混合武闘大会に出るのだ。


 異種混合武闘大会では、騎士も魔術師も

なんであれ出場する全ての生徒同士が戦い、

優勝者には賞品が与えられるのだ。


 俺はその賞品が欲しいユージーンに

頼まれて出場するのだ。ユージーンか俺の

どちらかが優勝できれば、賞品はユージーンの手に、

ということらしい。


 それと、もしも俺とユージーンが

当たった場合は俺が負けることになっている。


 「はぁ……、いやまあ俺なんかが

優勝できる訳ないんだけどよぉ」


 ため息をついたユージーンが

こちらをチラリと見る。


 「……なんだよ」


 俺が問うとユージーンは口を開く。


 「いや、やっぱ無理そうだな……、って」


 俺もやっぱ当日バックレようかな。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 自分のことを強いとは思う。


 基本的な鍛錬から激しいものまで行ったし、

肉体改造から始まり、魔術式を肉体に刻むに至る。


 俺は次のステージに進む。


 これまで戦ったハーヴェス・宇宙人から

作り上げた血清。名付けて超人ならぬ宙人血清だ。


 これを投与すれば、

俺は更なる高みへと登れるだろう。

 

 血清の効果は肉体の魔力適正の向上。

いくら魔力を核融合エネルギーに変換

しているとはいえ、元がゴミなら

生み出されるものもゴミなのだ。


 血清の効果で俺は魔力の質、量、扱いなど、

全ての能力が向上する。


 ただ血清を打つと、人間であることに

変わりはないが、より宇宙人に近い存在になる

と思われる。


 上等だ。既にこの肉体は

魔物の臓器と筋肉を人の皮で包んでいる状態。

その上に魔術式によるタトゥーをいれてる。

今更宇宙の血が加わろうとどうってことない。

 

 今後は、眼球など交換していないパーツを

魔道具に置き換えることも考えているのだ。


 もとより人を辞めることは覚悟しているのだ。


 強くなれるなら悪魔や魔王、神とだって 契約する。そしてこの魂すら捧げよう。


 ――プシュッ。


 俺は血清を打った。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 武闘大会当日。


 参加者が多いので、

18ブロックに分けられて始まる。


 1ブロックにつき参加者は10名。

それをトーナメント形式で進めていく。


 その後各ブロックの優勝同士が同じ形式で

闘い勝ち上がっていく。そこで優勝すれば

賞品が貰えるという訳だ。


 「おおおおい……、アルるるるるる」


 ユージーンが震えている。


 「落ち着けよ……」


 これから抽選を行い、どのブロックで

誰と当たるのかを決める。


 抽選のやり方は単純で、外から中が見えない

箱の中身の抽選用紙を引くだけ。


 ――ガサガサ、ゴソ。


 26番。


 「おい、アル……、何番だった?」


 「26番だ」


 「おおお俺、42番……」


 ユージーンと番号を確認し合う。


 「それじゃ、俺は3ブロックだから

ここでお別れだな」


 「おう、がんばえよ……」


 歯を抜いた直後みたいな

喋り方をするユージーン。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 各ブロックでの試合終了後。


 「なんか、優勝したわ」


 「すげーな、よかったな」


 優勝したことを俺に報告するユージーン。


 「いやー、俺って強かったんだなぁ」


 イキるユージーン。


 「でもよ、アルも優勝したんだろ?

ラッキーだったな!」

 

 「おう、ありがと」


 今回の抽選は、俺が細工をさせてもらった。


 魔術で抽選の結果を

ちょちょいといじらせてもらったのだ。


 ユージーンのブロックには、彼が少し苦戦

しながらも、余力を残して勝てるくらいの

相手のみを集めた。


 俺のブロックには、ユージーンが

勝てなさそうな相手を集めた。


 次の俺とユージーンを入れた計18名での

勝ち上がり試合では、最後に俺とユージーンが

当たるようにしてある。


 そしてこれからユージーンが当たる相手は

全員、彼がギリギリ負けるくらいの強さだ。


 抽選の結果をいじくれても、

参加者の強さまではいじれない。

なので、ユージーンにはプレゼントを渡す。


 「ユージーン、これやるよ。

次からの試合で使えよな」


 「んだこれ? まぁ受け取っとくわ」


 ユージーンには俺お手製の剣を渡した。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 これから俺が闘う相手は全員強い。

なぜならユージーンが100%負ける相手を

根こそぎ俺の方に集中させたからだ。


 面倒そうなのは後半の1、2名って

ところかな、ユージーンは俺の剣があれば

問題無いだろう。


 ……ということで、そろそろ時間だし

もうひと頑張りしてきますか。

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 「うっひょー! 信じらんねぇぜ!

俺の真の力が遂に解き放たれちまったみてぇだ!」

 

 力に溺れたユージーン。


 「そりゃ凄いな」


 「なんだよ! 反応薄くね?

ていうかお前も順調に勝ち進んでんじゃん」


 ユージーンの言う通り、残るはお互い

あと2名。ここからが本番だな。


 「なあ、あの26番と42番……」


 「やっぱおかしいよな、42番はなんか……、

強いのかもしれないけど、26番は覇気がねぇ」


 コソコソと声が聞こえてくる。


 「42番はそこそこ頑張ってるけど、

26番は大体相手が勝手に負けてんだよな……

不戦勝とかズルだろ」


 観客たちの言い分もわかる。

だって実際、これまでの俺の相手は全員

技の暴発や自爆。なんならコケて退場の奴もいた。

もちろんそんな偶然はない。俺がやった。

 

 ――コト、コト、コト。


 「26番は君かな?」


 そう言って現れたのは金色に青い瞳、

鍛え上げられた体格の男。


 「僕は君の次の対戦相手、

ケメイン・オトコマエ。挨拶をしに来たんだ」


 「……俺はアル・ガラクシア。よろしく」


 ケメイン、名前は聞いたことがある。

この学園でもトップクラスの実力者だな。


 挨拶は口実だろう。

試合前に相手の力量を測りに来たってところか。


 ケメインが口を開く。


 「さあ、そろそろ試合が始まる。行こうか」


 「そうだね」

 

 ケメインの後に続いて俺もステージへ上がる。

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