第17話 お前をこのパーティーから追放する!
現在、俺と姉は実家に帰省中である。
理由は姉の昇進祝い。なんとこれまでの実績や
功績が認められて王国軍の騎士団の、
騎士団長まで上り詰めてしまったようなのだ。
正直姉の強さは、
この世界でも上位の強さだと思う。
14歳で家を出て冒険者になり、
そこから1年ちょっとでS級冒険者になった。
15歳で騎士養成所に入って、16歳には
正式な騎士になった。そしてそこからの2年で
姉は騎士団長にまで上り詰めたのだ。
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今の俺は金欠だ。最近よく宇宙人と遭遇して、
死体を手に入れる機会があるから、
その解剖とか実験で金が飛ぶのだ。
「…………短期間で稼げないかなー」
ふと声が漏れる。
「――冒険者にでもなったら?」
後ろから姉がそう答える。
「ッうわ! 居たの?」
「何言ってるのよ、一緒に帰って来たじゃない」
それはそうだけど、
急に声を掛けられると心臓にわるいのだ。
「冒険者の仕事は基本雑用メインでは
あるけれど、稼ぎは良いのよ?」
「……そういえば、お姉ちゃんはなんで
冒険者なんてやってたの?」
「あぁ、当時の夢だった騎士になるためね。
冒険者として実績を積みつつ、騎士養成所に
入るための資金集めよ」
そこまでは知らなかったな。
地道に頑張ってきたんだな、素直に尊敬する。
冒険者か……、姉の話を聞いた後だと、
冒険的なロマンは感じないけど、金銭的な
ロマンは感じるな。
「冒険者、なるかー?」
「いいんじゃない?
今は学園も休校中でしょ?」
寄生虫ハーヴェスの一件のせいで、
学園は休校中なのだ。
「……そうだね、やってみるよ冒険者」
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ということで、冒険者ギルドにやって来た。
王都だと知り合いと遭遇する可能性があるので、
王都から離れた街、トータスのギルドで登録した。
最初は1番下の等級、E級からスタートだ。
等級は高い順にS、A、B、C、D、Eの6つ。
そして、冒険者は自分の等級の
1つ上までの依頼しか受注できない。
例外として、等級の高い冒険者が多数
所属するパーティーに入れば、自分の等級
関係なく依頼を受注できる。
ただし自己責任で。
まあパーティーに入る予定は無いし、
等級が低いソロでも充分小遣い稼ぎには
なるだろう。
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「お前をこのパーティーから追放する!」
いきなり物騒なセリフが聞こえてくる。
興味本位で声の方向を見ると、そこには
5人組のパーティーが居る。
金髪イケメンのリーダーらしき男。
赤毛ツインテ美少女。
長い金髪の美少女。
屈強な大男。
そして黒髪でぱっとしない顔つきで
弱々しい見た目の平凡な男。
状況を見た限り、リーダーに平凡な男が
追放宣言されているようだ。
「ま、待ってくれクリス! 説明してくれ!
俺はちゃんと魔術でみんなを強化して支援
してきたじゃないか!
なのにいきなり追放だなんて!」
平凡な男がリーダー、
いやクリスに必死で訴える。
「ケヌマ、わかってる。
もちろん順を追って説明させてもらうつもりだ」
平凡な彼はケヌマって言うのか。
にしても最難だないきなり追放だなんて。
「まず魔術での支援は有難いんだが、
ケヌマ、お前の魔力量はそこまで多くないだろ。
だか……」
「だからポーションで回復して
補ってきたじゃないか!」
クリスが再び口を開く。
「……そのポーションを買うのに使った金は」
「自分の貯金から払ってるだろ!?」
ケヌマ、自分が説明を
求めたんだから遮らず聞こうぜ。
「……だが、その出費のせいでお前は
パーティー運営用の資金を払えてないだろ?」
「ッ! それは! でもこうするしか
みんなの役に立てないだろ!?」
ケヌマ?
「そんなことはない。
俺たちはお前に荷物持ちを勧めた筈だ」
「ッ! だけどそんな役立たずみたいな!
俺は戦闘で役に立ちたいんだ!」
ケヌマ、それはワガママなんじゃ……。
「前に同じことを話した時は、お前の意見を汲み、
後衛ではなく前衛を任せただろ。だがお前は
依頼に行く度に大怪我をした。結果治療費で
更に出費が……」
「仲間なんだからそれくらい
大目に見てくれたっていいじゃないか!!」
よしケヌマ、さっさと追放されろ。
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「……というわけで、
全員で何度も話し合った結果の追放なんだ」
「なんで! なんでなんだよ!」
つい見入ってしまい、気づけば追放も後半。
びっくりすることに、
引くほど話が噛み合ってない。
クリスさんがどれだけ理由を
優しく説明しても、ケヌマの野郎が
「なんで!」と聞き返し続けるのだ。
話を全部聞いた限りでは、
ケヌマは害悪でしかない。
なんでパーティーにこんな奴入れたん?
ケヌマが聞き分け無さ過ぎて、
パーティーメンバー全員参ってきてんじゃん。
「も……、もう一度、説明する……」
クリスがまた説明し直そうとする。
ちなこれで8回目。
さすがに可哀想になってきたな。
もちろんクリスが。
……少しだけクリスのフォローに入るか。
「――もうその辺でいいんじゃないか?」
そう言って俺は、
クリスとケヌマの間に割って入った。




