第12話 我が名は……
――ハタッ。
マントがはためく。
この後来る討伐隊に顔を見られると
困るので甲冑を纏う。
「ああ、何度見ても素敵な御姿!」
アシェルがそう言う。
「素敵ですマスター」
「主様最高です」
メルティアとサティナはもう
何しても褒めてくれそう。
その光景を見た男は口を開く。
「見掛けが変わったところで
強さはまでは変わらない!」
「人間が風情が調子に乗らないことだねッ!」
――ッザ!
男が跳び上がって宙に浮く。
「アヴァロン様、ここは私たちが……」
「必要ない、俺がやる」
王がアシェルに告げる。
そう言ってくれるアシェルにはわるいけど、
コイツは俺がこの手で殺したいのだ。
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宙に浮く男を見上げながら王が言う。
「……随分と眺めが良さそうだな」
宙に浮いた男が
こちらを見下ろしながら口を開く。
「ああ、絶景だね。
下等な種を見下ろす光景は」
男は続ける。
「魔力はもともと僕たちの力だ。
人間にこんな芸当は不可能だろ?」
男に対して王は告げる。
「慢心できるのも今のうちだ。
すぐにそこから引きずり下ろしてやる」
「――そうかい、
やれるものならやってみなよ!」
そう言った後、男は両手のひらを上に向ける。
そこにハンドボール程の大きさの
魔力の塊が成形される。
「君たちをまとめて殺してあげるよ!」
――ピュピュン! ピュンピュン!
こちらに向って魔力の塊から、
無数の魔力弾が放たれる。
王はそれに対して手をかざす。
するとその前方に黒い円形のエリアが
成形される。
――ドプン。
放たれた全ての魔力弾がそのエリアに
飲み込まれた。
「――ッなに!? どうなってる!?」
男は驚愕して声を上げる。
「次は貴様の番だ、落ちろ」
王がそう言って命令をすると、
今度は黒いエリアに向って辺りの全てが
引き寄せられる。
「なんだ! どうなってる!」
宙に浮く男の体も徐々に引き寄せられ、
そして地に落ちる。
足元に落ちた男に対して王は告げる。
「2度と飛べないように、その翼をもいでやる」
――ブワッ!
すると王を中心に、辺り一面を黒い
円形のエリアが覆う。
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「何だ! 何なんだこれ!?
……ッ! 魔力、魔力が練れない!」
魔力という翼を奪われた男が焦りを見せる。
「冥土の土産に教えてやろう。
俺の領域に侵入した者は自由を失う」
つまり魔力が使用不可になる。
もちろん術者は対象外。
「そんなバカな……、これは魔力なのか……、
いや魔術か? どちらにせよ、それを実現させる
程の膨大なエネルギーはどこから……」
欲張りな男だ。もう1つだけ教えてやるか。
「……俺の魔術は魔力で発動していない」
「は…………?」
男が言葉を失う。
「魔力で発動させた魔術で核融合を行うのだ。
俺の魔術は全て、そこから生み出された
エネルギーで発動させている」
それを聞いた男は声を荒げる。
「バカを言うな! ……魔力以外のエネルギーで
魔術は発動しない! そんなことは不可能――」
王は男の言葉を遮って告げる。
「可能だ。魔力は純粋なエネルギー、
どちらも同じ性質をもつ。故に発動可能なのだ」
「そんな……、
そんなものもう魔術じゃ……」
そこまで聞いた男はようやく理解したようだ。
「さて、もう充分だろ」
――ガシ。
「――ッんぐぁ」
王はそう言うと男の顎を掴み、
口を開かせる。
「安心しろ、首から下は残してやる」
王はそう言って指を2本立てて
男の口へ入れる。
「なぃをすうつおいだ!!」
次の瞬間、男は口の中に熱気を感じ始める。
「んんんんん!!」
男は自分がこれからどんな末路を辿るのかを
理解したようで、声にならない悲鳴を上げる。
「……お前だって人を傷つけたんだ。
それなのに自分だけは何のお咎めも無いなんて
不公平だよな?」
最後に俺は男にそう告げる。
「んん!!」
――ボン!
男の口内で凄まじい熱量が解き放たれ、
男の首から上が吹き飛んだ。
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男の死体を異次元に収納する。
「お見事ですアヴァロン様」
そう言うアシェルに続いて、
メルティアとサティナも口を開く。
「マスター強い」
「主様最強です」
さっきから全肯定botみたいになってるな。
――パカッパカッパカッ。
馬の足音がこちらに迫ってくる。
「貴様らここで何をしている!
ここは危険だ、速やかに立ち去れ!」
馬に乗った男の騎士がそう告げる。
もう新しい討伐隊が来たのか早いな。
「……隊長、なんか変ですよ。
ここは正体不明の魔物が居るから立ち寄らない
ように立ち寄り禁止令が出されてます。
それなのに、ここで何かしていた様子です」
「それに黒ずくめの連中なんて
見るからに怪しいですよ」
他の隊員がそう小さく耳打ちをする。
ちな会話は全部丸聞こえ。
「…………もう1度聞こう。
ここで何をしていた、貴様らは何者だ?」
これは面倒事になりそうだな。
よし、すっとボケよう。
「私たちはカテドラル・オブ・アビス。
この星を救う存在です」
その回答を聞いた隊長さんは困惑した様子。
「……何を言っている?」
御尤もです。
次に隊長さんは俺に視線を向け口を開く。
「……き、貴様は何者だ?
他の者とは様子が違うが……」
「アヴァロン様……!」
後ろを向くと目を輝かせたアシェルと
メルティアとサティナ。
かっこよく名乗ってくれってことね。
「…………ふぅ」
一呼吸する。
緊張してきた。練習した名乗りを
初めて人に披露するんだもん。
――よし!
「我が名は深淵王アヴァロン・ザ・カテドラル!
世界の深淵を覗き、そして取り除く者。
カテドラル・オブ・アビスの王である!」
俺は精一杯絶対王者らしく名乗りを上げた。
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