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番外編 キリュウが恋人⑭


とある庭園に来た時の出来事。

フローナは突然声を上げた。


フローナ「キリュウ君、膝枕しよう!」


キリュウ「何だ急に」


フローナ「まーまー良いから!はい!ここ!」

 

ポフポフっと自分の太ももを叩いてアピールする。


キリュウ「・・・まあ、お前がそこまで言うなら」


最近、前にも増してフローナに逆らえなくなってきたキリュウは、

逆らっている自覚がなくなるほど、すんなりと自分がいいと思うことを自然と受け入れられるようになっていた。


ごろり、とキリュウが慎重に頭を預ける。

フローナはその瞬間、ぱぁっと花が咲いたように笑った。


フローナ「どう?」


キリュウ「硬いな」


フローナ「あー・・・じゃあクッション入れる?」


近くに座布団が重ねて置いてある。


キリュウ「いや、このままでいい・・・それにしてもなんか妙な気分だな」


フローナ「・・・あんまり嬉しくない?」


キリュウ「いや・・・なかなかいい眺めだ」


フローナ「そっ、それなら良かった・・・」


一瞬、キリュウの言葉に動揺するもすぐに微笑む。

どこまでも優しい微笑みだ。


キリュウ(お前は、そんな顔で膝枕するんだな。」



ふと、フローナがじーっとキリュウの顔を覗き込んだ。


キリュウ「なんだ。そんなジーッと見て・・・俺に見惚れてたのか?」


フローナ「えっ、そうだけど?」


キリュウ「今のは冗談で言ったんだが・・・

ちびすけ、その人の顔見てニヤつく癖なんとかならないのか?」


フローナ「分かった」


虚無顔。


キリュウ「いや、そこまでしろとは・・・あーいや、悪い。

やっぱりちびすけはそのままでいい」


フローナ「え?」


キリュウ「ヘラヘラした顔が見れなくなるのも寂しいしな」


寂しさをこうも素直に表現できるようになったのは

他ならぬフローナのおかげだった。


そう言いながら、キリュウは自然な動作でフローナの髪に触れ、指の腹で優しく撫でた。


キリュウ「ふっ」


フローナ「ひゃ・・・っ///」


キリュウ「はは。顔真っ赤」


フローナ「だ、誰のせいよ!!」


キリュウ「このまま」


フローナ「うん?」


キリュウ「時が止まればいいのにな」


フローナ「っ・・・(ギュンッ‼︎)そ、そうだね・・・」


ぷしゅ〜っと頭を下げる。

心臓を鷲掴みにされたような衝撃が走る。


フローナ(なにこの甘い時間!!)


キリュウは何気ない仕草でフローナの手に触れ、

そのまま目を閉じて膝に身を委ねていた。


チュンチュン、と小鳥が一羽、近くの岩に止まる。

すると、どこからともなくもう一羽現れ、二匹は戯れ合う。


そんな様子を見たフローナは、キリュウが目を覚ますまで二匹を愛し気に見つめ続けるのだった。

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