番外編 キリュウが恋人⑬甘え方
夕食後のまったりした時間。
皆が焚き火のそばでくつろいでいると、キリュウがグラスをとんっと置いた。
シェル「あ!キリュウ、お前、その顔・・・酒飲んだな?」
キリュウ「んー?・・・別に・・・」
目がとろん、としていていつもの鋭さがまったくない。
相変わらず目は吊り上がっているのだが。
フローナ「キリュウ君、大丈夫? お酒弱いんだね」
キリュウはぼんやりフローナを見つめたまま、突然すっと腕を伸ばした。
ぎゅっ。
フローナ「きゃっ!? キ、キリュウ君!? 」
キリュウ「んー・・・」
力加減は優しいのに、逃げられないくらいガッシリと掴まれている。
フローナの肩に顎を乗せた後、そのまま背中側へ回り込み・・・。
後ろからぎゅーっと抱きしめたまま、コテンと寝落ちをしてしまう。
フローナ「え、えぇっ!?寝たの!? この体勢で!?」
顔が真っ赤になりすぎてヤカン顔負けなくらいに湯気が出そうだ。
メリサ「わー・・・こりゃまたすごい寝方だねぇ。」
レン「フローナさん、顔がゆでダコみたいですよ」
フローナ「だ、だって、キリュウ君がこんな甘え方するなんて・・・聞いてない・・・!」
シェルはため息をつきつつも、どこか優しげに笑っていた。
シェル「酒は本性出るって言うしな。キリュウなりの甘え方なんだよ、きっと。」
フローナ「そ、そっか・・・」
キリュウの腕は、無意識だからこそ余計に離してくれない。
フローナは胸が騒がしくなる。
レン「なんか、すごく嬉しそうですね?」
フローナ「だ、だって・・・キリュウ君が甘えてるところ初めて見るんです。
こういうの、してくれるんだって思ったらすごく嬉しくて・・・」
シェル「キリュウは甘え方が分からねぇだけだよ。
でも、それも変わるのかもな。」
フローナはそっとキリュウの腕に触れ、
幸せを噛みしめるように目を細めた。
フローナ「キリュウ君。甘えてくれてありがとう」
♦︎
次の日。
キリュウ「てめぇら、昨日のことは忘れろ。ちびすけもだ。」
フローナ「えー、絶対忘れない!」
キリュウ「おまっ・・言うようになったじゃねーか・・・」
メリサ「あんなの忘れないさね」
シェル「無理無理」
レン「忘れようがありません」
コキアはうんうんと頷く。
キリュウ「良い度胸してんじゃねーか。だったらその記憶ごと消し去ってやる・・・」
シェル「ええ!?やだよ!!」
メリサ「ちょいと、物騒なこと言わないどくれよ!」
レン「一時避難しましょう」
コキアは黙ってメリサに付いていく。
キリュウに追いかけ回される四人に不意に笑みが溢れる。
フローナ「ふふっ」
そして、六人の追いかけっこが始まったそうな。




