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番外編 キリュウが恋人⑨君に会えて


一本の長い道。

夕日で長く伸びた影の中を、五人はゆっくりと歩いていた。


その時。


ブワッ!!


強い風が横から吹き込み、

フローナのベレー帽がふわっと宙に浮かび上がった。


フローナ「わっ、待って〜!!」


ベレー帽は風に押され、クラゲのように空を泳いだ後、

道の真ん中にぽとりと落ちた。


そして、それを大きな手がそっと拾い上げる。


日に照らされた赤髪。

揺れる三つ編み。

背の高い影。

キリュウだった。


フローナ「キリュウ君!!」


タッタッタッと、フローナは弾かれたように駆け出す。

仲間たちは足を止め、その光景を静かに見守った。


キリュウは帽子を手に、フローナが飛び込んでくるのを待つように立っていた。


そして・・・。


ぽすっと軽い音。

フローナがキリュウに思い切り抱き付いた。


キリュウ「よお、久しぶりだな。何泣いてんだよ」


泣くつもりじゃなかったのに、

フローナの目からぽろぽろと涙が溢れてくる。


フローナ「だってだってだってー!

会いたかったんだもん! 心配してたんだもん‼︎

生きてて、ほんとに良かったぁ・・・」


キリュウ「はー・・・相変わらず忙しい奴だな。ほら」


キリュウがベレー帽を差し出す。

フローナは体を一度離し、それを受け取る。


フローナ「ありがと」


フローナはまた泣きそうになり、ベレー帽で顔を隠した。

すると、キリュウが上からそれを指でつまみ、そっと引っ張ろうとする。


フローナ「やーめーてー!」


フローナは必死でぎゅーっと押さえ込む。

キリュウは、そんな子どもみたいな抵抗がおかしくてたまらない。


キリュウ「ははは」


しばらくして、フローナは改めてキリュウを見つめた。


フローナ「キリュウ君」


キリュウ「ん?」


さあぁっと風が吹く。

あの日、二人の間を吹き抜けていった風が帰ってきたかのようだった。


フローナ「おかえりなさい」


少し潤んだ瞳で笑う。


キリュウは、たった一言だけ返した。


キリュウ「ただいま」


その声は、フローナの胸の奥深くに温かく響いた。

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