番外編 キリュウが恋人④二人はラブラブ?
街の中心通り。
休日で人通りも多く、店先からは甘い香りやコーヒーの匂いが漂っている。
フローナは約束の時間より少し早めに到着し、キリュウを待ちながらショーウィンドウを眺めていた。
そこへ。
「ねーねー彼女!これからお茶しに行かない〜?」
軽そうな男が、にやついた笑みで近付いてくる。
フローナは困ったように眉を下げ、しかし愛想は崩さない。
フローナ「すみません、人を待ってるんです」
男「あー、そうなの?じゃあさ、待ってる間にちょっとだけさぁ・・・」
その時、背後から影が落ちる。
キリュウ「ちびすけに何か用かよ」
(ドドンッ)
空気が一瞬で変わった。周囲のざわめきすら消えるほどの圧。
男「ひっ・・・!ご、ごめんなさぁい!!」
男は情けない声を上げて、跳ねるようにその場から逃げていった。
フローナ「あ!キリュウ君!!」
フローナが振り返ると、そこには肩でキリュウが立っていた。
しかし、彼は心配しているような素振りも見せず、目の前に来るといきなり・・・。
パチッ!と軽くおでこにデコピンをした。
フローナ「あだっ!?何すんのよー!!」
額を両手で押さえるフローナ。
目には涙が滲んでいる。
だがキリュウは呆れたように眉をひそめ、口の端だけ上げる。
キリュウ「隙だらけなんだよ、ちびすけは。」
フローナ「むーーっ!」
頬をぷくっとふくらませ、
両手でポカポカと子どもみたいにキリュウの胸を叩き始める。
フローナ「もう〜!!」
キリュウ「はは、それで反撃してるつもりか?」
しかしキリュウは微動だにせず、逆にフローナの頭を軽くぽん、と撫でる。
キリュウ「ちゃんと気をつけてろよ。心配すんだろ」
その小さな一言に、フローナの動きが止まる。
すぐに真っ赤になって視線を逸らした。
フローナ「う、うん」
そのやり取りを少し離れた場所から見ていた四人は、完全に観察モードだ。
メリサ「何あれ、ラブラブ〜って感じ?」
レン「ですねぇ。あれはもう恋人同士の空気ですよ」
シェル「すげーよな。あれで本人たち気付いてないんだぜ」
コキア「(ごくごくっ)」
コキアは無言で牛乳を飲んでいる。
そのころ当の本人たちは——
フローナ「お店行こうよ!」
キリュウ「はいはい」
二人の指先はそっと触れては離れ、触れては離れている。
四人は叫ぶ。
四人「さっさと手繋ぎなさい!!」




