73話 キーちゃん
●テレーゼ
・“再生の女神”と呼ばれた存在。
・遠い昔に命を落とし、魂だけが世界に残っていた。
・フローナの中に宿っていたのは “テレーゼの欠片”とも言える魂。
・使命は「再生と救済」。
・その役目を果たしたら安らぎの光へ戻る運命。
●キー
・テレーゼに仕える守護神。
・本来はドラゴンの姿だが、霊体のため小さな姿でフローナの前に現れていた。
・テレーゼが消える時、守護神である彼もまた存在が消える。
・主を失った守護神は、この世界に留まることはできない。
●二人の“定め”
二人はすでに 霊体 であり、
「最後の役目を終えると消える」
●キーの名前の由来
遠い昔。
まだ人として生きていた頃のテレーゼは、小さな卵のような光の欠片を抱えて旅をしていた。
その光こそ、後に“守護神”となるキーの幼い魂だった。
卵から生まれた小さな龍は、初めて目を開いた時、まだ弱々しく震えていた。
テレーゼは優しく抱きしめ、微笑んで言った。
「あなたは“キー”。
この世界の真実に触れ、そして人の心を開く鍵。
私の心をも救ってくれた、大切な存在だから」
“Key”
それは 解く鍵、導く鍵、心を開く鍵
そして、テレーゼ自身の運命をも開いた存在。
ドラゴンは嬉しそうに「キー」と鳴き、彼女の肩に乗った。
その日から二人はずっと一緒だった。
やがて役目を終え、魂だけの存在になった今でも
名前の意味は変わらない。
キーは最後まで、
テレーゼの鍵であり、
フローナの未来を開く鍵だった。
♦︎テレーゼが光に溶ける直前
テレーゼ「私とキーはとても昔に命を落とした者です。
それでも世界に残り続けたのは、果たせなかった役目があったから。
あなたの力となる為に・・・そして、もう一度世界を癒すために」
フローナ「じゃあ、あなたは・・・最初から・・・」
テレーゼ「ええ。そして役目を終えた今。
私たちは、ここから先へは行けないのです」
キー「キィ・・・」
テレーゼは優しくキーに手を置く。
テレーゼ「キーは私の守護神。
主である私が消える時・・・彼もまた、私と共に消える定めです」
フローナ「そんな・・・キーちゃん・・・」
テレーゼ「悲しませてしまってごめんなさい。
ですが、あなたが私たちを必要としてくれた日々は、
確かに幸せでした」
消え始めた直前。キーはフローナの涙を見て小さく笑った。
キー「キィ」(ありがとう)」
シェル「ありがとう、だってさ」
フローナ「こちらこそありがとう」
フローナはキーをぎゅっと抱き締めた。
キーが大きなドラゴンの姿へと戻り、
その体が透明になりながら空へ昇っていく。
キーと、背中に乗ったテレーゼ。
二つの霊体から星屑が夜空へと舞う。
フローナ「綺麗・・・」
シェル「ああ」
シェルはフローナが泣き止むまで寄り添い続けた。
フローナ「キーちゃんはさ、テレーゼの魂があったから私に懐いてくれてたんだよね」
シェル「いや、それだけじゃないと思うよ」
フローナ「え?」
シェル「きっかけはテレーゼの魂かもしれないけど
キーはちゃーんとフローナが好きだと思うよ」
「そうかな?」
シェル「フローナがフローナだったから側にいたんだ、
俺らがそうであるようにな」
フローナ「シェル・・・うん、そうだね、ありがとう」
メリサ「ぐすっ・・・」
コキア「メリサさんティッシュどうぞ」
メリサ「ありがと」
レン「フローナさん大丈夫でしょうか・・・」
メリサ「すぐには立ち直るの無理だろうね、一番キーちゃんの側にいたのはフローナちゃんなんだからさ」
レン「そうですね」
メリサ「大丈夫さ、僕らには隊長がいるんだ」
レン「ええ」




