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6話 うちのお姫様

屋敷の主人に毒を盛るように指示した貴族がいた。

そんな貴族たちはシェルを倒そうと目論むも、あっさり返り討ちに遭った。


命乞いのような悲鳴を上げながら逃げ込んだ先は、よりにもよってワニの潜む湿地帯。

ぬかるみに足を取られ、転び、悲鳴を上げた瞬間・・・水面が大きく盛り上がった。


貴族1「ひぃっ!!」


鋭い牙が間近に迫り、貴族たちは必死に泥だらけになりながら逃げ出した。

何人かは腰を抜かし、仲間に引きずられるようにして、ようやくその場を脱する。

中には喰われた者も何人かいる。


命からがら戻ってきた彼らは、そこに立っているフローナを見つけると、八つ当たりのように喚き散らした。


貴族1「なぜ助けなかった!お前がいれば簡単に助けられただろうが!」


貴族2「助けてくれても良かっただろ!!」


貴族1「お前らは俺たちを助けるべきだ!俺たちは貴族だぞ!」

貴族2「そーだそーだ!」


フローナはゆっくりと振り返る。

その瞳が細くなるだけで、空気が張り詰めた。


フローナ「は?」


貴族1「ひっ!?」(ビクッ)

貴族2「!?な、なんだその目は!!」


フローナ「仲間を傷付けたあんたらの命なんか・・・チリほどにも興味ないわ」


その声音は低く、冷たく、怒りを隠しもしなかった。


貴族1「な、ななな・・・」

貴族2「(し、し・・・ん)」


腰を抜かした貴族たちは震えるばかりだった。


そんな緊迫した空気の横で、仲間たちはいつもの調子で会話していた。


シェル「だから言ったじゃん。うちのお姫様は怒らせたら怖いって」


レン「自業自得ですね」


メリサ「うんうん」


コキア「桃食べたい・・・」



♦︎

そんな中、

抗議していた貴族が登ってくる橋をシェルが持ち上げる。


貴族A「貴様!何をする!」

貴族B「そんな事をしてただで済むと思っているのか!」

 

ギャーギャー!!


シェル「じゃーねーバイバイー!」

 

「「ぎやぁああ!!」」

 

川に落下していく貴族達。小さくなっていく悲鳴。

そんな二人を見下ろし、レンが言う。


レン「相変わらずダイナミックなやり方しますねぇ」

シェル「だーいじょーぶ!下は川だし、運が良ければ助かるって!」

レン「よく言いますよ。あなた、あの川がピラニアの住処だと分かっていたでしょう?」

シェル「あれぇ?そうだったかな?」

レン「やれやれ」


コキア(じーっ)

コキアはピラニアに食べられている貴族達を見ながら呑気に牛乳を飲んでいる。


メリサ「コキア君、君はよくあんなの見ながら牛乳飲めるね・・・」

コキア「ピラニアってああやって餌食べるんですね」

メリサ「本当にマイペースな子だよ」

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